SKY NOTE

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なぜ今Appleが好調なのか? その過去から読み取る

Appleは浮き沈みの激しい企業だ。私もAppleと17年間つきあってきて、まるでジェットコースターの様にハラハラする変な会社だった。

私はその過去から、Appleが何を学んできたのか考えてみた。

過去のAppleの失敗要因

1.ダメなパートナー
Appleが優れた製品を出して、ヒットしそうになると、いつもモトローラーのチップ供給能力が頭を抑えていた。これは、Appleだけでなくセガにも言える。セガDreamcastの人気が出始めたとき、主要チップを生産するNECのチップ供給能力に頭を抑えられて勝機を逃した。このように優れた製品を作っても、供給能力の低いパートナーと組むと、勝機を逃し、敗北の憂き目を見る。対照的にWindowsは供給能力に優れるインテルと組み、勝機をものにした。これは優秀なパートナーがいると、多少製品がダメでも認めてもらえるという例でもある。

2.独自規格による価格競争力の低
昔のAppleは、製品の多くを独自規格で固めていた。古くはキーボードやマウスはADB,シリアルポートは、RS422など、独自規格で固め、専用の製品を必要とした。確かに今でもADBはUSBよりも使い勝手がいい事もある。ADBでは、キーボードから電源が直接立ち上げられる。これはUSBでは出来ない芸当だ。独自であるが故によい事もあったが、デメリットも多かった。製品が高くなりがちで、価格競争力が低かった。日本の携帯電話会社も日本の独自技術をオープンにして世界標準にするか、標準技術を採用するなどして、価格競争力を高めるべきだ。

...価値が存在しても、それが伝わらなければ、ないのと同じである。これはインターフェースにも言える事で、日本の携帯電話メーカーにも聞いてほしい亊だ。

3.実物の存在しないビジョン(存在しないものは理解できない=伝わらない)
過去のAppleはナレッジナビゲーターなど、優れた「概念」を提案したが、形となっているものは乏しかった。

4.理解が難しいビジョン(難しいものは理解できない=伝わらない
小さなアプリケーションを組み合わせて、あたかも一つのアプリケーションにするOpenDocなどは優れたビジョンだった。今のWebのマッシュアップの先駆けか、あるいはもっと進んでいたと言えるだろう。過去のものが今のものより進んでいるというのは不思議な事だが、とにかく、それだけ進みすぎていて、その当時は理解が難しかった。その上、それを実行するにはハードウェアのスペックが絶対的に足りず、遅くて使いものにならないものが多かった。早すぎたビジョンと言えるだろう。

現在のAppleの成功要因

1.優秀なパートナー インテル
2.標準規格 HTML
3.実物が出来てから発表する超秘密主義
4.iPhoneを始めとする直感的な製品

実際には、この4つだけではないが、Appleに欠けていた部分は、大きく言って、これらの要素が考えられる。1と2の供給能力と3と4の価値伝達力が組み合わさったとき、最大の結果が生じるわけだ。Appleは自らの過去から多くの事を学び取り、成功を勝ち取った。

日本の携帯電話会社も、Appleの過去から多くを学ぶべきである。自分が失敗せずにノウハウが得られるのだから、とてもお得な亊だ。どうして、そういう亊をきちんと考えないのか、理解に苦しむ。ちなみに私はAppleファンであるから、Appleが負けているとよく歯ぎしりをして悔しがったものだ。思えば、SEGAファンであり、Appleファンでもある私はマイナー路線一直線だった。ある時は任天堂悪の枢軸とし、ある時はマイクロソフトを酷いインターフェースで人々を苦しめる暴君のように思っていたものだ。

だから、真剣になぜ負けたのか?考えた。「優れた者がなぜ負けてしまうのか?」と。その問いは非常に価値がある事だと思ったのだ。悪貨が良貨を駆逐するメカニズムを解明すれば、良貨で悪貨を潰す事も出来るかもしれないのだから、それは政治や経済にも通じる重要な亊だと私は考える。

結論から言って、それは価値の供給能力と伝達能力のコンボである。要するに情報の生産と輸送を抑えれば勝てるのだ。過去のAppleは独自規格にこだわったり、ダメなパートナーと組む事で、供給力を落とし、その上、進みすぎた技術や出来てもいない技術を発表する事によって、価値の伝達も疎かになっていた。故にAppleは供給能力と伝達能力の両面でライバルに劣ってしまい、その結果負けたのだ。

しかし、今やそれが逆転している。iPodZuneに余裕で勝ち、Macが沢山売れている。それはAppleが過去の失敗から多くを学んだ結果である。