SKY NOTE

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なぜiPhoneは世界で成功し、日本のケータイは成功しないのか?

1.ソフトを開発しやすくしデベロッパーを囲い込んだApple

  • iPhoneの勝利のポイントはソフト開発のしやすさに徹底的にこだわったからだと思う。ハードはソフトによって成り立つ原則、つまり、βがVHSに負けた歴史をひもとけば、その亊が分かる。ベータがいかに画質が良くても、ソフトがなければ、ただの箱だった。これはMacが通ってきた道でもある。いかにMacが優れていても、ソフトがなければ勝てない。

 
2.ソフトデベロッパーを囲い込む為にAppleがした事
・AppStore(低コストな流通:売り易い環境)

  • 今までもソフトの販売サイトはあったが、それらは煩雑な操作を必要とし、必ずしも快適な購入体験とは言えなかった。Appleはこの点をiTunesMusicStoreで培ったノウハウを使って1クリックで欲しい商品を買える様にした。そして、Apple3割7割がデベロッパーという単純明快なビジネスモデルも提示した。

・無料の開発環境(低コストな生産:作り易い環境)

  • 通常、携帯電話のソフトの開発には、キャリアとの煩雑な契約が必要だったり、開発環境の導入にもコストがかかった。しかし、Macさえ買えば、それらが一切タダであるという太っ腹な対応をした。また、有料販売にも年間1万800円で、ソフトをAppStoreに登録できるなど、非常に低コストな開発及び販売プラットフォームを作り上げた。

・全世界で一つの仕様スケールメリットを最大化する仕様の統一)

  • 通常の携帯電話は、沢山の機種があり、それぞれに別々の仕様があり、個別に対応する作業が煩雑で、高コストだった。これをiPhoneでは基本仕様を共通化することにより、バベルの塔状態を回避した。

 
3.日本の携帯メーカとAppleの違いは何か?

  • デベロッパーの開発ネックを一つ一つ丁寧に解消していったAppleに比べ、日本の携帯メーカーは、それらの問題の殆どを解決せず、従来と同じやり方を単純に継続していた。つまり、問題を問題として捉え、解決していったAppleと、問題があったとしても、それを解決せず放置した日本のメーカーとでは、結果に大きな差が生じるのは当たり前だったのかもしれない。つまり、携帯とPCは違うものとして捉え、個々の村社会の論理に固執した日本の携帯メーカーと携帯とPCを同じものとして捉え、過去の失敗(過去のMacの失敗)から学び、大きなプラットフォームを作り出すグランドビジョンがを描けたAppleとでは、成功する土台が違って来るのは、むしろ当たり前だったのかもしれない。結果論だがそうだと言える。

 
4.なぜ日本はグランドビジョンが描けないのか

  • 「単純に視野が狭いからである」この一語に尽きる。
  • 非常に視野の狭い村の論理が「正しい事」として社会を闊歩しており、それらに反するものを村八分にする様な悪しき習慣が生き残っている国である。つまり、問題を提起しても、それを解決する姿勢がない。何かを解決する意志よりも現状を維持する価値観の方が勝る。それが日本が負ける理由である。ソニーは、そういう問題に対する学習能力があった。ベータで負けた教訓を生かして、Blu-rayPlayStationでは勝利した。だが、ソフトデベロッパーをPlayStation3で手厚くサポートできなかったばかりにWiiに負けた。同時にスケールの大きいWiiのビジョンに負けた。運動体験をゲームに持ち込むという新しいベクトルが市場を刺激したのだ。グランドビジョンを描くのは、どういう世界を描くかという夢にあたる部分である。しかし、大抵の日本人は夢より現実を優先する。この亊が日本人が小さい理由である。つまり、目先の小さな現実にこだわって、夢を持って大きな現実を作り出そうという気概に欠けている事が問題なのである。PlayStation3も壮大なビジョンがあったが、それは絵に描いた餅だった。彼らは夢を持っていたが、それを実現する能力も気概もなかったのだ。大事なのは、自分達が生き残る為に何が必要なのかという亊を直視し、それを解決する為に既存の価値観を打破する意志、それは追いつめられたものが、その恐怖から這い上がる為に必死で編み出した理屈だと言える。そういうハングリーさが日本の携帯メーカーに決定的に欠けている所だ。

 
5.威張って現実と言うが、本当はセコくて甘いだけ

  • 現実と称し、低い目標設定をして、その中で小さな理屈をこねて、小さくまとまっている故に大きく舵を切り、そこに全精力を傾けて挑戦するものに負ける。それは何か、亀とウサギの話の様に思える。亀は全力で努力をする。そうしなければ、足の速いウサギに勝てないから、ウサギは努力もせずに最初から現実といって亀の限界を設定し、昼寝をする。ライバルを舐め切ったウサギは全力で頑張る亀に負ける。それは当たり前の事なのだ。日本の携帯メーカーのプログラマーが怠け者ではなく、むしろ、命を削って頑張っている。しかし、そういった努力を生かす様な仕組みを作る事を現状維持に集中する官僚的な発想が邪魔するのだ。官僚がなぜ官僚なのかというと、安全な場所にいるからだ。危険を認識していれば、問題があれば直す努力をする筈だ。しかし、それを怠るのは、安全な場所にいる油断や余裕があるから、どこかに甘さがある。ベータで死にかけたソニーには、そういう甘さがない。Macで死にかけたAppleにもそういう甘さはない、NINTENDO GAME CUBEで死にかけた任天堂にもそういう甘さはない。負けたら全部失うという切迫感があればこそ、社内が一丸となって問題に取り組む、改革をためらわない空気があるのだと思う。そこには現状を維持しようとする甘えはない。だから改革できる。変化できる。問題解決が出来る。その差が日本の携帯とiPhoneの違い。

 

  • それを「改革力」と言おう。改革力とは強い危機感から生まれる。一度死にかけた会社には、その危機感から生じる恐怖がある。それが甘さを捨てさせる。だから変われる。大船に乗って何とかなるだろうという甘さがあると、現状を維持する方が楽なので、そっちに偏りがちになる。だが、そんな事をしていたら沈没するという切迫感があると、現状維持よりも変化を受け入れる方向に動く。それが社会のニーズと合致すると成功する。変化しないままだと負ける。

 

  • 大きな志を持って勝とうとするものが、大きなビジョンを描ける。そのスケールの大きさが社会のニーズと合致すると、大きな結果となって現れる。それを人は成功と呼ぶ。常に社会の趨勢を見守りながら、人々に何が必要なのか考える事、その為には、規模の大小を問わず、何が必要なのかと真剣に考える姿勢、それがグランドビジョンのルーツ。目先の利益、特に四半期ベースの利益にしかこだわれない様なケツの穴の小さな(己の利益ばかりで他者を顧みないヘボ)経営者には描けないビジョンである。

 

  • 夢を持てない人間には、人を感動させる事は出来ないのである。その感動がイノベーションだとすれば、夢はイノベーションの母である。その母を流産させてしまうのは、夢を現実と言って否定し、小さな現実と小さな村社会を正義だとする過った価値観である。昔はそんな小さな奴は馬鹿にされていたが、今は現実的だとして褒められている。このアベコベなところが、日本の携帯が世界市場でiPhoneに勝てない最大の理由だと思う。人間的に小さな者が評価される社会になってしまったことが、夢(グランドビジョン)という母を流産させてしまう。

 

  • とにかく今の日本人は小さすぎるのである。恥ずかしいほど小さいのである。もっと大きな夢を持ったっていい、それは悪い事じゃない、大きい目線があってこそ、勝てるスケール感を持てるのだから。小さく萎縮してしまっては、本来持っている力も出し切れない。大きなものを動かす様なスケール感がないと世界では勝てない。その為には、広く大きな目を持たないといけない。顕微鏡をのぞく様な小さく狭い目線では、日本国内に小さな村を作る事は出来ても、世界に大都市を作る事は出来ない。

 

  • 問題はスケール感なんだ。スケール感があれば、大きなものの為に小さなものを無視できる。それはつまり改革できるという事なんだ。目線が小さく狭いからこそ、現状維持をする甘さが生じる。その甘さが社会の変化を自ら作り出す方向よりも、他人のケツを追う事に繋がってしまい、結果として勝てない最大の理由になってしまうのである。

 
iPhoneは大規模農場、日本のケータイは小さく細切れの田んぼ

  • 発想のスケール感もたらすスケールメリット、それがiPhoneの強さなのである。言わば、iPhoneはアメリカの大規模農場、日本の携帯は小さな細切れの田んぼと言った所だろう。大規模農場で作られたコスト効率の高さがiPhoneの強さ。アメリカの安い小麦に勝てない日本の米と同じ。