SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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オバマを選んだアメリカ人の気質

オバマ氏が大統領に立候補し、その演説を聴いたとき思った事は、「これは...」と思った。その意味は、彼の言葉は、ここ数十年、アメリカ人が待っていた言葉だったからだ。アメリカ人は、ケネディ以来、自分達と同じ価値観で政治をして欲しいと願っていたが、ここ数十年の間、それはかなえられなかった。オバマが出てきたとき、「アメリカ人は彼を選ぶだろう」と私は直感した。これは私がアメリカ人の気質を考えた上での結論だ。私個人は具体的な政策、特に国民皆保険を提唱するヒラリーの方が大統領になるべきだと思っていた。なぜなら、具体的な政策を主張しないオバマの姿勢に疑問があったからだ。だがしかし、このままいけばオバマが大統領になるだろうとも思った。なぜなら、大統領を選ぶのは私ではなくアメリカ人なのだから。
 
しかし、現在では彼の打ち出す具体的な政策の一部を見ていて、特にグリーンニューディール政策国民皆保険制度をやるという方針に改める所を見て、最初の考えは間違いだったと考え直すようになった。経済政策においても、こういう目立つ亊の出来る人間は人事も中身のない派手なものを選びがちなのだが、オバマは手堅く固めてきた。そこで、これまでのパフォーマンス型の指導者とは違う。堅実な判断も出来る両極の性質を持っている政治家かもしれないと考えを改めた。彼が変わったのは、ヒラリーとの対決の前後で変わった感がある。そういう意味ではオバマの真の敵はマケインではなくヒラリーだったのかもしれない。つまり、民主党予備選こそが、この大統領選のクライマックスだったのだ。
 
話が脱線してしまったので本題に戻して、オバマの様な人材を選び出したアメリカ人の気質について考えるとするならば、基本的なところではフェアなアメリカ人の気質が彼を選んだと言える。そして、アメリカ人のもう一つの気質は、結果が出れば何でもオーケーという分別のない愚かさである。この愚かさがブッシュを選んだと言える。つまり、自由という「結果」を至上命題にする為にどんな事をしてもいいと考えてしまった結果、アメリカ人はブッシュを選んだ。ブッシュは、その自由を実現する為に、経済の暴走を放任し、サブプライムローン問題を肥大化させて金融を崩壊させ、自由な世界を作ると言ってイラク戦争をやって、テロの脅威を逆に肥大化させてしまった。
 
分別のない選択の結果が逆効果となってしまい世界中に迷惑をかける亊となった訳だ。そういう意味では、ブッシュはアメリカ人の愚かさを体現した大統領と言える。そして、オバマはアメリカ人のフェアな姿勢(良識)を体現した大統領と考えていいだろう。つまり、アメリカが強かったのは、このアメリカ人の基本的にフェアな姿勢にあったと言える。このフェアな姿勢こそ、アメリカが世界から尊敬される要素であり、力の源泉であったのだ。
 
では、日本にはなぜ?オバマの様な政治家が現れないのか?それは日本人の気質から来ていると言っていいだろう。ブッシュもオバマもアメリカ人の気質が選んでいる。だから、日本の政治家も日本人の気質から選ばれているのだ。日本人にもオバマの様な人材はいる筈である。だが、それが世に出ないのは、評価されないからである。よく危機になると時代が人材を選ぶと言うが、あれはウソである。危機に陥る事で人々の評価基準が変わったからであって時代ではない。
 
過去に日本は坂本龍馬など優れた人材を選んできた。それは高い危機意識が過去を切り捨て、新しい人材を登用する方向に働いたからである。今、日本はそのターニングポイントにある。人々が高い危機意識を持っていれば、それに基づいて政治も変わる。旧弊を打ち破り、新しい方向に向かう事だろう。しかし、そうでなければ、危機に飲み込まれ溺れる事になるのかもしれない。もし、明治維新のとき、坂本龍馬西郷隆盛大久保利通を選んでいなかったら、日本はどうなっていたのだろうと思うと背筋が寒くなる。他のアジアの国の様に西欧諸国の植民地になっていたかもしれない。そうならなかったのは、危機意識をきちんと持ち、若く有能な人材を登用したからだ。
 
今度の選挙では、その日本人の力量が試される。過去を選択し没落の道を選ぶのか、リスクはあるが未来を選択し挑戦する道を選ぶのか、そのどちらかを選ぶ事になるだろう。未来にはリスクがつきもの、だから、危機に陥らないと新しい人材や新しい体制は選ばれない。オバマの様な政治家が出てきて欲しかったら、そういう新しいもの特有のリスクを背負う覚悟と、正しい危機意識に基づく賢明な人選をせねばならない。明治維新の時に志士達を選んだ様に...
 
国民が、その覚悟と賢明さを持っていれば、日本は安心だ。しかし、そうでなければ、厳しい現実が待っているだろう。特に自民党政権が継続したのでは、景気対策と称して、無駄(利権)を温存したまま財政出動する事で日本は莫大な財政赤字を背負い込み、首が回らなくなるのではないかと私は危惧している。
 
アメリカ人の良い所は、危機に際しては比較的、適切な判断をしているフェアな気質がある事だ。ブッシュの時はクリントン政権の成功もあって自惚れていた。だが、その自惚れから目が覚めたアメリカは尊敬に値する。そういう意味では本来のアメリカに戻ったと言えるだろう。日本もそういうアメリカ人の悪い所ではなく良い所を見習って欲しいと個人的には思う。だが、こればっかりは、世の流れ次第なのでどうにかなる訳ではないのだが...