ハンバーガーの植物性のパテに鉄の味がするヘムという物質を混ぜると、肉の香りと味がするのだそうだ。しかも、それが赤身肉のジューシーな感じまでそっくりと言うから驚きだ。
つまり、自分達が肉の味だと思っていたものは、鉄分の味だったのだ。そう考えれば、確かに肉の味は鉄の味に似ている。この革新的な植物性の肉を作り出したのは、アメリカのシリコン・バレーを拠点とする「Impossible Foods:インポッシブル・フーズという新興企業だ。
このヘムと言う物質は、植物性の血液という。肉の香りではヘムが重要な役割を果たしているとのことだった。ヘモグロビンなどに含まれるヘムは糖分やアミノ酸にさらされると香りを放ち、料理済みの肉にそれらしい味わいをもたらすとの事。現状では、小さなパテを作るのに約20ドルを要し、5種類の植物を大量に必要とすると言う。よって、まだまだ畜産業は安泰だが、インポッシブル・フーズのブラウン氏は、より安価な生産プロセスを目指しており、原材料費は規模が拡大するに従って減少するとの事。
この話は、とてもスゴイ話だと思った。というのは、世界の食糧問題が一気に解決する可能性があるからだ。
肉1kg作るのに必要な穀物量(トウモロコシ換算)
資料;肉食をやめると地球が救われる|あなたが地球のためにできること
鶏肉:穀物 3kg
豚肉:穀物 7kg
牛肉:穀物 11kg
例えば牛肉のハンバーガーのパテが100gだったとすると、それを作るのに必要な穀物量は1.1kgにもなる。この偽肉技術が低コスト化し、穀物の消費量と偽肉の消費量の比率が1:1になれば、必要な穀物消費量は鳥肉で1/3、豚肉で1/7、牛肉で1/11となる。実際、世界で24億トンもの穀物が生産されていますが、世界の2割足らずの先進国の人々が世界の穀物を肉を食べる事によって半分以上、消費しているのだと言う。つまり、全体の2割の人々が5割以上の穀物を肉を食べる事によって独占しているというのだ。
24億トン (年間穀物生産量) ÷ 71億人 (世界の人口)
⇒ 338kg (1人当たり)
※1人当たり1年間の標準量は 180kg
つまり、この偽肉技術が低コスト化し、普及すれば、先進国の穀物消費量は今の4割程度でいいと言う事になる。つまり、50%以上だったものが、その4割の20%となり、全体の消費量が30%減る計算になる。つまり、現在の穀物生産量で今までの1.4倍の需要を満たせる計算になり、現在の人類の人口が71億人であるため、99億4000万人分の需要を現行の穀物生産量(24億トン)で賄える計算になる。つまり、この偽肉技術によって、一気に食糧問題が解決すると言う快挙が成し遂げられるかもしれないのだ。そう考えると、この偽肉技術は人類を飢餓から救う偉大な発明ではないだろうか?