SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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TPPを導入しても、アメリカ米に日本米は席巻されない

カリフォルニア米の生産規模をご存知だろうか?
 
 カリフォルニア米事情
 http://www.omicnet.com/omicnet/report/rice/ca-rice.html
 
大量の小麦を作っているアメリカの事だから、米も大量に作っていると思いきや、大して生産してはいない。カリフォルニアの輸出米を全てを日本に輸入しても、日本の米消費量830万トンの36%程度である300万トンに過ぎない。カリフォルニア米は他の国にも輸出されているだろうから、TPP導入で日本に来たとしても、全体の10%程度で済むのではないだろうか?つまり、90%の人々は日本の米を食べる事になる。
 
他にも中国から来ると思うかもしれないが、中国は基本的に食料輸入国で輸出国ではない。
 
 中国は2004年から食料輸入国、2008年から食料輸出抑止へ舵取り
 http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/china/mo/080303_kajitori/
 
大人口を抱えている中国は、基本的に食料を輸入する国であって、輸出する国ではない。よって、中国米が大量に日本に来る可能性も低い。外国から輸入している国が食料を大量に輸出する事は困難である。それでも輸出したら、何らかの形で輸入しなければいけないはずである。その場合、中国の富裕層に日本の高品質な米を売り込めばいい。米農家にとってはお客さんが日本人から中国人に変わるだけである。
 
つまり、諸外国の事情を勘案すると、輸出できる米を大量に生産している国は少ない。人口が多い大国は、自分の国の国民を食わせるので手いっぱいであるからして、輸出できる米などない。総合的に考えて、日本はTPPを導入しても、日本の規模の米の消費量を賄えるだけの輸出できる国は少ないと考えられる為、日本の米農家への打撃は限定的だと考えられる。国内の食料品の競争力を上げる為に国内の流通規制を撤廃することで、農家の手取りを維持しながら、生鮮食料品の価格を3割下げる事と農業の所得保証金で充分だと考えられる。
 
 日本の食料品はなぜ高いか?
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100816/215788/
 
それでは、補助金にいくらかかるのか計算してみる。ちなみに日本は減反政策の補助金の為に毎年2000億円税金を使っている。この減反政策を廃止し、飼料米補助金に切り替える。飼料米は通常の食用米(5.2t/ha)よりも1.6倍の収量(8.0t/ha)があり、食料自給率を高めるのに有効である。また米が作られていない休耕田は100万haあるため、飼料米を作れば800万トン生産できる事になる。
 
飼料米米粉や飼料に使う為に必要な補助金は6400億円
この800万トンの内、480万トンを小麦代替用に使う。現在のシカゴ小麦の市場価格は約20円/kg(2010.11.2現在)である。そして、飼料米の生産コストは100円/kgである。つまり、飼料米1kg作る毎に80円の差額が生じる。これを80臆kg(800万t)でかけると6400億円となる。これで日本で使う小麦輸入量(48臆kg)に相当する米粉と、飼料の一部(320万トン)が賄える計算になる。
 
 日本の小麦輸入量が載っているページ(2007年 小麦輸入量 計480万トン)
 http://www.seifun.or.jp/seisan_kakou/ryuutuu.html
 
 シカゴ小麦の価格(100ブッシェルあたり:2.7215t 価格はドル)
 http://www.fuji-ft.co.jp/chart/0c-komugi/main.htm
 
食用米の補助金
日本でのカリフォルニア米の価格は、740円/kgであり、780%の関税がかかっている為、95円/kg(475円/5kg)がTPP導入後の価格であるが、その生産量から想定される輸入量からして、全消費の10%に満たない為、この価格に合わせる為に多額の補助金(推定6400億円)を使うよりも、国内の流通規制を撤廃する事の方が有益である。国内の流通規制を撤廃すれば、生鮮食料品が3割安くなると言われている。そして、私が買っている1380円/5kg(276円/kg)の米が流通規制撤廃で3割やすくなったと仮定すると、193円/kg(965円/5kg)となる。カリフォルニア米の倍の額だが、別に問題とならない。なぜなら、カリフォルニア米は全体の10%に過ぎず、日本の米農家の手取りも変わらないのだから。
 
つまり、日本の農業を守る為には、流通規制撤廃によって、中間マージンを省いて、国内農産物の価格競争力を高めつつも、減反政策を廃止すると同時に、飼料米で作った飼料や米粉補助金をかけて食料自給率を上げる。その為の追加の補助金は6400億円-2000億円=4400億円である。4400億円の追加コストで食料自給率を上げられて、TPPへの加入も可能となるわけだ。適切な補助金政策と流通改革を実行すれば、日本はTPPに加入しても、日本の農業を潰す事にはならない。
 
もしTPP導入によって、産業界が潤い法人税が4400億円以上、増えたならば、TPP導入で食料自給率を維持する為に必要な補助金の財源が手に入るだろうし、食料自給率も上げられる。つまり、適切な改革をすれば、TPPに加入しても日本の農業は潰れない。むしろ、充分な補助金により、自給率を向上させる事も可能だと見ている。

追記:この記事を書いたときには、TPPの他の分野の詳細な分析が十分ではなく、TPPに加入することがどれだけ危険なのか、きちんと把握しておりませんでした。間違っている部分は、訂正し、以下のリンクでTPPの問題点を指摘しております。

 
 自分が見た中でTPPとは何か、「サルでも分かるTPP」が一番分かりやすかった。
  サルでもわかるTPP
  http://luna-organic.org/tpp/tpp.html

 TPPの問題点
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20111017/1318804171

TPPの問題は、米の生産量という限られた次元の問題ではなく、アメリカに通商上のルールを支配されることにあります。実はTPPのルールは、アメリカ議会で承認されるのです。事実上、アメリカの支配下にある通商条約です。つまり、TPPに加入すると日本はアメリカの属国になるのです。そして、その法律を他国に都合よく支配される影響は、日本の多方面の搾取につながります。この記事の分析は物量から見ていますが、TPPは、ルールを支配されるという国家の存亡に関わる問題だと気づきましたので、この記事とは別の次元での非常に危険なものだとわかります。狭い視野で、間違った記事を書いてしまい申し訳ありません。以下の動画に興味深い内容があります。(2011.10.27)

【必見&拡散】 絶句JAPAN!!【中野剛志】