2014.2.22 シンガポールのTPP交渉、農産品と自動車関税について、これ以外にも、TPPは、色々と問題がある。
あまりにもアメリカの要求がアメリカ中心のご都合主義的な内容といえ、到底認められない内容と言っても過言ではないというレベル。
産経:自動車関税、農産品と同時撤廃 TPPで米が日本に20年猶予案
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140223/fnc14022308020003-n1.htm
内容
・農産品と関税撤廃を同時に行うとあるが、全く「同時」ではないのがミソ、いかにも産経らしいタイトルのミステイクだ。
アメリカ
・アメリカへの輸入自動車関税撤廃は20年後
輸入乗用車 :2.5%→0%(20年後)
輸入トラック:25.0%→0%(20年後)
日本
・農産品、重要5品目、関税撤廃(TPP締結後すぐ)
5品目:コメ、麦、牛肉/豚肉、乳製品、砂糖やその原料
正にジャイアン的というのが、この交渉、自分の関税撤廃は20年後、日本の関税撤廃はすぐという、非常にアンフェアな内容、この事一つをとっても、この交渉が、妥当でないものだと分かる。
もし、この内容で通ってしまうと、恐らく日本のコメ農家は、海外からくる米に潰される。現在、カルフォルニア米の生産量は、日本の需要をまかなえるほど多くはないが、日本に関税ゼロで売れるとなれば、TPP加盟国が一気に米を増産して日本に輸入してくる可能性がある。向こうのほうが安くコメを作れるため、日本の業者が海外で生産し、日本に輸入する可能性は高い。
TPPに加盟すると日本の食料自給率は、現在の39%から13%にまで落ちるという試算まである。
TPP でどうなる日本の食料・農業 2011.5
http://www.bnet.jp/casa/katudou/letter/73/p8.pdf
農林水産物生
生産額:4兆5000億円減少
・米 :1兆9700億円 881万トン(2008年)→88万トン(2020年)
・豚肉 :4600億円 126万トン(2008年)→38万トン(2020年)
・牛乳 :4500億円 795万トン(2008年)→350万トン(2020年)
・牛肉 :4500億円 52万トン(2008年)→13万トン(2020年)
・水産物:4200億円
・鶏肉 :1900億円 138万トン(2008年)→110万トン(2020年)
・鶏卵 :1500億円
・甘味 :1500億円
・小麦 : 800億円 88万トン(2008年)→8000トン(2020年)
・林産業: 500億円
農業の多面的機能の喪失額
多面的機能:3兆7000億円程度
農林水産業及び関連産業への影響
GDP減少額:8兆4000億円
食料自給率:39%→13%
就業機会 :350万人減少
食料を失う事は何を意味するか、いみじくもブッシュ元大統領が行っている。
「食料自給できない国を想像できるか。それは国際的. 圧力と危険にさらされている国だ」
どこの国へ行っても食料を自給できていない国なんてない。日本だけだ。そこで、諸外国の食料自給率を示したい。
農林水産省:世界の食料自給率
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html
諸外国・地域の食料自給率(カロリーベース)の推移(1961〜2012)
2009年
アメリカ 130%
カナダ 223%
ドイツ 93%
スペイン 80%
フランス 121%
イタリア 59%
オランダ 65%
スウェーデン 79%
イギリス 65%
スイス 56%
オーストラリア187%
韓国 50%
日本 40%(TPP締結後:13%)
どこの国行ってもですね。最低でも50%以上は確保している。それが日本は今ですら、50%より低い39%(2012年)それをTPPに入ったら、13%になるというのだから、海外に完全に食料を依存するという国になり、外交上、食料生産国に頭が上がらない国になるのは必定。より、深刻なのは、異常気象などで食料不足になったりすると、海外からの食料がなくなり、13%の自給率では国民に餓死しろ、あるいは高くても外国の食量を買わざる負えないということになる。さらに日本は貿易赤字国です。海外からお金を稼いでいない、むしろ、海外へお金を流出させている時に輸入増やしてどーするんですか、稼げてないのに他国から食料買ってる場合じゃないというのが、今の日本の状況です。それに自動車関税撤廃20年後なんて、全くメリットがないばかりか、食料自給率を飢え死にレベルにして、国民の生命を脅かす条約です。こんな条約交渉は意味が無いばかりか、有害ですらある。
TPP交渉なんて馬鹿げたことをしないで、食料自給率を諸外国と同様の50%以上を目指し、海外からの食料に依存しない体制を整えるべきです。その方が国の経済も安定しますし、飢え死にの心配のない安心できる国に出来るというものです。海外の気象変動に一喜一憂するような食料自給率なんてゴメンです。
そこで以前、食料自給について書いた記事の一部を抜粋し、本来するべき日本の農業政策について書きたいと思う。
法人税減税は景気対策にならない 2013.10.6Comments
http://d.hatena.ne.jp/skymouse/searchdiary?word=%BF%A9%CE%C1%BC%AB%B5%EB&.submit=%B8%A1%BA%F7&type=detail
食料対策
1.全ての農地の放射能汚染の実態を計測し、把握
2.使える農地とそうでない農地をより分け、西日本を中心に食料生産をシフト
3.全国に、より充実したサンプル調査による安全な食品の流通と情報公開
4.食料自給率を上げるため、飼料米の増産に補助金、飼料藻、食用油藻の研究
5.10年後に食料自給率70%を目指す。
日本の農地(470万ha→350万ha:原発事故後 想定)
・水田:260万ha(休耕田100万ha)→195万ha(原発事故後)
・畑 :210万ha(耕作放棄地38万ha)→155万ha(原発事故後)
食料自給の内訳(食料自給率100%の内訳:2020年70%→2030年100%)
水田(195万ha:内59万ha:二期作:単純必要面積:254万ha)
米 :食用米:154万ヘクタール(800万トン)
小麦 :飼料米:50万ヘクタール(米粉:400万トン/収量:8t/ha)
飼料 :飼料米:50万ヘクタール(飼料米:600万トン/収量:12t/ha)
畑(155万ha:内12.2万ha分を増産:単純必要面積167.2万ha)
畑作 :140万ha→123万ha(2030年の人口減少)
大豆 :大豆 :40万ヘクタール(大豆100万トン)
:食用油:油藻:2.2万ヘクタール(食用油26億リットル:日本の需要)
飼料 :飼料:食用油用に絞りとった藻の粕(520万トン)
穀物自給の基本は飼料米で、面積あたりの収量が穀物の中で最も高く、日本の水が豊富で、肥沃な風土にあっている。東北・関東の放射能汚染された農地(想定120万ha)は放棄し、西日本を中心に生産、そのために必要な農家に対する無利子融資、使用不能になった農地への賠償などを通貨発行により実施、その賠償金で西日本の農地を買って、新しく農業をやることも出来るようにしたりする。そのためには、関税は必要であり、TPPには入らない。農業補助金(2〜3兆円)で食料安全保障を守る。使用不能になった農地は、太陽光発電や風力発電などの用地に使用。
このように、外需産業だったものを様々な規制や補助金によって内需化し、国内需要を拡大し、その上で、食料やエネルギーの自給を推し進め、最終的には、外貨の殆どいらない国を目指す。