1.チェルノブイリの子供のヨウ素131の被曝量は30mgy(136万ベクレル:中央値)
- チェルノブイリ原発事故による放射能影響に関する最近のトピックス
- 今中哲二 京都大学原子炉実験所
- http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/reports/kr79/kr79pdf/abstract-JF.pdf
- このPDFの3ページ目(ページ番号では299ページ)にチェルノブイリ事故における甲状腺癌が発生した地域の放射能汚染度が書かれている。それによると甲状腺癌が生じた地域の子供のヨウ素131の甲状腺被曝量は、中央値で30mgyであるという。つまり、30mgy(ミリグレイ)は危険だという事だ。事故後5年後から甲状腺癌の上昇が始まったという。
- グレイという単位は、ガンマ線とベータ線において、シーベルトに対し1:1(つまり、同じ)、中性子線、アルファ線、重粒子線などになると5〜20の値となると書かれているがイマイチよく分からない。ただ、今回の計測値では1:1の同じ数値として扱う。そこでチェルノブイリの30mgy(ミリグレイ)を30msv(ミリシーベルト)と考えると、その危険度が甲状腺癌を生じさせたレベルと見る。これをヨウ素131(10000ベクレル:0.22msv)の経口摂取のベクレルに直してみると136万ベクレルと計算される。(厳密には甲状腺の被曝量なのだが、経口摂取の被爆係数をそのまま使った。この部分でズレが生じるかもしれない。追記:甲状腺の被曝量は、体に入ってきた1/10程度が甲状腺にとどまるという。つまり、チェルノブイリでは300msv(ミリシーベルト)の経口摂取濃度であったと考えられる。それをベクレルに直すと1360万ベクレルとなる)
2.飯舘村の雑草から放射性ヨウ素131が245万ベクレル計測された。
- 飯館村の雑草265万ベクレル 福島、野菜を大幅上回る
- http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032401000495.html
- 東日本大震災:福島・飯舘村、雑草にセシウム265万ベクレル 島根でも微量ヨウ素
- http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110325ddm003040089000c.html
- 〜引用〜
- 文科省の発表によると、原発から約25〜45キロの複数地点で18日から21日に採取した雑草の葉から1キログラム当たりヨウ素3万6千〜254万ベクレル、セシウム1万100〜265万ベクレルを検出した。
- 〜引用〜
- つまり、3月20日に飯館村で計測された放射性ヨウ素131:245万ベクレルを検出された雑草を子供が555g食べたら、甲状腺癌になるリスクが生じるようだ。その周辺のものを口に入れない事。計測された野菜と2桁も違うのが、データの整合性に多少疑問があるが、土中からも高濃度(20万ベクレル)のヨウ素131が計測された事から見ると、その地点に非常に高濃度のホットスポットが生じていると見られる。雑草がこの20万ベクレルの土から放射性ヨウ素131を12倍吸収していると考えれば、この数値も妥当かもしれない。ヒマワリなどの植物は放射性物質を吸収してくれるタイプのものがある。放射性ヨウ素の場合、半減期が短いので、そのままにしておけば、3ヶ月程度で基準値である2000ベクレル以下になるが、食べてしまうと問題のようだ。よって食べるものには注意して欲しい。また136万ベクレル以下であれば大丈夫かというと、それは、この資料では分からない。
3.福岡第一原発のヨウ素131の流出量は3〜11テラベクレル(チェルノブイリの1.7〜6.1%の規模)
- 福島第一原発事故、スリーマイル超えレベル6相当に
- http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103240465.html
- 上記の記事からチェルノブイリでのヨウ素131の放出量は180万テラベクレル(テラ:兆)で、福島第一原発の場合は、12日午前6時から24日午前0時までの放出量で単純計算すると3〜11万テラベクレル(テラ:兆)だという。つまり、チェルノブイリの1.6〜6.1%くらいの規模の放射性ヨウ素131の汚染が生じていると考えるべきなのだろう。被害も同比率になるのかは分からない。汚染地域20km以内に危険なレベルのヨウ素が限定していれば、避難した事によって問題ないと言えるし、また、危険な作物を充分に出荷規制できれば、それが口に入る事もないので、癌にもならない。しかし、何らかの形で口の中に入ってしまったりすると問題だ。現在のところ、水道水は、キチンと監視されており、それに応じた対応がされているし、数値も高いというほどでもない。大気中の汚染度も福島第一原発の昨日(3月25日)の記録は、180マイクロシーベルトと低い。(一般環境としては高いが、汚染の中心地としては低いという意味)そうなると問題は、食物によって生じる被爆となる。農地の土と水と作物の汚染レベルを調べ、出来るだけ多くのデータを公表し、それを映像やグラフなどにして、どこでどのくらいの問題が生じているのか具体的に示す事で、風評被害を抑える事が出来る。風評が広まるスキは、情報不足にある。だから、ありったけの情報を公表する事が求められる。また、最も重要な事は、そういう危険なものを子供の口に入れない事だ。飯館村のデータを見ると、それに尽きると言うしかない。
- 福島県の各地域の「雑草」の放射能汚染量(単位:ベクレル/kg)
- 地図で見ると原発に近い「いわき市」(30km)よりも、「飯舘村」(40km)の方が汚染量が突出して高く、距離と汚染量が単純に比例するわけではないようだ。また、セシウムは多いのにヨウ素131は少ないとか、汚染物質の種類ごとの比率もバラバラで、その傾向も不明。分かるのは、飯舘村の雑草が非常に危険という事だけ。考えられるのは、各汚染物質が流出時期に差があり、その時間差によって生じた気象条件(風向きや雨)の違いによって、汚染物質の飛散傾向が変わったと見るのが妥当かもしれない。わたしが見るところ、飯舘村は山あいの盆地にあるようで、もしかしたら、風で運ばれた放射性物質が盆地で雨になって降り注いだ結果、高濃度の汚染が生じたのかもしれない。あるいは、セシウムとヨウ素が飯舘村だけ、同じ量あるというのが不思議でまるで何かにせき止められたかのように、放射性物質が貯ってしまったように見える。しかし、第一原発と40kmも離れた場所(飯舘村)で、どうしてそうなってしまったのかよく分からない。他の地域にも同様のホットスポットがないか計測が必要と感じる。
- 福島県の各地域の雑草の汚染グラフ(単位:ベクレル/kg)
- 情報源:文部科学省とあるが、ホームページでは見つからないマスコミを通じての情報
- スピードによるシミュレーションデータ:PDFファイル
- これは3月12日から24日まで積算線量(ヨウ素)で1日中外で過ごしている場合であり、屋内にいる場合には1/4〜1/10に放射線を低減させる事が出来るというが、癌になる危険が
(5%)(0.5%)生じる100ミリシーベルトの領域がここまで広いとは...と感じる。この周辺では雨の日には特に子供を外に出してはいけないと思う。