SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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赤壁の戦いに見る日本のあり方

赤壁の戦いレッドクリフ)を見ると、弱小なものが強大なものに敵対する際に必要な事が分かる。これは、弱小な日本にも言える亊だと言える。日本は経済大国だと祭り上げられているが、その実、自分では食料もエネルギーも資源も何も満足に自給できない国だ。もし、何らかの理由で外国に輸出を止められたり、物資の供給が滞ったり、高く売りつけられでもしたら、たちどころに溜め込んだキャッシュを使い尽くしてしまう事だろう。
 
つまり、日本という国は、基本的に自分では何も出来ない半人前国家である。弱小国だ。民衆を食わせる為の食料も自給できず、国土も狭く、資源もなく、エネルギーも自給できない国のどこが強大国などと言えるだろうか?
 
つまり、我が国は本質的には弱小国、故に常に曹操の様な強大なものと伍していかなければいけない運命にある。その立場を良く理解した上でレッドクリフ赤壁の戦い)を見ると弱いものが強いものに勝つ為の絶対条件が分かる。
 
1.まず驕らぬ事

  • 強い曹操には驕りがあり、劉備達には驕りがなかった。そこが火計によって勝利する糸口になった。もし、曹操に驕りがなければ火計を警戒して、船を鎖で繋げはしなかっただろう。日本はバブル以降、未だに驕りがあり、自分が弱小であるという自覚が乏しい。自分達が技術的に優位にあると思っている様だが、実際には半導体では韓国や台湾に抜かれ、プロセッサーではスタンダードをアメリカに支配されている。そういう現実認識に欠ける意識、つまり、驕りが隙を生む。逆に言えば、強いものにはどこかに驕りによる隙がある、そこを突けば勝てるという亊だ。

 
2.士気を最高にしておく事

  • 曹操の軍は寄せ集めの軍隊で、よく訓練されていなかった。だから、いざ戦いになったとき、実戦力に差があった、経営に都合が悪くなったらすぐ従業員を切る様な仁義に欠けるアメリカ型経営では、士気を最低にする。それに対し、終身雇用によって士気が最高であった日本は80年代、経済競争でアメリカに勝った。だが、その後、アメリカの過った経営手法を導入した後、アメリカと同様に士気が下がり、結局負ける事になる。弱いものが強いものに対するには結束が必要、だから仁義を重んじよ。

 
3.公平であれ、それが力の差を認識する事に繋がり、その認識が戦略に結びつく

  • 大軍にそのままぶつかったのでは、負けが見えている。これはいかなる弱小な存在に共通する。赤壁の戦いでは火計を用いて、敵兵力を削った上で戦った。これは、自分達の限界を合理的に把握し、公平に評価する事によって導きだせる答えだ。つまり、自分は客観的に見て弱小であるという自覚のもと、それを補う為に敵が本来の力を発揮できない状態に陥れる。こういった計略を成功させる為には数字の積み上げが必要となる。つまり、公平である事が大切だ。敵を削る為に火という援軍を使って、力の差を補ったのだ。

 
1の驕らぬ事により、心の隙をなくす。相手に隙がある時、この隙のなさが最大の味方になる。2の士気を最高にするのは、強大な敵と戦う時に味方の士気が整っていなければ、まず確実に負ける。だから、士気を整える為に仁義を重んじる必要がある。3の公平あれというのは、公平であればこそ、敵と味方の戦力差が分かり、その差を正確に把握する事で、それを補うものが何であるか見つける事が出来る。1は曹操が大軍を率いる事で、その恐怖によって皆に浸透した。2の最高の士気は、劉備孫権の人徳によるもの、3は孔明による合理的な戦略。
 
日本が勝つために考えるべき事
1.バブル以降の経済大国という驕りを捨てよ。本来、弱小であるという自覚を持て

  • 本質的に弱小国であるという自覚を持つべき、多少強いと思っているから驕りが生まれる。

2.仁義を重んじ、従業員(雇用)を大切にし、結束せよ

3.公平に状況を見て、敵と味方の力の差を理解し、それを補う戦略を持て

  • 相手の能力を公平な目で正確に把握し、その正しい評価に基づいて、それを補う戦略を持つ事。輸入に頼るのではなく、科学技術で自給自足国家へ移行する。高齢化によって国力が弱まり国際競争が出来なくなっても、自分で自分を食わせる事が出来れば、何も問題はない。オバマ政権も基本的にはこれと同じ事をしている様に思える。科学技術によって石油に頼らない社会を作れば、基本的に貿易赤字に苦しむ事はない。アメリカは食料は自給できているし、資源もある程度自給できている。ないのは石油。そこから考えると、グリーンニューディールという戦略が何を意味するか見えてくる。日本の政策は目先の経済や利権ばかりを追っていて何の戦略も見えない。この状態を解消する為には政権交代が必要だが、最近の地方の選挙結果を見ると、間違った方向に進んでいると言わざる終えない。戦略を持つ為には、広い視野が必要だが、この視野を阻害する利権に縛られた自民党では必要な改革が不可能だという現実を認識しない限り、この国に勝機はない。なぜなら、本来弱小であるものが、驕り高ぶり油断し、力を結束せず、そして戦略を持たないのであれば負けるのは確実なのだから。

 
食料や資源やエネルギーが自給できないこの国の人々の生活を守る為には、現実を認識し、油断せず、仁義を重んじて結束し、合理に基づいて冷徹に分析する事で戦略を設定し、それを確実に実行していく事が本来、弱小であるこの国のあり方なのだ。自分達が弱小であるという認識があった昔の日本は強かった。でも、今は弱い。
 
己の弱さに対する自覚こそ、本当の強さなのだと思う。なぜなら、あの強大な力を持った曹操も己の力に驕り高ぶり、赤壁の戦いでは敗れた。敗れるという事は弱いという事だ。そして勝った劉備達は強かった。その差は奢りがなく、油断しなかった事。それが正しい判断に結びつき、勝利をもたらした。
 
逆説的だが、本当の強さとは己の弱さを自覚する事にある。それがあればこそ、それを補う術も見えてくるというもの。それが見えぬものは、強大な力を持っていても負けるのだ。だから、己が弱いと思う事は恥ずかしい事ではない。それは強さなのだ。
 
完全な強さなど存在しない、どこかに弱さがある。そこを突かれれば負けるという場所がある。油断がなければ、それが見える。しかし、驕り高ぶり油断すればそれが見えず敗北する事になる。敗北するという事は弱いという事なのだ。