SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

Pref..
Speech
STOP
Follow..
QR Code
|◀
▶|
QR
×
voice
volume
0
rate
0
pitch
0

人は、なぜ現実が見えないのか?

それは現実が伝えられていないという事もあるが、現実の複雑さを現在のメディアが包括的に説明できていないという側面もある。

温暖化ガス削減など環境問題は非常に幅が広く、エネルギー、資源、食料、ネットテクノロジー、化学、半導体、流通、とにかくあらゆる分野のあらゆる知識を包括的に把握し、最善の組み合わせを想定しなければいけない。これは比較的高度な思考能力、複雑なパズルを解く様な能力が求められる。

このパズルを解くのは結構面白いゲームみたいなものだが、この「パズル」を解くとき思い起こすのが、アポロ13号事故の時、地球へ戻る為の節電プランを練った宇宙に行けなかった飛行士の事だ。いわば影のヒーローだが、とてもカッコいい。

優れたリーダーシップをとる管制局長もカッコいいのだが、あらゆる技術的要素を考慮して、最善の省エネプランを導きだす地上パイロットもカッコいい。

話はずれてしまったが、こういう「カッコいい」人間よりも遥か数光年の彼方で時代遅れな記事を書いている日本のメディアには呆れる。未だに温暖化懐疑派の武田氏がテレビに登場するなど、日本が世界の先進国に比べて3年は遅れている事をさらけ出している。一番遅れているアメリカはカトリーナから変わったのだ。アメリカでは、これ以降、懐疑派はなりを潜めた。

日本の家庭部門の消費電力はここ10年で30%増えた。メーカーの欺瞞に満ちた宣伝広告の賜物である。機能を追加した割に消費電力が少ないという。つまり、機能を足せば、消費電力を増やしてもいい論理がまかり通っている為に、絶対的な消費電力が増加傾向にあるのだ。イギリスなどは、省エネに努力して、減少傾向にあるのに、日本は最近、年間消費電力量が1兆kwhの大台を越えたそうである。

口先だけの環境対策、統計を伴わない環境対策などまったく無意味なのだ。きちんと計算して把握するという事が出来なければ駄目だ。しかし、日本の全消費電力の資料や、何にどのように温暖化ガスが発生しているのかという情報が、きちんと分かりやすくまとめて公開されていないというのはどういうことなのかと思う。全体が把握できなければ、トータルでの温暖化ガス削減などおぼつかないのにも関わらず、そういった情報がインターネット上でも乏しい。ここに日本のジャーナリズムのレベルの低さがある。情報を分析する能力が全然ない。特に広い分野にまたがる高度な分析となると、決定的に駄目である。

日本のジャーナリズムの貧困さが、私達が現実が見えない理由なのだ。つまり、「見えない」というよりも「見せてもらっていない」のだ。