1kwhあたり3.7円も燃料調達費がかかり、一般家庭で月1000円も電気代が上がるなんて、日本エネルギー研究所が述べていますが、この推計はおかしいです。以下のPDF書類が、日本エネルギー研究所が出した資料です。
原子力発電の再稼動の有無に関する 2012 年度までの電力需給分析
http://eneken.ieej.or.jp/data/3880.pdf
このPDFの内容における3.5兆円もの燃料調達費の内訳は...
・石油:135.1億ℓ → 409.6億ℓ (274.5億ℓ 1兆8870億円:203%アップ)
・ガス:4437万トン → 6439万トン (2002万トン 1兆3960億円:45%アップ)
・石炭:9,015万トン → 9,923万トン (908万トン 1910億円:10%アップ)
この推計は、省エネの規模を算定に入れていません。単純に原発分の発電量を石油や石炭、天然ガスに振り分けただけです。そこで省エネ分を含めた。実質的な数値を直近の2009年の発電構成を元に算定します。
2009年発電量:9550億kwh(資料:資源エネルギー庁 エネルギー白書2010)
ガス :2808億kWh(6161万kW 稼働率:52% 稼働率100%:5397億kWh)
原子力:2785億kWh(4885万kW 2011年現在稼働中 19 基:1758万kW)
石炭 :2356億kWh(3795万kW 稼働率:70.8% 稼働率100%:3324億kWh)
水力 :769億kWh(4617万kW)
石油 :727億kWh(4638万kW 稼働率:17.9% 稼働率100%:4063億kWh)
既に東京電力の電力需要(10〜15%)は平均11%削減(-1050億kwh)できているため、この比率を全国に適用すると、発電必要量は8500億kwhと計算できる。つまり、原子力の2785億kwhから省エネ分1050億kwhを引いた1735億kWhが必要な発電量と計算できます。これは、現在稼働中の19基の原発の発電量の1552億kWh(年間発電量)とほぼ同じ規模と言えます。つまり、この規模の電力を火力発電で調達すれば良いわけです。(値上げするとしても、産業部門の、使えば使うほど、安くなる料金設定を改めたり、ピーク時間帯の料金をある程度上げる事で、ピークを抑える事をするべきである)
出力に余裕のあるガス火力と石油火力を稼働率をアップさせる。
2012年発電量:8512億kwh(推計:9550億kWh − 省エネ1050億kWh)
ガス火力:2808億kWh → 4071億kWh(稼働率:52%→75%:45%アップ)
石炭火力:2356億kWh → 2450億kWh(稼働率:70.6%→73.4%:4%アップ)
石油火力:727億kWh → 1222億kwh(稼働率:18%→30%:68%アップ)
水力発電:769億kwh
注:以前のものに計算ミスがありましたので修正しました。
(修正個所:石油火力とガスの二酸化炭素排出量と石油の増分)
ガス増分:2002万トン 1兆3960億円(CO2:5683万トン)
石油増分:124億リットル 8432億円(CO2:3663万トン)
石炭増分:360万トン 756億円(CO2: 864万トン)
合計 : 2兆3148億円(CO2:1億0210万トン)
電力価格における燃料費:2.72円/kWh(2兆0972億円÷8512億kWh)
一般家庭の消費電力:280kwh/月に換算すると761円となる。
しかし、よくよく考えてみると、燃料価格以上の電力料金を払っているのだから、値上げするのは、そもそもおかしいのである。つまり、原発をやめるのならば、燃料代は全部、消費者に払わせて、自分達は電力料金14〜20円/kwhを丸儲けと言う話なのである。非常に傲慢である。権力を持つと、こうまで人間は傲慢になるものかと思う。
燃料価格
・天然ガス火力:11.05円/kWh
・石油火力 :12.64円/kWh
原発を停止しても、日本はガス発電の稼働率を75%、石炭火力の稼働率を73%、石油火力の稼働率を30%台にすれば大丈夫である。東電は、送電線(3兆円)を国に売却し、その売却益を持って賠償金に充てるのが妥当である。国民を騙すような統計を用いて、電力料金を値上げして賠償金に充てようとするのは姑息である。