SKY NOTE

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WIRED:「思考のコストと空気の支配」は、半分正しく、半分間違っていると言える

      • WIRED:思考のコストと空気の支配 から引用---

ここで注目に値するのが日本人は成人だけでも1億人近くいるという当たり前の事実です。自分1人が意見を変えたところで世論に対する影響は1億分の1……100万分の1にすぎません。
 
91年に年収500万円だった人にとって、経済政策運営が不味かったことによる被害額は1400万円です。自分が有効な経済政策を指示することによって政策が変わる可能性が仮に1万分の1上がる[*2]とすると……正しい経済政策を知ることの期待利得は1400円にすぎないのです。

                            • -

 
この中で正しいと思えるのは、多くの日本人がそのように考えているという点です。とても的確に我々日本人の心情を認識していると思います。(つまり、一億人が自分一人が変わっても「しょうがない」と考えるという事は1億人が「何も変えない」という「意見」を持っているという意味でもあるのです。つまり、日本人は「何も変えない」という候補に一票を入れているので、多数決で何も変わらないのです)
 
しかし、間違っているのは、自分一人だけが変わっても、全体への影響は一億分の一という解釈です。
 
というのは、インターネットの登場によって、一人の思考を他の人に伝播させる事が極めて簡単に出来るからです。そして、ねずみ算式に同調者を増やし、世論を変化させる事も可能なのです。ではなぜ、駄目だと...一人だけだと考えてしまうのかというと、戦術的思考で考えているからです。戦術的に自分一人という狭い視野でしか見ていない。自分が他の人に影響を与える事が出来れば、つまり、戦略的視野で見れば、世界を変える事も出来る世の中なのです。個人にそのような力を与えている時代は、ありませんでした。その為に必要なスキルや発想のスケール感が日本人には欠落していると思うのです。
 
表現力の高さが人を集め、それが権力になる。優れた表現力さえあれば、誰もが自分の意見を多くの人々に納得させ、社会を動かす事が出来るのです。それが戦略的視点から見た発想です。戦略とは全体を総合的に見て、その総体の中で最善を尽くす発想です。自分一人が変わっても何も変わらないというのは、一兵卒の兵士の発想です。(自分の刀の腕や体力を前提とした発想)
 
人を動かし世界を変えるというのは指導者の発想です。誰もが表現力さえあれば指導者になり得ます。インターネットがそれを可能にしています。人の意思は、それに賛同する人々をまとめる事ができれば、インフレーションを起こす事が出来る。その事実を想定していないという点で、この記事は半分間違っています。
 
人の意思をまとめるとき、そこに不満が蓄積している時です。その不満を代弁する者が現れたとき、多くの人々が賛同して、大きなうねりとなって歴史を変えてきました。有名なのはキング牧師の演説でしょう。
 
「I hava a dream!」
 
この言葉で黒人は自由になりました。大事なのは一人一人が変えたいという望みを声を大にして叫ぶ事です。それを代弁する言葉さえあれば、世界は変わります。一人だけではないのです。今の日本で社会に不満を持っている人間は1億人いると言ってもいい。その不満を代弁する言葉、表現力、それさえあれば、日本だけでなく世界を変えられる。それがインターネットのある時代の発想です。
 
不可能だと思う人間が一億人いれば、不可能になりますし、可能だと思う人が一億人いれば可能になります。単純にそういう事に気づけば、私達は不可能と考えなくなると思います。