SKY NOTE

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100年前の世界

NHK BSでアルベール=カーンの100年前の世界という番組を見た。普通100年前の映像と言えば、白黒が当たり前なのに、カラーが見られたのは鮮烈だった。100年前の世界で共通していたのは、何らかの形で階級があり、その呪縛の中で人々が生きていたという事だった。今は風化している差別や階級も、昔は厳然と存在していた事が分かり、自分の祖母の理解できなかった部分が見えた様な気がした。
 
祖母は私がどんなに合理で主張しても目上のものに逆らう事は許さなかった。悪い人ではなかったが、合理を超えた何かを感じさせる堅い価値観を持った人だった。子供の時の私が理由を聞いても何一つ応えなかったので、私はなぜ自分が否定されるのか全然分からなかった。
 
それが100年前の映像を見て分かったのは意外だった。つまり、それは19世紀の階級至上主義的な発想であり、20世紀の平等や公平を重んじる時代に生まれた私には理解できなかったのだ。祖母の頭の中では19世紀が厳然として生きていたのである。時代は変わっても老人の頭の中に過去が生きているという事をアルベールカーンの映像は私に見せた。彼の映像を通して、私は祖母を見る事が出来た。そういう意味で過去というのは、老人を通して現在に生き残る事が出来る。それがいいか悪いかは別にして、そこに存在するのだという事を実感させられた映像であった。