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消費税増税よりも法人税の欠陥を是正すべき 想定是正額:9兆4065億円

中央大学の先生が、消費税と法人税についてとてもいい話をしているので、紹介する。

 メチャクチャにされた消費税と法人税
 中央大学名誉教授 富岡幸雄 税務会計学
 http://president.jp/articles/-/17169

この中で、消費税を5%に減税する事で、消費意欲を喚起し、内需を拡大する事が経済活性化の切り札になると書かれている。代替財源についても、きちんと解説されており、法人税の課税特別処置などの税制上の欠陥を是正する事で9兆4065億円の法人税の増収が見込めるという。

この額は、消費税3.6%分に相当するので、法人税の欠陥の是正で、消費税を5%に減税できる事が分かる。

日本の法人税に問題があるのは、法人企業統計から分かる。企業の利益総額から、法定税率をかけた数字と、実際に支払われた数字が大幅に違うからである。

2014年法人企業統計企業をみると経常利益は64兆5,861億円に対し、2014年の法人税収は10兆0180億円、法定税率32%ならば、20兆7385億円になるはずなのに、実際には、その半額の10兆0180億円しかありません。これは、租税特別処置などの大企業優遇税制によるものです。

 法人企業統計 平成26年度
 http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/h26.pdf

2014年法人企業統計
 企業の経常利益:64兆5861億円
 法定税率   :32.1% 税収:20兆7385億円になるはずが…
 実際の法人税収:15.5% 税収:10兆0180億円

法定税率と実際に支払われている税率の違いがどこから生じるのかというと、租税特別措置という企業優遇税制によって、減税されているのである。この中で最も大きいのが研究開発費税制で、試験研究費の8〜10%(特別試験研究費は12%)を法人税額から差し引ける。これが2013年度で1兆8867億円に上るという。こういう優遇税制は、節税ノウハウのある大企業ほど有利に働く、そのことを示したグラフを紹介する。

 企業規模が大きいほど恩恵が大きい優遇減税額
 

利権化する優遇税制

  • これらの優遇税制は期限を3年にして、3年ごとに自民党の税調で審議されて、継続か否かが決まる。そうすると経団連が「ぜひ継続を」とお願いして、政治献金を集めるネタとなる。政治家にも企業にも嬉しいこうした集金・集票メカニズムができ上がっている。その減税のつけを払う形で、消費税を市民が支払わされている。つまり、企業は法人減税に加えて租税特別処置という形でも減税されているのである。この二階建ての大企業減税を維持する為に消費税を私達は支払わされているのが実情なのである。こんな事を、もうかれこれ27年もやっているのである。それを示したグラフを見てみる。
  • …ここまでが中央大学の先生の内容を要約したもの、この次は、それを踏まえて自分の意見を書く事にする。
  • 消費税と法人減税額の推移 
  • このように大企業には、こういった優遇税制で、過去20年の間に200兆円以上のお金が流れているのである。そうやって膨れ上がったのが、企業の内部留保である。
  • バブル絶頂期ですら99兆円だった内部留保が、2014年時点で今や354兆円にも膨れ上がってしまった。これらの資金は大企業の口座の中で眠っていて、実体経済に流れない。このように実体経済に200兆円以上もお金が流れないとどうなるかというと、不況になってしまうのである。現在のGDPは499兆円程度だが、それが699兆円になるポテンシャルがあるのにも関わらず、それらが大企業の内部留保という形で塩漬けになっているため、非正規雇用が拡大して、人々の賃金が下がっているのである。
  • このグラフを見ると、諸外国の賃金水準が軒並み上がっているのに、日本だけが、下がっている異常な状態が分かると思う。これらの国の賃金上昇率を見ると、内部留保実体経済に流す事で生じる賃金上昇率と同程度になることから、これらの優遇税制による内部留保の増大が、賃金低下の原因であると考える事が出来る。そして、現在、その賃金低下はどのようになっているのか、その全体像を見てみたい。
  • 非正規雇用の割合が、雇用者の38%程度にまで達している事が分かる。その大半がアルバイトやパートなどで、平均年収151万円という低賃金で働いている。もし、内部留保の規模をバブル絶頂期のレベルから1.5倍程度の150兆円程度に抑え、200兆円を租税などで実体経済に流したら、どうなるかというと、GDPは700兆円になり、賃金はGDPの4割程度なので、賃金総額は280兆円となり、それを雇用者5300万人で均等に割ると平均年収528万円となる。非正規がなくなるだけでなく、正規雇用の人々も賃金が上がる計算になる。つまり、それだけ多額の資金が、大企業の口座の中に眠っているのだ。これだけの賃金があれば、消費が喚起され、多くの人が豊かで安定した暮らしが出来るだろう。だから、内部留保外形標準課税の一環として課税したり、租税特別処置を廃止して、課税したりするなどして、実体経済に富を流す事が重要なのだ。