2016年12月5日、英国の大学と企業が電気二重層キャパシタの容量を従来の100倍にする材料を開発したと発表した。
英大学と英ベンチャー、電気2重層キャパシターの容量密度を100倍に
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/120805388/?rt=nocnt
開発した企業と大学
・英サリー大学、英ブリストル大学
・英Augmented Optics社と、その子会社の英SuperCapacitor Materials社
電気二重層キャパシタとは、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電量が著しく高められたコンデンサ(キャパシタ)である。基本的にコンデンサなので、大電流で充放電でき、化学反応を用いない為に充放電の反応も速いし、充放電サイクルも10~100万回程度まで可能だと言われている。反面、コンデンサなので自己放電によって時間とともに電荷が失われる。
電気二重層キャパシタは、バッテリーとしては容量が少なく、もっぱら、コンデンサの大容量版という役回りだったのだが、それが今回の発表で容量が100倍となり、リチウムイオンバッテリーの数倍の容量になったという。この新しい大容量の電気二重層キャパシタにより、電気自動車の充電時間が2~3分、航続距離が600km以上になり、スマートフォンの充電が数秒で出来たりするようになるという。
その新材料は、ソフトコンタクトレンズに使われる高分子材料からなるゲルを電気二重層キャパシタの電解質として用いる事でエネルギー密度が従来の100倍の数百Wh/kgに出来る見通しとの事。(ちなみにリチウムイオンバッテリーは100〜243wh/kg)
新材料の電気二重層キャパシタ:数百wh/kg
リチウムイオンバッテリー :100〜243wh/kg
今後は、ゲルの材料を電気2重層キャパシターのメーカーに提供して共同開発する方針だという。
この新材料を用いれば、電気自動車の欠点である。充電時間の長さ、航続距離の短さ、バッテリーの寿命の短さが一気に解決する。電気二重層キャパシタの放電特性が若干、心配だが、化学電池の危険性を回避できる点などメリットの方が遥かに勝る電池ができあがるだろう。この電池によって人々のライフスタイルは変わる。まず、充電時間が短いので、スマホの充電を数秒で終わらせるので、電話ボックスではなくて充電ボックスが登場するだろう。お金を入れれば、即充電できる。また、無料で充電できる公共充電ステーションも整備されるだろう。また爆発などはしないのでウェアラブル機器に適している。ワイヤレス充電システムがあれば、数秒かざすだけで、即充電なんて事も出来るだろう。ワイヤレス機器は、充電が面倒だけど、このバッテリーとワイヤレス充電機器は相性がいい。機器を充電台に置いたら、すぐ満充電だもの。電気が公園の水のように提供される時代が来るだろう。公園に太陽電池の屋根をもった充電ステーションが出来て、そこで誰でも充電できる時代が来る。プリペイドや1日の使用時間を制限にした無料通信サービスを組み合わせる事で、低コストでネット環境が提供できるサービスと組み合わせると、お金がなくてもネットに繋がれる社会が生まれる。電気が手軽にワイヤレスで供給できる社会が生まれる。そして、自動車が電気自動車になり、石油の時代が終わる事になるだろう。革命を起こす電池といっても過言ではない。そういう意味では、このニュースはもっと報道されてもいい。世界を大きく変えてしまう程の性能なのだから。
資料:サリー大学のプレスリリース(英語)