SKY NOTE

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TPPに支配される日本(TPPのルールメイキングはアメリカ主導である)

TPPの交渉において、前原氏がTPPに参加してから、ルールメイキングをすればいいという事を言っていたが、これは、下手なやり方である。孫子の兵法では

「勝敗は戦う前から決まっている」

とある。つまり、戦うときには、情勢判断をきちんとおこない、それで勝機がある時のみ、戦えとある。では、その情勢判断において考えると、TPP参加国のほとんどは農業輸出国である。故に多数決で農業輸出国に有利な決定がされるのは必定である。つまり、孫子の兵法で言えば、情勢判断において、日本は農業部門のルールメイキングに確実に敗北する可能性が高い。つまり、孫子の兵法的に習えば、参加して(戦って)からルールメイキング(勝とう)などというのは、空理空論であり、全く馬鹿げている。(どうも前原氏はメール問題などを見ると、攻めるときの事前の準備が足りないと思う。その周到さが足りない姿勢で日本を売り渡してもらっては困ると言いたい)

孫子の兵法では、また、戦争の上手下手を、こう述べている。

「敵のくずれを待つ」(軍形編)

戦上手は、まず自軍の態勢を固めておいてから、じっくりと敵のくずれるのを待つのだ。これをTPPに当てはめてみると、アメリカは自分と同じ利害をもった国々と連携して、戦う前から勝てる条件を整えているのに対し、TPPにおいて日本と利害を同じくする国々は全くない、つまり、情勢的に日本は負ける可能性が極めて高い。故にルールメイキングなど不可能である。つまり、TPPに参加すると、日本の通商関連の法制度は完全にアメリカ主導で決められることを意味する。私は、このルールを支配されるというのは、非常に危険だと思う。日本を売り渡すというのは、そういう事である。

通商上のルールを支配されると、貿易上のあらゆることが、そのルールによって障害を受ける。日本は過去にTRONというOSを世界展開しようとしたが、それをアメリカが妨害したことからも分かる通り、アメリカは、自国の利害に関わるようなことがあれば、日本に内政干渉してくるのは、こういう前例から明らかである。

つまり、日本の産業、農業、あらゆる側面で、アメリカにとって都合のいいルールが決められ、その過程で日本は今よりももっと弱体化していくであろう。ルールを支配されるというは非常に大きな事で、こういう強力な権力を他国にあけ渡してしまうのは、国の運営上、非常に危険だ。TPPに参加しても、得られるものはわずか数%の関税撤廃で、そのかわり、食料自給力など失うものは多い。

私は日本の競争力を高めるためには、鉄鋼(高炉鉄)や原子力などのオールドエコノミーを切り捨てて、高強度プラスチックや自然エネルギーなどのニューエコノミーに移行することが上策だと思う。ニューエコノミーとは、エネルギーや水など、文明的な暮らしにとって不可欠なものを供給するインフラ事業である。このビジネスは新興国を中心に兆単位のビジネスになる。こういうビジネスにおいて日本は技術的にとても大きな競争力を持っている。それが生かせていないのは、国や企業、あるいは企業同士の連携がとれていないからで、そのビジネスを強化するために必要なのは、TPPではなく、国と企業の連携強化である。

また、日本の国際競争力を高めるためには、極端なドル安や元安の影響を排除するため、日本円を刷って、国民ひとりひとりに配ることである。通常は金利を上げて対処するのだが、日本で金利を上げてしまうと、日本政府が債務不履行に陥るので、国民ひとりひとりに平等にお金を配るという形を取ることが望ましい。その条件として、省エネ家電や断熱ガラスなどを設定すると、それによって、省エネが促進され、相対的にエネルギー自給率が高まる。残ったお金を自由に使っていいということにしても、それで消費が促進されれば国内経済が潤い、円が安くなるので輸出産業も一時的だけど延命できる。この通貨政策で、急激なドル安を牽制しつつ、その間に、日本はエネルギー、資源、食料の自給が出来るように国内の技術革新と経済政策を展開し、最終的に日本は、輸入に頼らない国にする。そうすれば、自由貿易なんていらない国に出来る。つまり、自由貿易で成功したのは冷戦前までで、冷戦終結後はドル安により自由貿易では日本はメリットが薄くなっている。ここから先、ドル安が進めば貿易赤字を垂れ流す国になってしまう。そうならないようにするためには、TPP参加よりも、円を刷って極端なドル安を牽制しつつ、自給率を確保し、利益にならない古い自由貿易主義から脱却し、エネルギー、資源、食料を環境から調達する環境立国、日本を目指すべきである。
 
もはや貿易立国というコンセプト自体が古いのである。過去の成功体験を引きずっては国を誤ることになる。アメリカのドル安政策で、このコンセプトが通用しなくなっているときに路線変更できない日本の政治家の識見の浅さには呆れる他ない。