SKY NOTE

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「分かりやすい」とは何か?

説明に物語が有効な理由

「わかる」とは、因果関係をでっち上げることである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090911/204583/
 
という記事で、面白い内容だった。

1. 侯爵夫人は車を出すように命じ、そして出かけた。
2. 侯爵夫人は車を出すように命じ、そして床に就いた。
3. 侯爵夫人は車を出すように命じ、そして床に就いた、というのも彼女はひどく気まぐれだったから。
 
この三つの文章で、2の文章の説明が面白い。なぜ、公爵夫人は、車を出すと命じながら、自分は床についたのか説明されておらず、よく分からない文章になっている。このように何ら因果関係の説明されない文章には、著しく説得力が欠けているという事が分かる。つまり、「分かる」というのは、因果関係が説明されているという事だというのである。
 
2の説明不足を3の文章が補足する事によって、因果関係が成立し、「分かる」という事になる。つまり、人が分かったと認知するというのは、その因果関係が把握できた時に感じる現象であると言っているのだ。
 
これには「なるほど」と思った。
 
つまり、物語が説得力を持つのは、物語の中で物事の因果関係がきちんと説明されているからである。単なるデータの集合体の場合、その因果関係の把握は、データにどのような意味があるか分かっている人間でないと分からない。しかし、その意味を補足する文章があれば、個々の内容に因果関係が生じ、「分かる」という事になる。そういう意味では分かるという感覚は、「リンク」という事ではないかと思う。
 
そう考えるとニューロンがお互いにリンクしあっていく過程が「分かる」という現象なのかと思うと、非常に面白い事だと感じた。個々の因果関係を説明していく事に集中していけば、認知効率のいい情報が作れるというワケだ。
 
例えば、分かりやすいマニュアルとか、分かりやすい文章など。非常に有益な事に使える。大抵、分かっている人間だと、文章をシンプルにする為に、個々の内容の相互の因果関係を省き、リストで書いた方が分かりやすいと勘違いしてしまう事があるが、内容の意味が分からない人には、それが何の事だか分からない、分かりにくい文章になってしまう。
 
典型的なのが若くして亡くなった天才数学者、ガロアで、彼は自分の理論を分かりやすくしようとシンプルにまとめたつもりだったが、しかし、その論文は当時の科学者には理解されなかった。それに絶望したガロアは決闘して死んでしまう。もし、ガロアがこのことを知っていたら、シンプルにまとめるよりも、個々の因果関係に注視して説明する事で、その天才的偉業が認められたかもしれない。そして、絶望して死ぬ事もなかったのかもしれない。後に、彼の理論を理解したリューヴィユは、こう分析している
 
 ガロアが生前認められなかった理由を...
 「簡潔にまとめようという意識が過剰であり、明快さに欠けたため」
 
 参考資料:ガロア(天才数学者)より
 http://ja.wikipedia.org/wiki/エヴァリスト・ガロア
 
この明快さとは、因果関係の事を示しているのだと思う。つまり、必要な説明を省きすぎたのだ。因果的要素に注視すれば、分かりやすい文章が書けるという法則が分かっただけでも重要な事だと思う。