SKY NOTE

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官僚たちの夏を見た

TBSの日曜劇場 夜9:00の新番組「官僚たちの夏」を見た。
 
久しぶりに面白いドラマが見れた。印象的な台詞は、「俺は出世する為に通産省に来た訳じゃない、理想の国を作る為に来たんだ」という台詞、そういうまともな感覚を持った官僚が今はいなくなってしまったのが悲しい。
 
上から目線で威張ろうとする為に作った規制やルールが今の日本には多すぎる。その為に姑息な手段を使い、息のかかった学者や組織を繰り出してお墨付きを得て、特殊法人特別会計で予算をまわして利権をむさぼる。
 
風越はそういうクズ野郎とは全く正反対。日本の為、己の理想の為に頑張る。アメリカに勝とうとするところは、男らしいというかカッコいいと思う。アメリカに自動車を売り込もうとして小型車を提案するが、おもちゃと馬鹿にされる。
 
普通、風越の様な奴は左遷されるか首になりやすいが、首にされず、きちんと昇進するところは、きちんとした評価の出来る上司がいるという事だ。上がきちんとしていれば、その下もいいのが出来る。日本の政治は頂点からしてクズ、利権政党自民党がこの国に君臨している間は、日本に未来はない。まだ、この時代は戦後から立ち直ろうとして皆が頑張っていた時代で、戦争を体験した上司も多かった。だから、皆が戦争に負けた悔しさをバネに一致団結するところがあった。今の日本はバラバラ、官僚や政治家は利権を企業は利益を求めるばかりで、理想の理の字もない。あるのは「理」ではなく「利」のみ。
 
しかし、「利」のみの発想でやってきたアメリカは今回の金融危機で破綻した。「理念」なき経済など破綻するだけなのだ。所詮、経済というのは世の中を幸せにする為の道具の一つにすぎない、いわば脇役、主役と勘違いするような事があってはならないのだ。物事の筋道からすれば、風越の様な奴の意見の方が断然正しい。理想の国を作る為、日本に自動車産業を根付かせ、アメリカに勝つ。つまり、幸せを具現化するものやサービスを充実させて、それをアメリカに売り込んで今度は経済で勝つ!実際、日本は80年代にアメリカに勝った。
 
今の日本は、アメリカの間違った経営手法をありがたがって、真似をして、今回の金融危機で、その間違いに気づくというような体たらくで、あまりにも情けない、自分独自の理想や理念を持たぬものに世の中など切り開いていけるはずもない。きわめて幼稚で未熟な発想だ。その典型例がソニーだ。創業者がいた時代は、理念、理想があったから、新しいものが生まれ、それが世界を変えた。今のソニーの決算発表で聞く話は「今年の利益はどーのこーのシェアがどーのこーの」という話で、新しい事は何もない。あるのは「利」の話のみ、なんとお寒い事か。
 
「理」があってこそ、「利」が生まれる。それは歴史を見れば明らかだ。良いサービスや良い製品には必ず優れた理念がある。その理念を追求し具現化する事こそ、商売の鉄則なのだ。所詮、商売とは「ありがとう」の対価としてお金をもらう事なのだ。人に感謝される様ないいものは、儲け主義からは生まれない。風越の様な皆を豊かにしようとか、便利にしようかとか、そういう人の「理」(ことわり)を理解した発想から、いい「ありがとう」が生まれる。そして、それが利益を生み出すのだ。
 
今の日本が目指すべきは、環境だ。世の為、人の為、未来の子供達の為、どんな製品が世界で喜ばれるのか、きちんと考えてものを作れば、世界はそれに応えてくれる。そういう世の中になりつつある。ブッシュ政権では逆風が吹いていたが、オバマ政権になって神風が吹いている。
 
その神風に乗れば、再び経済をたち直らせる事も可能であろう。地球の未来を作るという新しい「ありがとう」が生まれつつあるのだから。商売の基本は「ありがとう」であり、その事から逸脱した利益(儲け主義)など、何の為に存在するのか分からない。そういう経済は破綻するのだ。それは大黒柱のない建物と同じ。
 
理念という柱のない儲け主義など、崩れて消えるのが関の山、それは商売の歴史が証明している現実。そういう歴史のないアメリカは、暴走し破綻した。歴史のある日本がそれをありがたがって真似るなど、馬鹿げている。
 
風越の様な官僚、あるいは考え方を持った人間が増えれば、日本はよくなる。なぜなら、物事の本質を理解しているからだ。商売の基本は「ありがとう」であり、その為の道具として経済があるという現実、人の理(ことわり)を理解し、何をすれば世の中の利益になるか常に考え、そのために頑張る風越の様な発想こそ、今の日本に必要であり、また足りない考え方だ。
 
風越の理想の国を作るという発想は、今の日本では青臭いとか馬鹿にされる発想だ。しかし、本当に青臭いのは、利益のみに偏った経済をありがたがる今の風潮こそ青臭いのだ。なぜなら、商売の歴史では利に偏った商売など倒れるのが関の山だと書いてあるのだから。歴史という名の社会の経験を理解する成熟した発想であれば、風越がいかに正しいのか分かる。そして、金融危機で破綻したアメリカがいかに正しくなかったかが分かる。
 
「利」の本質は究極的には「理」であるという事が分からないと、日本は立ち直れないと思う。特に今の日本は。風越を見ていると、特にそう感じる。