食料自給率を上げる為には、まず、現状を把握する必要がある。
穀物・大豆の消費量
飼料用:1200万トン(飼料用トウモロコシ)
食用米:900万トン(2001年)
食用麦:536万トン(2004年)
大豆 :434万トン(2005年)
ここで大事なのは、穀物生産が最大のネックだと言う事である。日本は土地が狭く、大量に生産する必要のある穀物を低コストで生産するのが難しい。そこで、穀物生産をどうするかという点に焦点を絞って提案する。
0.飼料の1200万トンを代替肉で減らす。
人間様に匹敵するくらい、家畜が穀物を消費している。そこで、クォーンという代替肉を提案する。クォーンというキノコというかカビに近い肉に似た味のする茸があり、この茸を作る事によって、肉の需要をまかなう。イギリスでは既に低カロリーの代替食品として販売されている。
実際に食べている人の感想
味気ない
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/deutschebaeckerin/comment/20070625/1182774842
結構うまいという話
http://tempest.blog3.fc2.com/blog-entry-951.html
クォーンについて(マイコプロティンというカビから出来るタンパク質)
http://wiredvision.jp/archives/200204/2002041904.html
イギリスの食品会社のサイト
http://www.quorn.co.uk/CMSPage.aspx
1.日本は米を作るべき
日本人はパンをやめろというのではなく、米が最も単位面積あたりの収量が高いからである。
<1ヘクタール当たりの収量>
飼料米:8.0トン/ha
食用米:5.2トン/ha
麦 :3.7トン/ha
大豆 :2.75トン/ha(2.5〜3t/ha)
飼料米の収量
http://www.jeinou.com/benri/stock_raising/2008/04/220938.html
日本の田圃の面積:260万ヘクタール(利用されているのは160万ヘクタール、100万ヘクタールは使われていない)使われていない100万ヘクタールのうち、90万ヘクタールを使えば、飼料米ならば720万トン生産できる。つまり6割の飼料に相当する。しかも、これから日本は人口が減るので、2030年には、この量は7割に相当する量となる。残りの3割をクォーンの様な代替肉でまかなえば、飼料自給率100%も夢ではない。
2.最大のネックはコスト
・労働時間(10aあたりの労働時間
アメリカ:1.5時間(1〜2時間)
日本 :38時間(アメリカの25倍)
・農機具のコスト(10aあたりの農機具のコスト)
アメリカ:0.2万円
日本 :2.9万円(アメリカの14.5倍)
農機具単価:農用トラクターの小売価格の日米格差は1.1倍
・肥料の量
アメリカ:19kg
日本 :27kg
・農薬費
施用面積
日本 :ほぼ100%。
アメリカ:10〜20%
農薬単価:主要農薬価格の日米格差は1.3倍。
・収量
5.5t/ha(日米ともに大体同じ)
資料:農林水産省 (3) 国内農業の体質強化
http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/chousakai/nougyoubukai/4kaisiryou/hontai2-3.htm
このように、日本は単位面積あたりの労働時間と農機具コストが極めて高いのでコストが高いのである。その割に単位面積あたりの収量は大して変わらない。故に改革するとしたらこの部分である。農法を大幅に変えて、労働時間や機械を大幅に変更する必要がある。短時間で済ませられる農法と、機械の利用効率を高める体制や農法の改良が必要である。
3.水田にはダムに匹敵するほどの治水効果がある
日本は既にダムに利用できる土地を使いきっている事から、これから温暖化の被害を防ぐ為には、水田の治水効果を無視するわけにはいかない。
http://www.inakajin.or.jp/midorihozen/01/06.html
この資料によれば日本の治水ダムを全部合わせた貯水量は38.7億立方メートルであり、水田200万haの貯水量は44億立方メートルだそうです。つまり、水田には日本の全てのダムに匹敵するほどの貯水量があるという事です。これから、温暖化によって洪水が増える時、この貯水量は必要です。では、どのようにして水田をタムの様にして使うかというと、以下の様な資料があります。
総合治水における水田の役割と整備計画
http://web.pref.hyogo.jp/contents/000038726.pdf
無線で小型の水門を開閉する事により、台風や大雨などがくる直前に水田の水を抜いておき、雨が降ってきたら水田に水を溜める。
<各種資料>
1.飼料用トウモロコシ
飼料用トウモロコシ1200万トンの9割をアメリカから輸入
http://www.jacom.or.jp/kensyo/kens101s06033102.html
農林水産省:米をめぐる現状 P.28 配合飼料の原料割合(2006年概算)
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/keikaku/pdf/071002-04.pdf
2.食用米
食用米の流通量900万トン
http://www.local.co.jp/news-drift/agri-99kome.html
農林水産省:米をめぐる現状(2006年)P.22 水稲の作付け面積・収穫量の推移
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/keikaku/pdf/071002-04.pdf
3.食用麦
農林水産省:米をめぐる現状(2006年)P.27 小麦の消費量
http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/keikaku/pdf/071002-04.pdf
4.大豆
大豆のおはなし(2005年)
http://www.ezaki-glico.net/daizu/area.html
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この中で大豆の生産に関する項目はない。大豆は輸入に頼ることになるのかもしれない。ただ、人口が減れば土地が余るので、その土地の余り具合とバイオテクノロジーによる単位面積あたりの収量の改善などが組み合わされば、ある程度は自給できる可能性がある様に思える。
麦も除外している。536万トンもの小麦を生産する土地がない。収量からいってパンは米から作るべきだが現在の小麦価格では無理だ。しかし、穀物価格の上昇局面がこれから長期に渡って続くのならば、その限りではない。
まとめ
日本は米を作るべきである。米からパンやご飯や飼料を供給すればいい。水田を有効に活用して水害を減らしたりするメリットもある。最大の問題はコストだが、最近の穀物価格の高騰がこれから長期に渡って続くというのならば、それほど問題にならなくなるだろう。または、足りない分を補助金で補填しても、それほど大量のコストが生じなくなる。日本は食糧安全保障上の観点からいって、補助金を出すのは妥当性があるし、また、食糧価格高騰だけでなく、供給されなくなる事も考えられるので、供給安定上、妥当なコストである。減反にお金を払うよりも、新しい農法や新しい品種の導入などで、生産コストを下げる努力をし、その上に補助金を足す形で食糧自給率を上げるべきである。