人それぞれという言葉に違和感を感じる

よく、選択肢のある命題に対して、人それぞれという言い方をする人が多くなったが、私から見ると、それほど寛容な人間には見えない。人によって正義は違うというのは、何を正しいと考えるかという質問なのだ。私は人それぞれと言って自分が何を正しいかという質問を避ける人をあまり信用しない。なぜなら、自分の考えがない人間ほど厄介なものはないからだ。付和雷同したがるのも、この種類の人間であり、このタイプの人間が暴走すると止めようがない。だから、ある意味とても恐ろしい。
　
己の考えがないので、都合のいい方につくのである。行動（考え方）に秩序というものがないので、交渉が出来ない。そして、考えがないので、コアとなる人間に全責任を押し付けて、自分には関係ないと言い出すのがこのタイプ。そう、第二次大戦後のナチスの戦犯を裁く時、上官の命令でやったという連中と基本的に同じ価値観だと私は見る。だから、分かった様な顔をして人によって正義は違うと言って自分が何を正しいと考えるかということを言わない人間は、私は自分の考えがない人間です。そして、都合のいい時に都合のいい立場に翻る信用できない人間ですと言っている様なものだ。
　
私の正義は、最終的に人の幸せを願う事、人によって幸せの形は違うのだが、死んでしまってはどうしようもないので、生きて、なおかつ幸せであることが大事だと思っている。それを実現するのを妨げる不当な力を退けるのが正義だと思う。つまり、戦争は、これを避ける。攻めてきたら守るが、その際は戦争を早く終わらせ、人の死ぬ量を減らす事が正義となる。また、単に戦争を終わらせるだけでなく、将来に遺恨が残らない様にきちんと大義名分を設定し、きちんと終わらせる事を考える。そういう意味でイラク戦争は悪だと言う。
　
後々に遺恨が残る様な大義を設定しない戦争では、過去の歴史から見ると、内戦や紛争の火種となって復興を阻害する。それを片付けるのに時間と労力と金と命が犠牲になり、人が不幸せになるから悪なのだ。だから、私はハッキリ言うイラク戦争は悪だと。過った戦争をしてしまったアメリカにとって、今とりうるべき正義は、紛争状態を調停し、きちんとしたイラク政府を作り、人々が安心できる社会にする事である。