IDF2016で、次世代メモリが明らかになってきた。注目は何と言っても、転送速度が2TB/sとされるHBM3である。
現在のCPUは、大体2GHz位のクロック周波数で、メインストリームのチップが4コア程度、この程度であれば、転送速度は…
64bit(8byte)×2GHz×4core=64GB/s
64GB/sもあれば充分である。現行の巨大なコアで4コア程度しか乗せられないプロセッサであれば、HBM3のような2TB/sのメモリ規格は必要ない。しかし、グラフィックチップは違う。4KでVR映像(4K映像×2枚[両眼]×120Hz)を扱おうとすれば、最低でも1TB/sは転送速度が必要である。余裕を持とうとすれば2TB/sは欲しい。そういう意味で4KディスプレイやVRヘッドセットを購入する予定の人は、HBM2以上のものが必要になると思う。注目のHBM3は、2019年〜2020年に登場する予定との事。HBM3では、電圧も現行の1.2Vから大幅に引き下げられるとの事なので、発熱量も減ってファンもうるさくなくなるだろう。
具体的な数字があまりなくて、いかにも規格策定中といったところだが、分かっているのは、容量が現行の8Gbitチップから16Gbit、積層数も現行の8層から、それ以上となっているので、1モジュールあたり16GB×積層数の増えた分になって、恐らく4モジュールで64GB以上になる事と転送速度が2倍の2TB/sになる事。容量が倍増する事でサーバやHPC向けにも適したスペックになると言う感じがする。転送速度は、コンシューマであれば4KのVRがサポートできるスペックという感じがする。
最新のGPU Geforce GTX 1080は、4K60Hzが限度、4KVRには、この4倍のデータ転送速度が必要
GeforceGTX 1080で可能なVR表示:2K×2(両眼)×120Hz
資料:https://www.pc-koubou.jp/blog/gtx1080.php
4K60Hz:メモリ転送速度:320GB/s メモリ容量:8GB、ストリーミングプロセッサ:2560個
4K×2(両眼)×120Hz:メモリ転送速度:1440GB/s 容量:16GB ストリーミングプロセッサ:5120個
4K×2(両眼)×90Hz:メモリ転送速度:1080GB/s 容量:16GB ストリーミングプロセッサ:5120個
・メモリ転送速度があれば、ストリーミングプロセッサの稼働率が2倍になると想定。
・ストリーミングプロセッサの個数は2倍、稼働率2倍で4倍のスペックを実現すると想定。
・メモリ容量は表示ピクセル数に比例させた。4K×2枚だから、2倍の16GB
他にも低コスト版のHBMの規格が準備中との事で、内容は、ベースロジックダイを省き、インターフェース幅を1024bitから512bitに半減、高価なシリコンでない低コストな有機材料によるインターポーザの採用による低コスト化をするようだ。
仕様書を見るとインターフェース幅が半減するけど、ピンあたりのスピードは、従来の2Gbpsから3Gbpsに向上しているので、推測だけど750GB/sまで行けそう。低コストなHBMの方が普及しそうな感がある。2017年に登場するGDDR6が500GB/sなので、スペック的にローコストタイプのHBMの方が上だし実装面積も少ないので、GDDR6ではなく LowCostHBMが普及するかもしれない。量産できればの話だけどね。
自分としては、2019年くらいにMac miniにHBMが採用される状況になって欲しい。そういう意味では、LowCost版のHBMに、4Kディスプレイという感じかな。一応ギリギリVRもできて4Kで90Hz表示が出来るスペックがあればいいかな。あと、ハードディスクではなくてSSDが採用されていて、メカニカルディスクによる動作ボトルネックがないのがいいな。4Kの3D立体画像って人間の視覚をかなりハイレベルに再現していると思う。まるで、そこに別の世界が存在する異次元が生じる筈だ。そういう新しい体験の出来るスペックを下支えするメモリ技術が今回発表されたと自分では思っている。