久しくJPEG規格は変わらなかったが、どうやら複数の新しい規格に段階的にステップアップして標準化するようだ。
- JPEGも型番の時代に突入!?JPEG XTやXRに加え、
- 新規格JPEG XSやJPEG PLENOが標準化に
- http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150710_711229.html
新しいJPEG規格(Movie、3D、2D、著作権管理、古い規格のサポート)
JPEG XS(動画:MotionJPEGの非圧縮版のような感じ)
- 非圧縮画像/映像の転送のための低遅延軽量コーディングシステム
- 高度に相互運用可能な解決策として、合理的な予算の範囲内の電力と帯域幅を維持しつつ、画像品質を確保し、高解像度とフレームレートの実現を目標とする。
JPEG PLENO(3D:映像の立体構造、光の再現)
- 3D情報の規格
- ・光場(ライトフィールド) 光源の方向を記録する
- 多機能化に向かう次世代カメラ (1/5)
- http://ednjapan.com/edn/articles/1011/01/news113.html
- [:W360]
- ・点群(ポイントクラウド) 三次元の点の集まり
- ・ホログラフィック
- メタデータ、画像編集機能などをサポートすることを目標とした規格
- 点群のデータで立体構造を把握し、その立体物にあたる光の反射の仕方をライトフィールドで把握すれば、より忠実な立体モデルが記録できる。非常に高い演算処理能力が必要なため、この技術はスマホのカメラに採用されるであろう。
JPEG XT(2D:サンプル精度向上/HDR、可逆符号化、不透明度)
- 従来のJPEG規格の拡張仕様
- ・JPEGと後方互換性
- パート6:サンプル精度の向上(国際規格前の最終段階)
- パート7:HDR(High Dynamic Range)(国際規格前の最終段階)
- パート8:可逆(ロスレス)符号化(国際規格案の段階へ進行)
- パート9:不透明度のサポートが追加
JPEG Privacy & Security
過去に作られたJPEG規格をリファレンスライブラリでサポート
- JPEG XR(Microsoftが作ったJPEG次世代規格→普及せず)
- ・リファレンスソフト実装の進行
- JPEG2000(標準化したが普及せず)
- ・リファレンスライブラリ「OpenJPEG」の採用を承認
この新しい規格群は、整理すると分かる…
・JPEG XSは可逆画像動画(可逆動画をコンパクトに)
1/2〜1/6の圧縮率で低消費電力で画質優先のフォーマット(VRなどに使われる)
・JPEG PLENOは3D写真(光場、点群、ホログラフィック)
・JPEG XTは2Dの高品質化(HDR/サンプル精度向上、透明度、)
・JPEG Privacy & Securityは著作権管理
・そして、過去に作られたJPEG規格(JPEG2000/JPEG XR)
- リファレンスライブラリでサポート
…ということで、JPEG規格の再編とも言うべき大規模な規格改定である。これらのJPEG規格は、JPEG規格を時代の要請にあった形に再編するものであり、これは恐らく広帯域メモリ規格、HBMなどの登場により、豊富なプロセッサパワーが利用できることを見越して、従来は高負荷であるため、避けられていた機能、特に3D写真規格のJPEG PLENOあたりは、そういう感じだと思う。他は、今まで改定してみたけど、普及しなかったりして、出直しという感じですね。(JPEG2000/JPEG-XR)
JPEG PLENOの3DデータをGoogleが収集してAIで処理をすると、かなり正確な物体認識ができるだろう。そして、通常、立体カメラでは影に隠れる部分は、情報が欠損している。しかし、膨大な3DデータをAIで認識し、同種のものだと認識できれば、3D写真データの欠損した情報を補完することも可能だろう。さらに、AIが進歩していけば、その物体情報と概念とリンクして、コンピューターにモノを理解させることができる。そして、考えてイメージを展開して予測し、目的が与えられれば、それに合わせてイメージを展開して行動を自動選択し、人間のように「考える」事ができるコンピューターが生まれる。そう言う意味では、JPEG PLENOはコンピューターの目にもなるだろう。そして、HAL9000のようなコンピューターが生まれるかもしれない。