SKY NOTE

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成功した市民運動に見る改革への道筋

成功した市民運動について考えてみると、アメリカの公民権運動がある。キング牧師の「I have a dream !」という演説は感動的ですらあり、多くの人々の共感を生み、それが政治的なうねりとなって黒人差別は法的になくなった。

重要なのは、キング牧師の力強い言葉、誰もが納得するような説得力のある演説、そして「I have a dream !」と言って希望を語ったこと。

聴衆が受ける印象は、正義への強い印象、そして、希望なのだ。人々は、その力強さに背中を押されてデモ行進をし、希望を胸に反対運動を繰り広げた。これと同様のことが、オバマ大統領の選挙の際にも行われた。Yes we can.である。

さて、これらに共通するのは、聴衆の自尊心に訴えかけることにある。つまり、「I have a dream」や「Yes we can」などは、要するにこれは「私たちには出来るんだ」と感じさせる強いメッセージ性がある。これが、人々を動かし、社会を揺り動かす原動力なのだ。つまり、単なる批判に終わらず、そこに可能性を感じるからこそ、人々は共感し行動するのである。つまり、成功する市民運動とは何かというと「可能性」がキーワードなのだ。

国全体を動かす大きな運動とは、そういう可能性がないと成立しないように思える。そんなの日本ではあり得ないと思うかもしれないが、田中角栄日本列島改造論の演説に、そういう傾向を見ることが出来る。(2分38秒あたり)日本らしく世間話っぽい話から始まるが「こうすれば出来るぞ」というイメージが伝わってくる事が大事なのだ。

人は絶望からは動かないわけで、希望が継続と拡大を生み出す原動力であることが分かる。

3.11後の日本において、最も足りないもの、それは希望である。その希望こそが改革の原動力なのである。「これだからダメなんだ」よりも「こうすれば出来るぞ」と言われれば、やれると信じられる。そして、実行してみたくなる。それが人なのである。ヒトラーのように悪用するものもいるが、正しく希望を語れば、世の中を良い方向に変えられるのである。ただ、今の日本人の絶望は深く、希望を語っても、多くの人がそれを批判し、潰すことにばかり躍起になる傾向があり、これがなかなか難しい。最近だと小泉が希望を語っているのだが、彼の場合、人々に希望を抱かせるのはいいのだが、その希望通りに結果を導かず、もっぱら、アメリカや富裕層の利益のために行動してしまう人なので、彼の演説手法は人々に希望を抱かせ効果的であっても、彼自身は支持するに値しない存在であった。重要なのは、希望を抱かせる演説と、それを実現しようとする誠実な人間である。この2つの要素が満たされないと、状況を好転できない事だ。誠実な点で、都知事選での宇都宮さんは合格点だったのだが、演説は小泉氏のようにはいかなかった。細川・小泉陣営も演説は良かったのだが、国家戦略特区など富裕層よりの政策を掲げており、片手落ちだった事は否めない。

不誠実な人間が誠実になるのは、かなり難しいが、演説が上手になるのは、それほど難しいことではない。よって、宇都宮さんも演説が、もっと上手になれば、この状況は変わるのではないかと感じる。しかし、宇都宮さんだけに期待するのではなく、もっと、宇都宮さんを盛り上げる僕達にも問題があると感じる。

話がそれてしまったが、重要なのは誠実さと希望(可能性)である。この2つが両立すれば、社会改革は実現する。希望が民意を集め、誠実さが、その民意を実行する。これが成功する市民運動の形である。そして、3.11後の日本において、必要なのは、希望を語ること、そして、それを実現する誠実な政治家にそれを託すことなのである。間違っても、それは自民党ではないことは確かだし、小泉ではないことも確かなのだ。そして、投票率の低さは、この希望のバロメーターであり、そこから希望が決定的に不足している事がわかる。特に若者の絶望感は強い。しかし、キング牧師の演説に熱狂しているのは若者であり、本来、若者は希望を与えられれば、社会を変えるだけの力を持っているのである。あまりの酷い状態に絶望しそうになるが、私たち大人は、その若者に希望を語らねばならない。そうすることが、3.11の真の復興をする事になるのである。

 一言で言うと...
 絶望をものともしない力強い希望、それが成功した市民運動の特徴です。