SKY NOTE

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今回の選挙結果の失敗の総括(2012年12月18日)

今回の選挙について分析してみたい。

まず、投票率
 2009年 69.28%
 2012年 59.32%(戦後最低)

この投票率の低下の原因は、絶望だと推測される。人々の醒めた目線の根底には、絶望があり、その絶望を希望に変えるだけの明確なビジョンを持った政策を日本未来の党がマスコミの偏重報道なども相まって、示せなかったことが大きい。これを見ていて思い出すのは、アメリカの大統領選挙ロムニーの敗北と重なるものがある。

 ロムニーの敗因は雇用創出に対する明快なロードマップを示せなかったため
 http://markethack.net/archives/51849170.html

ロムニーの経済政策は、アメリカ人の「どうやって雇用創出してゆくのか?」という疑問に対して、有効な政策を提示できなかったことが大きい。ロムニー個人の成功は、金持ちをより金持ちにするようなものでしか無く、その方法論では、GDPは増えても、社会は貧しいまま、それをアメリカ国民に見透かされ、敗北した。日本の場合は、その逆なのだが、明確なビジョンが示せなかったという点では同じ。

では、人々が何を望んでいたかというと、世論調査では...

 
 毎日新聞の中盤情勢調査 2012年12月11日
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121211-00000006-maiall-pol

景気回復       :32%
年金医療、介護、子育て:23%
消費税増税財政再建 :10%
震災からの復興    : 7%
原発・エネルギー政策 : 7%
外交・安保      ; 4%

...となる。つまり、トップ3のニーズを合わせると65%となり、これに明確な提案、あるいは、希望のもてる提案ができなかったことが、問題であった。さて、それ以外に問題はなかっただろうか、本当は問題の大きさから言うと、トップ3は、TPP、原発、消費税増税である。なぜなら、これら3つの問題を解決しないと、景気対策も、年金、医療、子育てもままならないからである。

この点をどうして訴求できなかったのかというと、原発、TPPの問題をマスコミがほとんど報道しない上に、これらの問題は理解するのが難しいのである。知らない上に難しいので、多くの人が棄権を選んでしまったと考えられる。また、その問題点を訴求する、反原発、反TPPの市民活動も、なぜTPPが危険なのか、なぜ、原発がマズイのか具体的に説明できずに選挙が終わった感がある。これは、説明を誰にでも分かるように簡略化しようとして、その結果、多くの必要な説明を省いてしまった事に原因があると思う。その必要な説明とは、人々の「何故?」に答える説明だ。

 例文
 「グローバル経済は何故ダメなのか?」
 「新自由主義では何故ダメなのか」
 「原発で被害者が多く出ているように見えないのに、何故危険だというのか?」
 「TPPのような貿易交渉がなぜ、医療や年金に関係するのか?」
 「なぜ、原発をすぐ止めないといけないのか?」

多くの説明は、問題点を列挙するばかりで、その問題がどのように危険なのかという理由を書かなかった。それが多くの有権者にとって、「疑問」となり、そして、それが「疑念」に変わり、その結果、支持が広がらなかったと考えられる。つまり、多くの人たちにとっては、「あいつらは、反対、反対と騒いでいるだけ」と思われてしまったことは否めない。

本当はこういう理由を伴った詳細な解説には、出版物で対応するのが望ましかったが、今回の問題では、そういったものが少なかった。特に原発問題を体系的に表現した無料の電子出版物は、皆無であり、インターネットで散文的にあるだけで、それらをまとめた体系的なものは、なかった。TPPに対しても同様で、これの何が問題なのかという情報は、サルでもわかるTPPでも解説されていたが、そこに書かれていることは絶望的なことばかりで、そこから、どうやって日本経済を立て直すかという絶望から希望へのロードマップが示せなかったことが、問題だったといえる。投票率を見れば、希望が人々の意欲に結びついていることがわかるので、反対運動というのは、逆説的に、その反対をやれば希望のある未来があることを提示しなければいけないのだと分かる。その意味で、今回の選挙の敗因は、2つあって...

 1.人々の「何故?」に明確に答える説明が出来なかったこと
  →疑われて否定される
 2.希望の持てる提案を明確に提示できなかった事
  →絶望によって意欲が失せ、その結果、拡散せず、支持が広がらない。

これに加えて、それを広められなかったこともあるかもしれないが、それは希望と関係してくる。人は現実的で希望のある提案ならば、他の人に広めたいと思う。つまり、希望が持てる現実的な提案が拡散力につながる。そこから考えると2が十分でなかったことが、拡散力を制限してしまったといえる。つまり、1の疑問に答えることで、対抗勢力を論破し、その上で2の現実的提案を伴った政策論を提示する事で拡散する事が必要だったのである。思えば、1と2が十分にできているとはいえなかった。

つまり、景気回復、年金、医療、少子化の問題について、現実的な提案ができなかったことが問題であった。もっと言えば、TPPに入ってしまえば、景気回復も、年金、医療、少子化問題も、さらに悪化することをきちんと説明できなかったのは大きかった。そういう説明をした上で、日銀引き受けによる円安誘導、それによる輸出拡大、公共事業子ども手当、復興、福島の移住計画などを提示し、そして、デフレ下の紙幣発行はむしろ、経済に良い影響があるということを実例を示しながら説明し、景気回復の道筋を具体的かつ現実的に説明。また消費税を増税をしても、景気が税率以上に冷え込むため、トータルな税収が下がり、財政再建に結びつかない事、輸出企業と官僚にのみメリットがある事、そして、庶民は重税に苦しむという現実を、前回の消費税率を5%に上げた時の事例を上げて説明し、全く効果がないばかりか、むしろ景気を冷やして税収が下がって財政再建には結びつかない事を説明。(自殺者も増える)だから、消費税増税は、やらない事が正しいと説得することが必要だった。これらのことを分かりやすく、そして、人々が疑問を持たない詳細さ(具体性)を持った明瞭な説明が必要だった。それが出来ていなかったので「あいつら、騒いでいるだけ」と捉えられててしまった感がある。本当はデモ集会の演説では、そう言う説明がされていたし、そう言う動画を撮ってきた自分にとって、それを広められなかったことが悔しい。そういう反省することの多い選挙であった。問題は、それらが何十時間にも渡る動画の中にあり、それらを十分に編集し、コンパクトにしていなかった事にあった。もっと言えば、それらの内容を咀嚼し、体系的にまとめ上げ、そして、わかりやすい図解や表などを入れて、ワンパッケージで電子出版という形で提示できていなかったことが最大の問題だったと思う。コストと時間の掛かる仕事だが、それをネットで無料で提供し、もっと言えば、カンパを募るような形が望ましかった。例えば、100ページの電子本であれば、99ページを試し読みが出来、お金を払うと残り1ページのあとがきが読めるというような形が望ましい。これによって、沢山の人に無料で配ることもできるし、僅かながらも労力に対する対価を払ってくれる人も出てくるだろう。つまり、明瞭な説明で否定、希望で拡散が必要だった。今回の選挙では、曖昧な説明で否定できず、絶望で拡散できなかった感がある。

新自由主義は庶民にとって絶望そのものである現実を諸外国の事例から具体的に明瞭に説明し、その上で、そうではない希望の持てるストーリーを提示し、拡散することで日本社会を変える必要がある。それが今回の選挙の失敗で分かった事である。来年の夏の参院選では、これらの反省を踏まえて、対応したいと思う。そして、ねじれ国会に持ち込んで、自民党もろとも旧体制を2015年までに滅ぼし、新しい政治勢力の確立を助けること、それが目下の自分の目標。そうしないと安心して生活できない。そういう意味では「国民の生活が第一」という党名は的を射ていたと思う。