アラブの春の流れを受けて、パレスチナが国連で「国家としての承認」を申請している。
中国新聞:パレスチナ、国連加盟申請へ イスラエルの反発必至
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201109240051.html
パレスチナは、今までは国以下の組織という扱いだった。だが、アラブの春を受けて、国家への格上げを目指している。国連加盟国193カ国の2/3(129カ国)の承認が得られれば、国家としての承認が降りる。国連でのパレスチナの国家への格上げが可能となれば、国際司法裁判所での提訴も可能となり、イスラエルの不当な入植活動に対し、国際的に提訴が可能となる。
アメリカは、安保理で拒否権を発動しようとしている。オバマ政権は、来年選挙であり、ユダヤ票の獲得に躍起だが、拒否権を発動するのは、結果としてユダヤ人以外の票を失うという想定を持っていないといけない。目先の票を得るために自由を獲得しようとしている人民の邪魔をするような事をすれば、自由の国の大統領としての格が下がるというものだ。ユダヤ票を失っても自由の守護者としてのアメリカを演出する事が彼がするべきことだ。
イスラエルは、これまでパレスチナを軍事力でいじめすぎた。約束をしては、勝手に破り、境界線を自分で設定して、勝手に入植し、暴力で自分たちの主張を通そうとしてきた。しかし、ここに法的な縛りが効くような形が生まれつつある。もし、国家として承認されれば、衝突は暴力ではなく、法的に行われることになる。そして、その法をイスラエルが破れば、国連軍が仲介者として来ることになる。そうなれば、根深い問題にアメリカやフランスも国連軍という形で介入させられることになり、なるべくのことならば、パレスチナに国家として承認させたくないのように見える。だが、他の国は承認するだろう。アラブの春はイスラエルすらも対象となる。これまで暴力によって支配してきた者たちを、法と秩序が律する世界に組み替える流れが生まれつつある。それは素晴らしいことだ。
世界が大きく変わりつつある。アメリカの威信の失墜、アラブの春など、1989年のベルリンの壁崩壊以来の大規模な変革の流れが生まれている。国際経済における先進国の威信の失墜など、新しい威信を持つ国々の台頭が予見される。1989年は、アメリカがトップだったが、2011年以降は、トップのアメリカの威信は、このパレスチナの国連加盟申請を防げないことで名実ともに失墜し、新興国、先進国の地位が拮抗しはじめた時代として歴史に記されるであろう。その中で、日本は新しい大きな流れの中で、どう生きていくのか、考える時代に来ている。1989年以降の日本はいいとこなしだった。2011年以降は、新しい時代の波にうまく日本は乗れるのだろうか?興味深いところである。