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温室効果ガスを出さない社会

2004年の温室効果ガス(要約)

  • 1.電気    :24.4%(3.4億トン)
  • 2.自動車   :17.4%(2.4億トン:41.8%/上位積算)
  • 3.製鉄    :12.7%(1.8億トン:54.5%/上位積算)
  • 4.プラスチック:10.6%(1.5億トン:65.1%/上位積算)
  • 5.暖房    : 9.0%(1.3億トン:74.1%/上位積算)
  • 6.船舶・農業 : 6.0%(8400万トン:80.1%/上位積算)
  • 7.都市ガス  : 5.0%(7000万トン:85.1%/上位積算)
  • 8.セメント
  • +ガラス  : 4.2%(5800万トン:89.3%/上位積算)
  • 9.工業用ガス : 2.7%(3700万トン)
  • 10.亜酸化窒素 : 1.9%(2600万トン)
  • 11.メタンガス : 1.7%(2400万トン)
  • 12.石炭その他 : 1.2%(1700万トン)
  • 13.フロン   : 1.1%(1500万トン)
  • 14.紙の製造  : 0.9%(1300万トン)
  • 15.ジェット燃料: 0.9%(1200万トン)
  • 16.六フッ化硫黄: 0.4%( 500万トン)

 

  • 現状はこうである。上位8分野で全体の89%を占めている事がわかる。つまり、温室効果ガスを出さない社会とは89%、こういう産業を炭素を出さないモデルに転換する事である。

 
1.電気

  • 電気の温室効果ガスの殆どは、火力発電が占めている。火力発電の優位性は需要に合わせて電気を生産出来る事である。よって、出力を需要とシンクロさせながら自然エネルギーに転換する事が求められる。 
  • ガス火力:2814億kwh:都市の電子化(600億)+地熱発電(2000億kwh)
  • 石炭火力:2523億kwh:風力(700億kwh)+LED(1280億kwh)
  • +太陽光(600臆kwh)
  • 石油火力: 971億kwh:人口減少1100億kwh(2030年までに1400万人減る)
  • スマートグリッド:6000万台の車×4kwhのバッテリー(2.4臆kwh)
  • 2030年までに石油火力程度の需要は、人口減少で消滅し、石炭火力の規模は太陽光と風力とLEDの発光効率の向上で達成出来る。ガス火力については、地熱発電と都市の電子化で達成可能だ。よって、不可能ではない。問題はそれをどうやって実現するかだが以下のリストが、その対策
  • 地熱+風力   :環境税を原資とする長期無利子融資+国有地の使用許可
  • 騒音の少ないブレードの開発、微風でも発電するブレードの開発
  • LED     :200lm/w+調光(技術革新:現状では2015年に達成するペースだ)
  • 人口減少    :何もしない(ほっとけば自動的に減る)
  • 都市の電子化  :3Dディスプレイの普及+高速GPU+各種疑似体験センサ+ソフト
  • スマートグリッド電気自動車の普及(EVのインセンティブ)

         EVを買うと高速道路無料化+低燃費+低税率+低利融資(1%:国債5年)
         自然エネルギーによる発電に有利な税制
 

  • 現実的には、電力の供給調整能力の観点から言うと、火力発電を全部なくす事は出来ないが、8割方減らす事は可能と見られる。



 
2.自動車
 電気自動車:66%削減(既にモデルカーが存在する)
 バッテリー:13%削減(キャパシタの耐久性アップ+大容量化)
 軽量素材 :10%削減(バイオプラスチック食物繊維で強化するBNFの研究
 バイオ燃料:10%削減(藻からバイオディーゼルを作る研究
 
3.製鉄
 
スクラップ鉄と新型電気炉で鉄は自給出来る

  • ぶっちゃけスクラップ鉄から鉄を電気炉(3400万トン)で作れば、日本国内の需要3500万トンは満たせる。従来は、柔らかい鉄しか出来ず、それが出来なかったが、最近になって電気炉でも硬い鉄が作れる工場が稼働し始めた。日本の鉄の生産量1.1億トンの内(2004年)、約66%が輸出品に使われているので、自給という観点だけで見れば、二酸化炭素をゼロに出来る資源(スクラップ鉄)も技術(硬い鉄が作れる電気炉)も既に日本は持っている。スクラップ鉄を電気炉で解かすのには電力が必要だが、その部分を集光型太陽電池(発電効率40%)を休耕田に配置し、その電力で鉄を作れば、電力も鉄も両方、自給可能だ。自給は電気炉で可能だとしても、輸出製品は、どうするのだという観点があるだろう。ここからが、将来技術が必要になってくる分野だ。

 
BNF(2500万トン削減)

 
ハイテン鋼材(2000万トン削減)

  • 残りの6000万トンをどうやって作るかが課題となるが、これに対し、ハイテン鋼という鉄に特化する。このハイテン鋼とは微量のニッケルなどを混ぜる事により、鉄の強度を飛躍的に上げる技術だ。高性能なものだと鉄の強度を倍に出来ると言う。つまり、それは鉄の生産量を半減出来ると言う事だ。実際には、そう上手くいかないだろうから1/3が減らせると考えて見ると、4000万トンが鉄の生産に必要な量だと試算した。


バイオガス:1600万トンの鉄

  • 天然ガスで鉄を作れる技術が既にある。それはつまり、バイオガスでも鉄が作れるという事も意味する。バイオディーゼルやバイオポリマーを作る際に大量の粕が生じる。その粕をメタン発酵すると80億立方メートルのメタンガスが作れと私は試算している。これは1600万トンの鉄の生産が可能となる規模である。

 
バイオプラスチック燃料:1000万トンの

  • (車のBNFの廃材 想定500万トン+ゴミ500万トン)
  • 車の廃BNFとプラスチックゴミを合わせて1000万トンと試算

 
残りの1400万トンは生産しない

  • 残りの1400万トンは輸出しないで各国で生じるバイオゴミを活用する。日本だけならば、電気炉だけで需要を満たせるので、各国で生じるプラスチックゴミを燃やして鉄を作れば良い。

 
4.プラスチック

  • バイオプラスチックの開発が必要。まず、藻を大量生産し、そこからバイオポリマーを作る技術を確立する事が必要。2020年以降に実用化出来るのではないかと見ている。
  • 藻を大量生産 :海洋で作る(大量の裳を作る)
  • 発酵用燃料  :稲ワラの回収インフラ(ゴミの回収インフラを活用)
  • 藻からポリマー:優れた酵素、あるいは、それに代わる技術

 
5.暖房

  • 灯油などの暖房用燃料は、ペアガラスでその4割が削減可能である。窓から45%の熱が逃げており、今までは45%捨てていたと言う事である。これを断熱ガラスで捨てている熱を5%にまで減らし、40%削減、残りの6割を太陽熱や地熱で暖めた空気を圧縮するヒートポンプを使って暖房すれば、灯油やC重油が必要なくなる。
  • ペアガラス    :40%削減(従来のエアコンの電力消費も抑えられる)
  • 高効率ヒートポンプ:60%削減(ヒートポンプ=エアコンの事)
  • 太陽熱吸収パネル(太陽電池から集熱)
  • 地熱吸収井戸(地熱から集熱)

 
6.船舶・農業(A重油:実態は非課税の軽油)

 
7.都市ガス(家庭・商業)

  • その殆どは給湯需要であり、お湯をどうやって効率よく作るかが課題だ。風呂の給湯は保温浴槽で1/2程度に出来る可能性がある。これは毎日入る人ならば、冷める前に必要な熱量をつぎ足せばいいので熱量を1/3できる計算になるからだ。そうでない人もいる事を考慮すると1/2というのが丁度いいのではないかと思っている。また、節水シャワーを使えば、お湯の量は半分で同じ勢いのシャワーが出来る。
  • 風呂の給湯:保温浴槽+節水シャワーで半減
  • 太陽熱+地熱→ヒートポンプ給湯(半減したお湯をヒートポンプで作る)
  • 調理   :電磁調理器の低価格化(電力消費が増える)
  • 要するにヒートポンプと電磁調理器で代替する。火を使わないので地震が起きたときに火災のリスクが減らせる。阪神淡路大震災では火災の被害も酷かった。よって、地震国としては火を使わない社会を作る事が大事だ。たばこを電子タバコにしたり、仏壇のロウソクもLEDにしたり、調理も電磁調理器、暖房はヒートポンプなど、火を使わない技術を使う。それが命を守ったり、ガスを使わず電力を使う事で、エネルギーの自給を可能とする。ガスより、電力の方が作りやすい。欠点は、作りやすいが溜めにくい事。

 
8.セメント・ガラス

  • 大半がセメント生産に使う石炭や石灰の加熱から生じる二酸化炭素なのだが、これはジオポリマーという古代の技術が問題を一挙に解決する。通常、セメントを作るときには、石炭を燃やした熱で石灰を加熱して、セメントの原料を作るのだが、ジオポリマーの場合、常温で生産出来るため、石炭も燃やさないし、石灰も加熱しないので二酸化炭素が出ない。よって、セメントをジオポリマーに転換すればいいのだ。ガラスはBNFへ移行する可能性がある。コスト次第ではあるが、BNFの方が軽くて熱伝導率が低いのだ。しかも、従来のポリマーよりも熱に強い。よって断熱窓に最適なのだ。

 
まとめ

  • 上位8グループで基本的に約9割に相当する。つまり、二酸化炭素をこれ以上削減するなんて無理と言うのは、直訳すると、「これ以上削減するには旧来産業の俺達の仕事がなくなる」という意味と「新しい技術を使う為の資金がない」という意味の2通りがあると思う。前者の意見は時代の流れであり、新しい産業に速やかに転職してもらう事が必要であり、後者は環境税を原資としたグリーンバンクで補う事で対応する。また、「規制があってそれが出来ない」という意味も含まれていると思うので規制緩和も必要だ。そして何より技術革新を促す為のインセンティブや投資も必要だ。