SKY NOTE

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2010年のワークスタイル

2020年にライフスタイルという記事で、私は民主党政権を前提としてシナリオを書いた。今日は、そのシナリオの中で企業経営のシナリオを書いて見ようと思う。(自分は長期予測は得意だが、短期予測は不得意なので、それを差し引いてみてほしい)
 

  
企業は、低い賃金水準を求めて、派遣に頼っていたが、民主党政権の樹立後、そういった事が出来なくなった。テレビなどでエコノミストが海外に労働力が逃げていき、その結果、国内の雇用が危険にさらされるというコメントを出してきた。
 
しかし、簡単に首が切れない法律に変わってしまったので、企業は従業員を安易に切る事も出来ず、経営を再構築する事を迫られた。そこで正社員の賃金を下げ、派遣社員の賃金を上げ、尚かつ、ワークシェアリングをする以外に企業には選択肢がなかった。また、経費を節減する為に一部で電子オフィスの導入も進んだ。さらにもっと経費を節減する為に、照明やオフィス機器の節電も徹底するという、かわいた雑巾を絞る様な努力が続けられた。
 
幸いな事に世界経済の回復とともに業績が回復する傾向にあった企業は、首を切る必要性もなく、生産効率の向上の為に無駄を省く事に邁進していた。そんな中、2010年にChromeOSの登場は、企業のITコストを劇的に下げるという触れ込みで登場し、企業は、タブレットPCを導入し、Googleと契約する事でIT管理コストを軽減した。GoogleGoogle Gearの法人バージョンを用意しており、Googleのサーバが止まっても業務が滞らない様にソフトを整備していた。また、Google Waveをベースとしたリアルタイムメッセージサービスの登場によって、企業の意思疎通が簡便になり、オフィスを必要としないオフィスレス業務が増えた。コミュニケーションが簡単にできる様になったので、企業は中間管理職を減らして給料を節減し、実動部隊の比重を増やす事で業務の生産性を上げていた。また、手形など、商取引に関わる書類が、電子化された事も業務のスピードアップと効率向上に役立った。
 
企業はオフィスの電子化により以下の経費を節減できた。
・交通費
・出張費
・オフィスの賃貸料及び電気代
・中間管理職の削除(要するに意思疎通がIT化され中間組織が必要なくなった)
 
賃金、ワークスタイルの変化
・所得格差→給料の平均化
 正社員の給料が減り、派遣社員の給料が正社員扱いになり、給料が平均化
・派遣切り→ワークシェアリング
 業績の悪いときにはワークシェアリングでしのぐしかなくなった。
 
また、企業は競争条件の変更を余儀なくされた。つまり、単なるコスト競争では従業員を食わす事が出来ないので、製品の世界展開と高付加価値路線を追求するしかなくなった。そこで環境や電子オフィス製品が注目を浴びる様になった。従業員は英語や中国語を勉強し、海外展開業務に備えた。日本が不得意なビジネスモデルの構築も外国から講師を招いて勉強するなど、生き残る為に必死の努力が続けられた。
 
高付加価値路線を追求する為には、長期の研究開発が必要となってくるので、企業はアメリカ型経営を見直し、株主配当を減らし、その分を研究開発に割り当てる様になった。単純に量の勝負をするのではなく、質の勝負をする為には、今までと違うものを作る必要があり、その為には、多額の配当金を払うよりも、研究開発をするしかないという結論に至った。その結果、外国人投資家が減る事が懸念されたが、新しい製品が登場し、魅力的な商品が出来る様になるにつれ、その懸念は株価の上昇で払拭された。要するに株主にとって重要なのは、将来性であり、中国やインドと量で勝負してジリ貧に陥る企業よりも、将来性がある利ざやの大きいビジネスが出来ている企業の方が投資対象として魅力的だったのだ。
 
また、魅力的な製品が出来た企業は、世界中で製品が売れ、結果ととして量産効率が向上する事で低コスト競争が可能となり、その結果、高付加価値、低コストが両立するという好循環を生む事になった。この事で、単に製品を安く作る事にこだわるのではなく、魅力的な製品が結果として製品を安く作る事に繋がる事に気づいた企業は、こぞって研究開発を重視し、アメリカ型経営からは、どんどん離れていった。
 
そして、書店では、「新日本型経営」とか「アメリカ型経営の何が悪いのか?」とか、そういう本が並ぶ様になっていた。アメリカ型経営は、間違っていたものとして軽蔑されるようになっていった。
 
...と、このように2010年以降、企業は生産性を上げる為に、涙ぐましい努力をする事になると予測しています。生産部門に比べて、日本はホワイトカラーの生産性が低いと言われています。コストを削減するとしたら、その部分なので、そこを重点的に書いてみました。また、生産量で考えると、経費の削減は出来ないという発想になりますが、実際には質で考えると、別の視点が見えてきます。つまり、テープをMDにしたように、新規性の高い製品を作り出す事で市場を刷新する事で新たな需要を掘り起こし、市場を大きくする事で量産効果を最大化し、コスト競争力をつける。その為には低コスト化できる部分は水平分業のメリットを追求しつつも、付加価値の部分は垂直統合するという、変速型生産形態を追求する事になると予測しています。そういう形を追求するには、アメリカ型経営の様に短期的な利益を追求するというモデルはなじまないと考えました。最後は、そのなじまない状況を書店に並ぶ本のタイトルで描いています。
 
私は歴史的に考えて、日本が最も強かった時代を考えてみると、他が追従できない様なハイテク製品を作っていた時代が最も強かったと思います。アメリカ型経営が導入される様になってから、技術見本市のCEATECの中小企業ブースで新しい製品が潮が引く様に消えてゆき、面白くなくなっていったので、要するにアメリカ型経営をすると研究開発が出来なくなると私は解釈しました。そういう肌で感じた感覚で私は文章を書いています。新しいものが生み出せないという事は、日本にとって危険だと思った私は、アメリカ型経営の危険性に警笛を鳴らし、このシナリオでは否定しています。要するにアメリカ型経営とは、アメリカ人の欠点をそのまま反映しているのです。つまり、目先の利益の為に長期的な利益を無視する。あやふやなグレーゾーンのものを認めない。でも、新しいものはグレーゾーンを肯定しないと生まれません。なぜなら、新しいものほど経験がなく確証がないのですから、ハッキリとしていないのは当たり前です。
 
そういう世の中の常識を一切無視するのがアメリカの欠点です。新しいものを生み出すには、目先の利益ではない長期的な視点が必要だし、新しいものを生み出すには、ハッキリしていない事でも肯定できる度量の広さが必要です。アメリカが人材を輸入してばかりで輸出できないのはなぜでしょう。それは人を作る生産性が低いからです。周囲から搾取する事によってしか成立しないやり方は、長続きしません。いずれ駄目になります。そういう考えの元、このシナリオは書かれています。