最近、近所のネコがいなくなった。もう十年近くそのネコを見ていたのにぱったりといつもの場所からいなくなった。思えば、だみ声で6ヶ月に一回くらい返事をし、普段は、しっぽで挨拶したり、目を合わせたりする奴だったのだが、いなくなると寂しいものだ。
いつもは近くの家のスクーターの座席の上が彼の特等席なのだが、その場所からいなくなり、今はがらんとしている。最近は、あまり幸せそうではなかった。以前は、近くのお爺さんの家でタオルをかけられて、とても幸せそうに寝ていた。おじいさんがいなくなってからは、向かいのうちに引っ越したのだが、おじいさんの家ほど、ゆったり休める場所ではなかった。
それでも、毎日買い物に行く途中で会う奴がいないと、結構寂しいものである。死んじゃったのかなと思うと、なんだか、静かに悲しいと感じる。生きているか死んでいるか分からないけど、もし死んじゃったのならば、寂しいものだ。
決して、愛嬌を振る舞う奴ではないのだが、妙に貫禄があって、いつもその場所にいて安心感があった。まるで見守られている様に感じるくらい、大物って感じのネコだった。態度も大物そのものでふてぶてしいのだが、まぁ見ていて飽きない奴だったのだ。
でも、もうそのネコはいない...寂しいものだ。
