SKY NOTE

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自由貿易が国を富ませるという幻想

現在、明らかに敗北する戦いを日本人はしている。それは、様々なデータから見て明らかである。高齢化という労働力劣化と、ゆとり教育という白痴教育を20年も続けた結果の若年世代(20〜30代)の労働力劣化と、中国人と日本人の工場労働者の賃金格差は10倍、人材の劣化とコストの高さを勘案すると、高付加価値路線に行くための良質な人材も育っておらず、また、それが出来なくとも、低コストな生産性を達成することも難しい。残っているのは真面目な労働者であることだけ。それも豊かになろうと必死になっている外国の若年労働者に比べれば、どれほど優秀かどうかも分からない。外国の留学生を見ると、頭がいいし、日本語マスターしている。要するにかなり勉強してるんだよね。ああいう優れた人材が海外にいると思うと、なかなか勝てないと思う。人材の質と量、そしてコスト、すべての面で劣り始めている日本。だから負けている。

かといって、AIを進化させてロボットを生産して機械で低コストに生産しようとすると、今度は、人間そのものが要らなくなる。そうなると労働総量が減った分、労働時間を規制強化し、最低賃金を上げないと失業者と低賃金労働者であふれる事になるが、TPPに入ってしまうと規制緩和を国際条約としてしまうので、自国の都合で規制強化がままならない状態となる。つまり、TPPに入った後では、AIと移民が日本人を苦しめるようになる。本当はTPPに入らずに移民を受け入れず、AIで労働力不足を補い、減った仕事の分は休日(週休4日制)に出来るはずなのに、TPPに入ったら、それができなくなってしまう。

そんな不利な自由貿易をなぜ人々がやろうとするかというと、外貨で石油や石炭を購入しないとやっていけないという恐れがあるからだ。マスコミもそれを助長するように自然エネルギーは高いという印象操作をしている。数年前まで明らかにデマだったのは、太陽光は45円/kWhで高いというもの、これをヤマダ電機が23円/kWhの太陽電池(取り付け工事費込み)を売りだした直後から、嘘だとバレてしまったので尻すぼみになった。このようにマスコミはハッキリと嘘を言っている。つまり、それだけの力が働いている。

自由貿易をしないとエネルギーが手に入らない、食料が手に入らないという情報だけしか伝わっていないものだから、TPPも仕方がないと受け入れてしまっている人が沢山いると思います。しかし、それは杞憂なのです。たしかに昔の日本はエネルギーや資源や食料を自給することは出来ませんでしたが、今は違います。エネルギーは再生可能エネルギー省エネで、資源は、鉄はリサイクルして硬い鉄(高級鉄)が作れるようになり、石油を作る藻とそれで出来るプラスチックを鉄並の強度にする加工技術やレアアースは最近発見された海底鉱床があります。食料は使われていない農地の活用、二毛作、多収穫米の活用で自給できます。

1.食料の自給

  • 日本の農地は、全体で470万ヘクタールあります。その内138万ヘクタールが休耕田(100万ha)や休耕地(38万ha)です。これに福島第1原発事故で120万ha使えなくなったとおおまかに計算しますと、総合的に農地として使えるのは350万haとします。日本で自給できないのは、主に飼料(とうもろこし)と穀物(麦)と油脂材料(大豆)です。
  • 必要な穀物(飼料・米粉)を多収穫米で生産
  • 飼料用とうもろこし:1200万トン
  • 小麦       ; 450万トン
  • 飼料米      :1650万トンで代替(米粉/飼料)
  • 汚染された農地
  • 使える田んぼは原発事故前は260万ヘクタールでしたが、恐らく1/4程度が放射能汚染で使えなくなっていると安全面を考慮して計算すると195万ヘクタールである。そこで、多収穫米を使って生産量を増強する。
  • 食用米:やまだわら: 9トン/ha  92万ヘクタール  830万トン
  • 飼料米:モミロマン:10トン/ha 165万ヘクタール 1650万トン
  • 合計 :            257万ヘクタール 2480万トン
  • 内62万ヘクタール(二期作
  • 必要な水田面積         195万ヘクタール
  • 多収穫米と二期作の活用により、安全な米を自給できる事がお分かりと思います。二期作は、戦前まで日本では埼玉県あたりでもやっていたので、そこから南の地域はほとんど出来ると考えられます。不幸中の幸いなことに汚染された農地は、二期作が出来ない寒い地域でしたので、二期作が出来る農地は十分残っています。使われない農地は集光型太陽光発電の用地として使えばいいでしょう。コメの味に拘る人も多いと思うので、この案の他に飼料米の半分の飼料を藻で量産することによって、収量の少ない高品質米(5.3t/ha)を作りながら、穀物を自給するプランもあります。ただ、藻の量産は現在、研究中ですので、今示しているのは、実際に存在する食用米の品種で生産した場合ということになります。これとは別に食用油を作る為の藻のカスを飼料に転用するというプランも考えられます。藻で作ると必要な農地が1/100になるので、土地の狭い日本にとっては、非常に有望な選択肢です。油脂材料を大豆ではなく藻で作れば、必要な農地は1/100となり、大豆の大半の需要は、これでまかなえます。(納豆や味噌や醤油に使う程度の量の大豆は現在の農地でも生産出来ています)さらに飼料米の生産はエネルギー自給にも直結します。というのは、稲というのは、コメの1.1倍程度の稲わらが出ます。従来は、農地にすきこんだり、燃やしていました。しかし、コメの生産量が2480万トンだとすると、稲わらは2728万トンにもなります。これをバイオコークスというバイオ石炭にすると、その85%が石炭に出来ます。その量は2318万トンです。石炭1kgあたり3kWh発電出来ますので、231.8億kgの石炭から696億kWhの電力が発電できます。さらに排熱も利用した高効率発電技術も組み合わせれば、発電効率が現在の40%から50%になり、696*1.25倍となって、870億kWhの電力が発電できます。これは日本の現在の電力消費量9360億kWhの内の9.3%(870億kWh)に相当します。つまり、水田によって食料の自給のみならず、エネルギーの自給もできてしまうのです。さらに水田をダムとして活用すれば、洪水を防ぐ手段としても活用できます。


2.エネルギーの自給

  • LEDによる省エネで1000億kWh削減
  • 省エネと再生可能エネルギーが鍵を握ります。省エネは様々な技術があるので主なものとして、LEDによる照明需要の削減とAIと3D技術によるオフィスの半減を説明したいと思います。照明は日本は1500億kWh使っていますが、現在、LEDを活用することで1/3に出来ます。現在、蛍光灯は85lm/wで、LEDも市販品の大半は85lm/w程度です。ですが消費電力が半分の照明器具があります。これはなぜかというと、発光の仕方の違いによるものです。蛍光灯は原理上、光る方向が360°照らしてしまいますが、LEDだと必要な方向のみに発光できるため、同じ発光効率でも必要な面の反対側まで照らしてしまう蛍光灯と違ってLEDは、必要な方向にだけ光を当てることが出来ますので、半減しているわけです。LEDは、現在190lm/wの製品が高価ながらも出てきていますので、今後、それらが普及すれば1/4程度になる。つまり、現在1/2程度の電力消費のLEDが将来的には1/4になる。その中間をとって1/3程度にできると考えられるわけです。日本の照明需要の大半は蛍光灯で、その電力消費は1500億kWh、これが1/3になれば1000億kWh削減できることになります。
  • AIと在宅勤務でオフィスが半減し、1350億kWh削減
  • AI(人工知能)は既存の仕事の3割を今後20年以内に置き換えると言われています。それに加えて在宅勤務の規模も3割に登ると試算すると、オフィスの需要以下のようになります。
  • オフィス需要
  • AI:70%×在宅勤務:70%=オフィスの需要:49%
  • 照明や断熱による削減分を省いたオフィスの電力需要は2700億kWh、これが半減すると、今後20年以内に1350億kWh削減できます。在宅勤務はマイクロソフトWindows 10のHololensというヘッドマウントディスプレイを見れば、どこでもオフィスになることがわかると思います。
  • Microsoft HoloLens - Transform your world with holograms
  • 紹介した省エネ技術だけでも2350億kWh削減(25%削減)できることが分かります。他にも二重窓による断熱、インバーターによるモーターの節電などを加味するとエネルギー需要は半減できます。それを示したフローを紹介します。
  • 節電(合計:4510億kWh削減)
  • オフィスの電子化   :1350億kWh
  • LED        :1000億kWh
  • 人口減少       : 650億kWh(人口減少10%)
  • モーターインバーター化: 600億kWh
  • 断熱(二重窓・断熱壁): 560億kWh
  • 家電         : 250億kWh
  • ITの省エネ     : 100億kWh
  • 自動車・船舶・農業機械:石油→電気化( + 520億kWh)
  • 自動車(454億kWh)
  • ・乗用車 (205億kWh:ガソリン564億L)
  • ・トラック(249億kWh:軽油343億L)
  • 船舶・農業機械(69億kWh:石油91億L相当
  • 省エネ規模は3990億kWh(4510億kWh−520億kWh:3990億kWh)
  • 9240億kWh(2012年)-3990億kWh=5250億kWh
  • 必要電力量:5250億kWh(2035年)
  • 集光型太陽光 :1800億kWh
  • バイオコークス:1300億kWh(廃木材:1000万トン+稲わら:2318万トン)
  • 地熱     : 860億kWh(日本の地熱資源の43%程度)
  • 水力     : 850億kWh(現状のまま)
  • 家庭用太陽光 : 250億kWh
  • 風力     : 200億kWh
  • バイオコークスとは、乾燥バイオマスを高圧力で固めて石炭と同質にしたものです。性質が石炭と全く同じなので、従来の石炭火力発電所でも使用可能です。しかもカーボンニュートラルなので二酸化炭素は増えません。日本の樹木の年間生成量は2億立法メートルと言われています。木の比重を0.55として計算すると1.1億tあると思われます。電子化などで紙需要が減り、その内の9%程度を発電用の木材として活用できると計算して1000万トン(100億kg)という計算です。これには廃木材を回収するための林道を整備しなければなりませんが、そういった所に公共投資をするべきです。つまり、地方では使わない道路よりも、発電用木材を回収する為の林道を作るべきです。稲わらと合わせれば、地方の電力は地方で生産できる状態が生まれるでしょう。集光型は発電コストが安い太陽電池です。これらを組み合わせれば、エネルギーの自給は可能です。地熱資源は日本では2000億kWh程度があると言われていますが、その内の43%程度活用できるものとして試算しました。これらの発電設備をスマートグリッドで繋ぎ、電気自動車のバッテリーなどを使うなどして、ムラを吸収して安定的に電力を供給すれば、日本は再生可能エネルギーのみでやっていけます。

3.資源の自給

  • プラスチックの自給
  • プラスチックは、オーランチオキトリウム藻などで生産できる。現在は藻から油を抽出するのにコストが掛かりますが、今後10年以内に実用化(低コスト化)するものと考えられます。日本のウェットバイオマスをかき集めれば260億L程度は賄えるという話です。この内、放射能汚染を考慮して1/4を削って1950万トン
  • プラスチックが作れれば、国内のプラスチックの消費量1600万トンを賄うことが可能になります。また、広島大学が発表したプラスチックの結晶化率を高めて硬くしたナノ配向結晶体(NOC)を用いれば、車の車体の需要も賄えるようになるでしょう。従来よりも硬いプラスチックができれば、必要量が半減するので、余ったプラスチックを建築材料に使うことが出来るでしょう。さらに、この超プラスチックは、フライパンの柄に使われているフェノール樹脂なみに耐熱温度が高いので、窓にも使えるでしょう。軽くて断熱性能の高い二重窓が作れる。
  • 鉄の自給
  • 日本の再製鉄の規模は3000万トン、古い鉄を電気炉で溶かして生産できます。昔は柔らかい低級な鉄しか出来ませんでしたが、今は固い鉄が作れるようになりました。日本のスクラップ鉄の発生量は3000万トンで、日本国内の鉄需要は3500万トン程度、これから日本は10%ほど、人口が減るし、プラスチックが自動車(鉄:500万トン相当)に使われるようになる。
  • (鉄需要3500万トン−自動車500万トン)×人口90%=2700万トン
  • 鉄需要は2700万トンとなり、自給可能となる。

まとめ

  • このように食料、エネルギー、資源の自給が出来るだけのバイオ資源や自然資源があるため、自由貿易は必要ない、なぜ自由貿易を避けるべきなのかは、冒頭で述べたとおり、これからAIが普及すれば、必要な人的労働力が減る。それに対応するためには、労働時間規制が必要であり、自由貿易協定で提唱されている規制緩和と逆のことをしないと、失業者で溢れかえることになるからだ。人々を失業させずに、しかも、労働時間規制と最低賃金の値上げによる富の分配を国内で実行する為には、外貨に頼らない経済が必要であり、それは実現可能だということを、説明することによって、残業代ゼロによる長時間労働や移民による不安定な社会が出来てしまう自由貿易を放棄し、人間らしい生活が日本の技術を使えば出来る。そうすることによって皆が幸せになれるということを説明し、TPPは日本には、いらないんだと言いたいのだ。