SKY NOTE

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非正規を増やすのは「競争のため」ではなく「株主のため」

非正規雇用が2012年、2000万人を超えたそうだ。正確には2042万人、前回の調査よりも152万人増えたという。(前回は1890万人)

 非正規労働2000万人超す 介護者、60歳以上5割(2013.7.13)
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013071302000140.html

そこで、どうしてここまで非正規が増えたのかということに目を向けてみたい。競争のために非正規というが、実は違う。なぜならば、企業は2011年時点で13.3兆円もの配当金を株主に払っているからである。

非正規雇用者数>

2011年:1890万人
2012年:2042万人(152万人増加)

<給与>
正規社員の給与 :440万円
非正規社員の給与:260万円
差額      :180万円✕152万人=2兆7360億円
消費減少額   :2兆5855億円(非正規を増やして減った消費:推計)

<給与減少額と配当金>
非正規増やして減った額: 2兆7360億円
配当金の額      :13兆3000億円
差し引き       :10兆5640億円

要は配当金を減らして、給与に回せばよかったのだ。なぜかというと、お金持ちというのは、金を貯めこむのが上手い人達である。そう言う人達にお金を渡してしまうと、貯めこむばかりで使わない。13兆円もの多額のお金が消費に向かわないのだ。あるいは、株主が日本人である保証もないわけで外国に出て行ってしまったり、株式市場で還流するだけで実体経済に反映されない。つまり、配当金に周る額というのは、庶民の経済にとって何の益もないのだ。

統計を見れば、「競争のため」ではなく、「株主の為」であることが分かる。では、これが庶民のお金になったらどうなるだろうか、考えてみよう。私たち庶民の貯蓄率は、平均10%である。それを聞いて90%が実体経済に反映するんだろと思うかもしれないが、実は94%が実体経済に反映されるのだ。つまり、庶民の給与のほとんどは消費になり、それは実体経済を潤すのだ。なぜそうなるのかというと、貯蓄率という数値は、給料に対する10%ではなく、可処分所得に対する10%なのだ。可処分所得は、給料から生活費や税金を差し引いたものである。だから、日本の平均的な生活費は月15万円、年間180万円なので、サラリーマンの平均所得を400万円として計算すると...

 平均所得 :400万円
 生活費  :180万円(月15万円の生活費)
 可処分所得:220万円
 貯蓄   : 22万円(貯蓄率10%)

全所得から消費に周る額:378万円
それが全体に占める割合:94.5%

つまり、金を使わない株主にお金を渡せば渡すほど実体経済が細り、景気が悪くなる。そして、非正規が増えるのは、株主のためであって、競争のためでもなんでもないことは分かる。企業は13.3兆円も配当金を株主に払っているのだから、配当金を減らして、給与を据え置いても良かった。その方が実体経済が潤い、経済にも良いのである。それをマスコミは、非正規が増えるのは「競争のため」などと、ウソを言っている。なぜ、彼らが、そういう報道をするかというと、スポンサー収入を得ている企業にとって株主は会社の持ち主、故に、株主に対して、厳しい報道をすることは、スポンサーに仇なす事になり、非常に都合が悪いんだと考えられる。

スポンサー収入に100%近く収益を依存しているテレビ局にとってスポンサーは神、そして株主は神を超える創造主といった感じの階級が歴然としてある。その階級構造が強化されたのは2001年の金融ビッグバン以降、株主がもてはやされた頃だ。それまでは、日本の企業というのは、配当金を減らしてでも、給与に回していた。残念なことに1989年に起きたバブル崩壊から10年、やっと不良債権処理が終わった時、金融ビッグバンを行なってしまい、株主の権限を強化してしまったことが、そののちの景気後退の要因となった。非正規雇用が増え始めたのもこの頃、株主の権限が強化すると相反して労働者の賃金は減らされていった。そして、日本はデフレ経済まっしぐらである。

「株主至上主義」を「競争原理」に置き換えた偽りの報道が行われ、それに從って経済を弱体化させていった日本、そこから考えられる処方箋は株主至上主義からの脱却、そのためには、この賃金低下は、競争のためではなく、株主のためであることをよく理解し、その上で、配当金を減らして給与に回せと労働者は要求するべきなのである。企業が配当金に資金を回せば回すほど、デフレが続く。だからこそ、その資金を給与に回さなければいけない。配当金に払うお金があるのだから、それを使えば、その額の大半(94%)は消費に回り、国内の実体経済が潤うのだ。「競争のため」に給与を減らさざる負えないというマスコミのウソに耳を傾けてはいけない。それは株主のためなんだということを知ってほしい。
 
企業は、非正規を増やして利益を得て、株主や業績に貢献したつもりになっているだろうが、長期的に見れば、実体経済をすり減らながら利益を出しているわけで、いずれジリ貧になる事は目に見えている。まるで、日本経済を誰かが吸いつくそうとしているかのように、経済も報道も動いている。それが現状なのだ。

今の日本経済というのは鵜飼の鵜、あるいは、フォアグラの鴨に例えることが出来る。庶民という鴨が一生懸命働いて得たお金を、株主という人間が吐き出させて食べてしまう。そういう経済なのだ。だから、俺達はカモじゃない、人間だ!と言う必要がある。

言ってみれば、従業員の給与というのは、消費そのものといってもいい。その給与を減らす事は、消費を減らすのと同義なのだ。(何せ給与の94.5%が消費に回ってしまうのだから)