2010年から2030年までの日本の発電構成を考えてみた。
1.2010−2012年
- 2011年3月11日の東日本大震災により、福島第一原発がメルトダウンを起こした結果、原子力発電のリスクが極めて大きいことが判明し、2012年5月5日、日本の全て原発が停止した。時の野田政権は国民が反対する中、2012年7月1日、大飯原発3,4号機を再稼働した。2012年の原子力の100億kWhは、大飯原発3.4号機が半年間稼働した際の発電量である。天然ガス火力と石油火力が大幅に増え、これらの資源の輸入が増えた。原発の発電量の数え方は、出力(万キロワット)×時間(h)(118+118)万kW×4380時間=103億kWh、基本的に原発は出力を上げたり下げたりはしない発電設備。
2.2012-2020年
- LEDの普及により、1000億kWh減(1500億kWh→500億kWh)となると見られ。採算の悪い石油火力が全て停止され、再生可能エネルギー買取法案によって、自然エネルギーの普及が本格化する。また、火力発電でも、ガス火力ではコンバインドサイクル発電や石炭火力ではIGCC(石炭ガス化複合発電)により、発電効率が向上し、化石エネルギーによる発電量は2010年よりも増えたものの、二酸化炭素の排出量は2010年並となると考えられる。
- 石炭火力(資料:http://www.ccpower.co.jp/igcc/dimension.html)
- 従来の石炭火力:発電効率41〜43%
- IGCC :発電効率42〜50%(1600度のタービン)
- ガス火力(資料:Wikipedia:コンバインドサイクル発電
- 従来のガス火力 :発電効率43〜45%
- コンバインドサイクル:発電効率51〜66%
3.2020-2030年
- 省エネ & 需要増加(9000億kWh→4600億kWh+1700億kWh=6300億kWh)
- 地熱発電の稼働(年間発電量:1000億kWh 出力:1140万kW 8円/kWh)
- 2020年から2030年は、地熱発電の適地が見付かり、2020年以降から続々と、新設の地熱発電所が稼働する。これにより、地熱発電の規模は年間1000億kWh(出力:1140万kW)となる。この規模は国内の地熱資源の約半分である。
- 地熱発電:8円/kWh(資料:Wikipedia:地熱発電)
- 太陽電池の普及(年間発電量:1450億kWh 出力:1億4500万kW)
- 発電効率が40%と高い集光型太陽電池の年間発電量1000億kWh(出力:1億kW)と住宅用太陽電池が普及し、4500万kWに達する。春先(7000万kW)に余剰電力が生じるが、この頃には電気自動車の普及率が、ほぼ100%であり、日本の6000万台といわれている自動車に4億8000万kWhの電池があるため、余剰電力は、この自動車の電池に貯めらる為、夜間に電池に貯めた電力が使われる。それでも余る分は揚水発電に回す。家庭用太陽電池は有機薄膜太陽電池が普及し、3kWタイプが100万円以下で導入可能となっているだろう。
- 集光型太陽電池 :8円/kWh(資料:1W辺り1ドル以下の導入コストの太陽電池)
- 発電効率40%×25000ha=1億kW(1000億kWh/年)
- 有機薄膜太陽電池:16円/kWh(NEONLINE:効率11.0%の有機薄膜太陽電池)
- 3kWタイプ×1500万世帯=4500万kW(450億kWh/年)
- 2012年現在100万世帯
- バイオマス発電(年間発電量:800億kWh 出力:1500万kW)
- 風力発電(資料:風レンズ風車の特徴)
- 福島の海岸線や北海道や東北地方など風況の良い場所に設置されているだろう。微風でも発電効率の良い風レンズ風車が普及しているだろう。風を集めるレンズ部分が鳥の目に見えるため、鳥がぶつかって死ぬ事もなく、しかも、音が静かであるので設置場所を選ばない。また、風車の海上フロートを用いた養殖池を使って、放射能汚染されていない安全な魚の養殖も始まっており、それをCAS冷凍という高品位冷凍技術によって何年経っても鮮度が変わらない冷凍技術を用いて、安全でおいしい魚も食べられるようになっているだろう。餌は、藻で作った食用油のカスを使う。
- 風力発電:9〜12円/kWh(資料:Wikipedia:風力発電)
- スーパーグリッド
- (画像をクリックすると拡大します)
- 自然エネルギーの電力を全国へムラなく供給するため、大容量の機関送電網が必要となる。日本列島を縦断する400万kWの直流送電網
まとめ
- 2030年の日本の電力供給体制は、原子力は使わず、化石エネルギーの使用量も全体の1/4にとどまっている。自然エネルギーによってエネルギー自給率が大幅に改善、エネルギーにおける外貨の必要量は大幅に減っていると見る。
- 電力部門の二酸化炭素排出量
- 石炭火力(IGCC)発電効率50%:4932万トン
- ガス火力(ACC)発電効率60%:2307万トン
- 合計:7232万トン(2010年の電力部門の二酸化炭素排出量の1/4程度)
- メタンハイドレートは地震を引き起こす可能性があるとして、開発は中止されるだろう。放射能の心配もなく、二酸化炭素もださず、電気エネルギーの自給率は76%となっている。そして、電力価格は今より安くなっている。(利権構造を全廃できた場合)