SKY NOTE

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iPhoneにみる日本が変われない理由

iPhoneを見るにつけ日本との違いを感じる。

iPhoneを否定する人達の主張は戦術家の発想であり、そこには自ずと戦術レベルの限界が見え隠れする。戦略的な包括性がiPodが他の音楽プレーヤーに勝利した理由だったのだ。戦略を戦術で否定しても意味がない。

なぜ、日本にはそういう戦略性がないのか考えてみると、iPhoneを見ていてそれが分かった。iPhoneの様なものを作る為には、包括的なシステムを作る為に沢山の決断が必要だ。その決断ができるかどうかで戦略遂行力が決まる。

単純に言うと、それはスティーブ・ジョブスと一言いってしまえば、それまでだが、彼がAppleにどんな役割を果たしているのか考えてみると、それは「理念:コンセプト」であると分かる。行動全体の考え方を束ねる理念だ。

全体を見て、そこから、どうあるべきかという理念があり、それを実現する為に決断を繰り返していく、コンセプトがなければ、障害があるたびに妥協を繰り返し、戦略の実行は出来なくなる。

つまり、日本の携帯メーカーには、社会を携帯でどうしようかという理念がない。だからこそ、既存のシステムを否定できないし、それ故に革新的なものを作る事が出来ない。そういう事が出来なくなったのは、成果主義の導入の時期と一致している。日本の場合、終身雇用と革新性の相性が良かったのだと思う。失敗しても、継続して雇ってくれる会社があったからこそ挑戦できた。

Appleの場合、ジョブズの存在が大きい。創業者のパワーでもっている会社だ。ジョブズというコンセプトを供給できる存在がいるからこそ、Appleは輝き続ける。だが、日本の場合は、現場でアイディアを考えて実践するという形なので、ボトムアップで革新が行なわれる。よって、終身雇用制度の様な寛容なシステムが有効だった。

皆の考えを束ねるコンセプトの欠乏こそ、日本が変われない原因だとiPhoneを見ていて思った。コンセプトは思想の現場監督と言ってもいい。考えのまとまりを欠く今の日本には戦術レベルの事しか出来ない。バラバラなので総合力が出せず敗北する。

日本が再び変わる事の出来る社会になる為には、終身雇用制度の復活と、成果があればボーナスを出す形が望ましい。人を大事にする姿勢が、めぐりめぐってお客さんを大事にする姿勢になって商品に反影される。今はお金に追いかけ回されて社会全体をどうしようかと考える余裕もなく、それ故にコンセプトも生まれにくくなっている。それが総合力の低下を招いている。そして、それこそ日本が変われない原因なのだ。目先の雑魚(小銭)に追い回されて大魚(大金)を捕まえるチャンスを失っている。

世の中を変えるという俯瞰的視点は、目先の事に全てを奪われていては出来ない。成果主義という名の拝金主義は、日本人から理念を奪った。理念をお金にならないクズだと考える社会を作った。だが、iPhoneを見るとそれが全く逆だと感じる。クズは成果主義の方なのだ。

理念が戦略のコアであり、それなしに戦略は生まれない。しかし、理念を青臭いと考え、頭ごなしに否定する拝金主義がはびこっている今の日本では戦略性は生まれない。いいコンセプトは、人を見る事から生まれる。金を見る拝金主義者にはそれが出来ない。だから、日本の携帯はiPhoneに負ける。

壮大な戦略の前に日本の携帯は敗北すると私は思う。

失敗しても這い上がれる仕組みがあってこそ、挑戦が出来る。今の日本の様に這い上がれない仕組みだと革新的なものは生まれない。革新が市場を先導するのならば、日本は市場を先導する力を持っていない事になる。