CEATEC 2013に行って来ました。それでは、自分がピックアップしたブースと、その感想を書いてみたいと思います。
シャープブース
- MEMSディスプレイ
- 今回のCEATECで最も光っていたのがシャープブースです。目玉はMEMSディスプレイで小さなメカニカルシャッターを使って、從來の液晶方式のディスプレイに比べて、半分程度の電力で映像を表示できる薄型ディスプレイです。
- IGZO+MEMSでディスプレイが進化する!
- シャープがCEATECで「MEMSディスプレイ」展示
- http://eetimes.jp/ee/articles/1309/30/news103.html
- MEMSディスプレイの原理
- 原理としては、非常に小さなシャッターの開閉の度合いによって、光の透過率を調整して階調表現を可能とし、それをRGBのバックライトで1/1000秒単位で時分割表示することで、カラー表示をするディスプレイです。この方式はバックライトの光をそのまま使うので、從來の液晶ディスプレイよりも透過率が高く、消費電力が半分になるそうです。そこで、この新しいディスプレイについて、いくつかシャープの人に質問してみました。
- 1.量産はいつ頃を予定しているのか?
- 相手のあることなのでわからないが、できれば、来年末頃には量産したいとのこと
- 2.大型化は可能か?
- まだ新しい技術なので、チャレンジングだが、それほど大きな問題はないと見ている。通常の液晶の延長線上と考えている。
- 3.高解像度化(300dpiクラス)は可能か?
- 新しい技術なのでチャレンジングだが可能
- 4.コストはどの程度か
- 新しい技術なので、まだ若干高めだが、ゆくゆくは液晶と同程度を目指している。
- 5.MEMSシャッターの動作周波数は?
- 1000Hz程度です。
- ...とのことでした。大抵、時分割RGBの表示というのは、画面の前に手をかざして振ると、RGB個別の映像が見えて、虹色になってしまうのだが、このシャープのIGZOを使ったMEMSディスプレイは、虹色にならなかった。つまり、1/1000秒毎にR、G、Bと切り替えているため、人間の目では見えない。これだけ高速表示が出来る理由をシャープの人はIGZOとMEMSの合わせ技と言っていた。画質は、RGBのバックライトがそのまま映像に反映されるので、バックライトの色再現度が高いほど画質が向上する。サンプル品を見ると、色も綺麗で解像感もあり、有機ELと液晶の中間のようなコントラスト感があった。それでいて消費電力が半分で、高速表示ができ、3Dメガネを用意すれば3D表示も可能との事。このディスプレイを使ったタブレットは、まず、ディスプレイの消費電力が半分になるのでバッテリー持続時間が延びる。(同じ発光効率のバックライトならば、1.33倍)画質はコントラスト、解像感、色、どれもが最高水準であり、文句なく美しい。欠点が見つからない。このMEMSディスプレイを搭載したiPadが欲しいと思った。
- ここからは妄想、つまり、MEMSディスプレイ=3Dディスプレイなんだから、カメラで目の位置を把握して、それに合わせた3D表示をすることで、よりリアルな3D表示したり、そこにLeap motionのような手の動きを光学的に認識するセンサーと組み合わせ、3D映像の猫をなでると、猫が気持ちよさそうにゴロゴロするみたいな事ができたり、ゲームもドラクエみたいなのが、3Dで表示され、3Dのぽよぽよしたスライムを指で叩くと攻撃みたいな事ができたりする。案外、MEMSディスプレイの普及が、3Dカメラや3D映像の普及を後押しするかもしれない。スマフォにステレオカメラを搭載したり、奥行き情報を取得するセンサーをつけて、3D写真を撮って、それをMEMSの高速表示を使って3Dメガネで見るような事が増えるかもしれない。
- MEMSディスプレイ
- 高速表示 :3D(原理的に333Hz表示が可能 しかし、HDMIの制約を受ける)
- 低消費電力:軽くて薄いタブレット(バッテリーが25%減らせる)
- 画質 :キレイ(色、コントラスト、解像度)
- 3Dを触れる技術
- Leap motion(光学センサで手の形や動きを把握)
- 3Dを撮れるカメラ
- ステレオカメラ or Knectのような奥行きセンサ(赤外線)
- 超解像度とフレーム補間が素晴らしい
- Panasonicのブースは、2KのフルHDの映像を4Kに超解像表示と同時にフレーム補間で120Hz表示があった。2Kの映像から4Kのシャープな映像が生まれ、それが滑らかに動くデモがあって、ヨーロッパの町並みの瓦屋根が2Kを4Kに変換しただけではボヤけて潰れてしまっていたのに対し、超解像ではクッキリ見え、それがなめらかにスクロール(120Hz)しているところを見て、超解像は4Kによって、その真価を発揮するなと思った次第。
- 4K有機ELが展示されていた。コントラストがはっきりした大型ディスプレイといった感じ、色も原色っぽく濃厚でキレイだった。他には、Xperia Zがあった。薄くて画面が大きくて、速くて、ディスプレイが美しい。でも、自分は、どちらかというと、ハイレゾ対応のウォークマンのほうが見たかったのだが、展示されていなかった。ハイレゾオーディオアンプなんかも展示されておらず、オーディオファンには残念な内容だった。あとPlayStation 4も発売が近いというのに展示はなく、ゲームファンにも残念な内容と、非常に見どころのないスカスカな内容となっていた。見せる商品はあっても、展示はなしというのが今年のCEATECのソニーブースの特徴。
- ついに!冷蔵庫に中身のわかるカメラが搭載された。ネットワーク接続はBluetoothを使う。東芝ではBluetoothを使って家電同士をつなぐという考え方らしく、スマフォから、エアコン、照明、冷蔵庫などの家電が操作できる様になっていた。冷蔵庫のカメラは、ドアの方についており、そのカメラから撮った映像が、家のPCで見れてしまうというデモをやっていた。また、照明の明るさ、色、消費電力、エアコンの温度設定など、ホームオートメーションが現実化しているというのを感じた。東芝の人と話、テレビの明るさセンサーを使って照明の明るさをコントロール出来ないかと聞いたら、それは原理的には出来るが、待機電力が大きくなってしまう。そこで、情報が欲しい時だけ呼び出して、センサーを起動できるかと聞いたら、それは可能だと言っていた。
- 電気による通信バスを光に変換し、光バスについてNEDOの人と話したのだが、「このような高速光バスを使って、どういう世の中になるのか」と聞かれたので、「そりゃ、やっぱAIでしょ」と答えた。「AIを使えば、人間のやっている仕事の多くをネット上で自然なインターフェースで実現できるため、人間はお払い箱、でも、それを労働時間短縮に使い、富の分配を適正に行えば、AIによって労働時間が短縮され、人間らしい暮らしができるけど、資本家の言いなりになってしまうと、そのAIによって沢山の失業者で溢れ超格差社会が生まれる。今は、その分岐点にいる」「優れた技術を良い方向に使えば、素晴らしいの世の中が待っているけど、悪用されれば、不幸の原因となってしまう」「日本は民主主義が弱いので、今は悪い方向に向かっている」といった。
まとめ
- シャープのMEMSがとても見どころがあり、SONYは見たいものが展示されていないという肩透かしの結果となった。最近、優れた技術を見ても素直に喜べないのは、その技術の発展が、民主主義が弱いために、悪用されてしまう恐れがあるので、単純に優れた技術があることが喜べなくなってしまった。AIも進化していくと、軍事技術となったりするからね。お金を設けることばかり考えていくと、一番儲かるのが軍事、金を追いかけていくと結果としては、人殺しが最も儲かる。だから、金儲けばかり考えてはいけないというところがある。最終的な帰結ってそこだって分かっている。それよりも民主主義をもっと強化して、資本家の言いなりにならない賢い民衆となり、優れた技術を自分たちの権利の為に使うことが出来たならば、幸せな世界が待っているが、今は、どちらかと言うと、皆経済へ右へならえで、不幸な方向に向かっているのが気にかかった。自分はそれが心配で、CEATECの帰りも単純に技術の発展を喜べなかった。