2.複数の波が重なって高くなる波
- 福島第一原発の周囲の津波は、最初、福島県沖の津波が到達して、波が引く前に次の波が押し寄せ、防波堤の中の水位が上昇、それに宮城県沖合で発生した津波が重なり、防波堤は水没したとのこと、つまり、津波の波は複数来る可能性があり、それらが重なって波を高くするということらしい。波しぶきは、高さ50m以上の原子炉建屋の遙か上まで上がっていたという。
3.津波の痕跡から分かる2000年前の津波(宝永地震の2倍近くの波が生じていた)
4.時間差で高くなる津波
- 津波は陸に近づくと速度が落ちる。しかし、高い波は速度はあまり落ちない。つまり、最初低い波で陸に近づくと遅くなっている波に、次に速度の落ちない高い波が来ると、2つの波が重なって、より高い波になる事があるという。
5.海底地すべり(地震の揺れなどで斜面が崩れる現象)
6.東京湾の想定(これまで東京湾には津波が来ないとされて想定していなかった)
7.巨大地震は連鎖する(あまり対策に時間は残されていないという)
- シンガポール・ナンヤン工科大学 ケリー・シー教授(巨大地震の連鎖を予測する地震研究の世界的権威)教授によると、九州から沖縄にかけて大地震が起こるかもしれないとのこと、南海トラフの地震、房総沖では地震が起こるかどうか懸念されているという。その根拠はインドネシア・スマトラ沖地震の巨大地震の研究
- スマトラ沖地震
- 2004 M9.1
- 2005 M8.7(最初の地震の南側)
- シー教授は、さらに南側で巨大地震が起こると予測
- 2007 M8.4(シー教授が予想したとおり、2005年の震源の南側で地震が起きた)
- 巨大地震の予測を可能にしたのは、サンゴによる年代測定だったという。サンゴの年輪から地震が起きた時期を読み取ることができるという。そのメカニズムは、地震で海底が隆起すると水面から出た部分の成長が止まり、水面より下は成長を続ける。再び地震で隆起すると水の上になった部分が成長が止まる。そうやって段々になった部分を読み取ると、巨大地震がいつ起きたのか特定できるのだという。
- スマトラ沖では、およそ200年ごとにM8前後の地震が連続して起きる周期があった。1833年を最後に200年近く巨大地震がなかった。そこに2004年の巨大地震が発生し、これをきっかけに地震の連鎖が起きると予測したという。シー教授によれば、最初に大きな地震が起きると、隣にストレスがかかって、そこでも地震が発生するという。今後もスマトラ沖で巨大地震による津波が続くという。同じように巨大地震が起きた日本でも危険性が高まっているという。
まとめ
- 地震学者によると、大地震は再び起きる可能性があり、その際の津波は、現行の想定の2〜3倍になる可能性があるとのこと、そのメカニズムは、複数の地震によって複数の波が起きて、それが重なりあったり、同じ地震でも第一波、第二波の波が重なりあうことで高くなるという。その高さは現行の想定の2倍、さらに海底地すべりという現象が起きると、局所的に30m以上の津波が生じる可能性があり、その海底地すべりの痕跡が南海トラフには300ヶ所以上もあるという。更にこれまで想定されていなかった東京、横浜、大阪などの都市部にも津波は到達し、大規模な浸水に襲われる可能性があるという。しかし、それに備える猶予は、あまり残されていないという厳しい内容だった。自分が驚いたのは、2000年前に日本最大と言われた宝永地震を上回る地震が起きていた可能性があるということ。宝永地震クラスの地震が起きるだけでも恐ろしいのに、2000年前にそれを大幅に上回る津波の痕跡があったというから、非常に恐ろしい。どう考えても、原発はダメだと感じる内容だ。巨大地震による大被害と、原発のメルトダウンのダブルパンチを食らったら、日本のみならず世界が終わる。原発の再稼働をやめて、地震に耐えられる安全な保管施設を早急に建設するか、地震のない土地を持つ国に使える核燃料を売却する必要があると感じる。堤防で守るのは難しい、水没しても大丈夫な設計にする必要があると感じた。