SKY NOTE

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iPhoneが売れないと言った人達はなぜ間違ってしまったのか?

iPadについて、売れるか売れないか議論されているが、過去の似たような話としてiPhoneの時の議論の中身をみると、間違った分析方法を説明するのに有効なサンプルがいくつかあるので、それを説明したい。
 
1.現在と未来の混同による間違い

  • 未来について分析する時、未来の状況を的確に把握する必要がある。しかし、iPhoneを売れないと言った人達は、iPhoneがソフトウェアで大幅に修正できるシステムであるのにも関わらず、ソフトウェアで解決できる問題をあげつらって否定していた。絵文字がないとか言っていたよね。しかし、時間が経つと、彼らの言っている事は全く的外れだと分かってしまったんだ。なぜなら、未来において、それは解決可能な事だったからだ。彼らの判断の仕方は、今あるものに固着し、未来に何が変化するのか想定しなかった事だ。これは現在、iPadFlashに対応していないと言っている彼らがHTML5は対応しているブラウザが少ないと言っているのと同じだ。将来、HTML5が普及する事は明らかなのに、相変わらず、未来を的確に把握しようとしないのは、いささか視野が狭いと思う。彼らの過ちは、現在が現在のまま永続すると思っている事だ。しかし、現実は、未来に向かって少しずつ変わって行く。その変わり方を全く意識しないのは、未来を見通す上で、あまりにも保守的すぎる。

 
2.概念と現実の比較が出来ない

  • 文字に書かれている事を検証する事をしていない。iPhoneの時、タッチパネルは使いにくいと言われていたが、実際に私は店頭で手に取って、その反応特性を調べてみると、充分な反応スピードがあり、高速な入力に対応できる事が確認できた。つまり、タッチパネルは使いにくいというのは、それほどでもなかった。従来のタッチパネル以上、キーボード以下というのが正直なところである。このように実際に試してみて、どの程度のものか確認し、その程度によって評価するべきだが、彼らは言葉に書かれた事を鵜呑みにし、タッチパネルは使いにくいからダメだと言っていた。しかし、スマートフォン携帯電話で一番売れているのは今やiPhoneである。重要なのは概念(文字)ではなく現実である。言葉で書かれている事は、それを疑い、検証する事を怠る事なかれ。

 
3.大局と小局の混同による間違い

  • iPhoneが売れた理由には、AppStoreがあった。機能的に同等のものがあるから、日本ではiPhoneは付加価値はないと言っているiPhone否定派がいたが、彼らの過ちは、デベロッパーに70%の利益を提供し、世界的に展開できると言う大局的な魅力が分かっていなかった。その魅力がソフトの本数となって現れ、それがiPhoneの魅力になると言う大局的な視点を単なる技術的比較と言う小局的な視点で比較した事だ。つまり、プラットフォームを制するのはソフトという大局的な視点を単なる技術的な視点という小局的視点で解釈してしまった事が彼らの過ちだった。

 
まとめ

  • 正しい判断に必要な事をiPhone否定派の人達は全然していなかった。
  • ・的確な視点を持て(未来の事だったら、視点を未来に合わせよ)
  • ・現実を検証せよ(本当にそうなのか確認せよ)
  • ・最も重要な要素で判断せよ(歴史から重要な要素を把握せよ)
  • 彼らの間違いは、的確な視点を持たず、従来の視点を固定したまま、未来について考えてしまっただけでなく、それを現実によく確認もしないで鵜呑みにし、最も重要な要素については、それほど重要ではない要素と同列に比較をして軽視した。よって彼らは間違えたのだ。彼らは間違えるべくして間違えた。彼らの考え方は、未来についてはその過去である現在しか見ておらず、リアルに対しては概念に縛られ、重要な要素では、その優先順位の設定を誤っている。間違え方は、減点主義的思想といったところだろう。

 

  • 今あるものを100%とし、その減点要素しか見ていない。加点要素を彼らは見るべきだったのだ。
  • ・未来:絵文字が100%で、それが使えないからそれ以下
  • →実際にはソフトで対応できた
  • ・現実:キーボードが100%で、タッチパネルはそれ以下
  • →実際には大したデメリットではなかった
  • ・重要:現行機能が100%で、ないものがあるからそれ以下
  • →重要なのはハードではなくソフトだった。

 

  • このように減点主義の視点では、物事の可能性を的確に把握できていない事が分かる。彼らの発想は、答えの決められたペーパーテストで100点を取る為の理屈であって、現実の120%の要素を把握するのには充分ではなかった。彼らは自分が定めた100%の枠の外から出る事なく、間違った判断をした事になる。加点的視点で視野を広げ、120点の要素を見る事が出来なかったのは、正しい判断をする上で問題である。特に最重要な要素をそうでない要素と同列に比較し軽視するのは、最も避けるべき考え方であり、間違いになりやすい。

 

  • 日本が経済成長できないのも、案外こういうところが問題なのかもしれないと思う。従来の枠を判断基準の最優先のものと設定する事により、その枠からはみ出した成長因子を意図的に否定してしまう。それが経済成長を阻害してしまう。日本は過去を捨て切れない。エンジンを発電機として使うべきなのに、エンジン動力から抜け出せない自動車産業、ネットワークに移行するべきなのに紙やパッケージから抜け出せないソフト産業、自然エネルギーを次の公共事業にするべきなのに古い公共事業である道路や鉄道を造ろうとして、高速道路無料化をやめてしまう政府、小沢氏が決断するべきなのは、鉄道や道路は作りません、そのかわり高速道路を無料、あるいは安くします。そして、自然エネルギーや耐震補強に有利な融資制度を作って建設業界の人達の雇用を新しい需要でまかないますと言えばいいのだ。