SKY NOTE

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Wi-Fiの消費電力を1万分の1まで減らす「Passive Wi-Fi」

従来は、WiFiの消費電力は大きいとされてきました。よって低消費電力なBluetoothなどが使われているわけですが、そのWiFiを従来の1万分の1に低消費電力にする技術をワシントン大学の研究チームが開発しました。その名も「Passive Wi-Fi」です。
 

どういう仕組みで1万分の一という驚異的な低消費電力かを可能にしているのかというと、まず、従来のWi-Fiから説明したいと思います。無線回路は、デジタル回路とアナログRF回路で構成されています。この内、デジタル回路の方はマイクロワットレベルの低消費電力化を達成しているのですが、アナログRF回路は100ミリワット程度の電力を消費せざる終えないとの事。

従来のWi-Fiの消費電力
・アナログRF回路:100mW
・デジタル回路 :10μW

Passive Wi-Fi(受動型Wi-Fi)の真骨頂は、この消費電力の多いアナログRF回路の通信方法に反射という手法を用いた事です。まず、データ受信時に電力のある送信機から電波を受け取ります。その電波から電力を抽出し、それで電波反射回路を駆動します。そして、もらった電波を反射する際に、その反射のONーOFFを切り替える事でデジタルデータを送信する。つまり、自分から電波を発するのではなく、相手が発した電波を利用し、それをモールス信号のように反射の仕方をON/OFFで切り替えデジタルデータを送るのです。

これにより消費電力は1万分の1に出来たというわけです。Bluetooth(BLE:Bluetoothの低消費電力規格)やZigBeeなどと比べても1/1000という消費電力です。そして、転送速度は1Mbpsから11Mbpsを実現しているとの事。

従来規格との比較(mW:1/1000W,μW:1/100万W)
WiFi:100mW
・BLE/ZigBee:10mW
・Passsive WiFi:15〜60μW(1Mbps~11Mbps)

受動型なので、電波の送信側に電力が必要ですが、非常に低消費電力で無線通信が出来るわけです。この技術を使うとスマートフォンの省電力化やモノのインターネット(IoT)にWi-Fiを取り入れる事が可能になるとの事。

自分が見た所、この技術を使えば、コンパクトで高音質なワイヤレスヘッドフォンが作れると思いました。そして、SONYのLDACは、これでかなり苦しくなったと思います。なぜなら、従来Wi-Fiがワイヤレスヘッドフォンにあまり使われてこなかったのは、消費電力が大きくヘッドフォンがコンパクトにできないからでした。しかしながら、この技術を使えば、それが出来る。そして、転送速度は1〜11Mbpsも出ると来れば、オーディオマニアは、ハイエンドヘッドフォンに音質劣化のあるLDAC(320kbps~1Mbps)ではなく、MQA(1Mbps)を使う事になる。つまり、MQAにぴったりの無線技術が登場し、オーディオマニアにとって、LDACは終わったというのが、私の感想です。でも、恐ろしいな、登場したばかりなのに、あっという間に陳腐化して滅ぼされてしまう。この技術を使えば、ハイレゾの音を聞きながら、ハイレゾのマイクで会話する事も可能になるわけで、ワイヤレスヘッドッセットの音声が大幅に高品質になる。