改良型H2Aロケット(H2A:29号機)が、2015年11月24日午後3時50分、初の民間衛星(カナダの通信放送衛星Telstar 12 VANTAGE)を鹿児島県 種子島宇宙センターから打ち上げられ、同日、午後8時17分、高度3万4000kmで衛星を切り離し、打ち上げに成功した。
打ち上げ維持間:15時50分00秒 打ち上げ成功:20時17分
打ち上げ時間:4時間27分
JAXA:通信放送衛星Telstar 12 VANTAGEの打上げ結果について
http://www.jaxa.jp/press/2015/11/20151124_h2af29_j.html
NHK:H2A打ち上げ成功 「世界に性能示した」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151125/k10010318361000.html
1.衛星打ち上げ市場
- 打ち上げコストは民間衛星の為、非公開、改良していないH2Aの打ち上げコストは85〜120億円(世界の相場:70〜100億円)であるが、改良型H2Aは低コスト化し、世界市場と張り合える水準との事、衛星打ち上げの世界市場は20機で、日本は世界市場の5〜10パーセントである1〜2機の打ち上げを狙う。現在日本は、従来の半額の50億円で打ち上げられるH3ロケットを開発し、2020年に実用化に結びつけたいとの事。
- 世界市場:衛星20〜30基程度(8割が通信と放送)
- コスト :70億〜100億円(H2A:85〜120億 H2A改良型は低コスト)
- 人工衛星打ち上げビジネス 現状と展望は 2015.11.24
- http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151124/k10010317241000.html
- ライバルの世界各国のロケット
- H2A、商業用打ち上げ成功
- 2段ロケット改良奏功 世界市場参入へ第一歩
- http://mainichi.jp/shimen/news/20151125ddm003040079000c.html
2.到達距離が飛躍的のびた改良型H2A
- 三菱重工のPDFによれば、ミッション時間を従来の 7200s(2時間)から 20000s(約6時間)に伸ばす事を目標にして設計された改良型H2Aは、これまでのH2Aロケットの高度300kmよりも高度3万6000kmの静止軌道にダイレクトに衛星を運べるようになった。それまでは、衛星自身のエンジンで静止軌道に向かっていた。しかし、これだと衛星に積み込む燃料が増えてしまい、衛星の重量と体積が増えると同時に衛星の寿命も短くなってしまっていた。それを改良型H2Aは高度3万6000kmまで運べるようにした結果、打ち上げ時の衛星の負担が減り、その分、衛星に設備や燃料を積み込めるようになった。これにより、衛星打ち上げ市場の50%の市場を視野に入れる事が可能となったという。
まとめ
- 衛星の打ち上げが成功した事は、久々に良いニュースだった。こういうものが成功すると、世界に日本の技術力をアピールする事になり、日本全体のブランドイメージが上がるので良い事だ。H2Aは出来のいいロケットで、これまでの29回の打ち上げのうち、失敗がこれまでに1回しかない。(打ち上げ成功率96.6%)それも今回は静止軌道にダイレクトに衛星を切り離す事が出来るという事で実用性が高く、同時に、コストダウンも両立し、世界市場が狙えるレベルまで達したという事で、ある意味、日本の宇宙産業の節目といえるロケットとも言える。このロケットで性能のいい気象衛星を打ち上げてもらってバックトゥザフューチャー2の天気予報のように分単位の正確な天気予報や、宇宙の果てを見渡す宇宙天体望遠鏡など、新しい世界を見せてくれる様なものが、この日本の種子島から生まれていく事を期待したい。
- 天体図アプリ(iPhone/ipad)が紹介されているサイト
- http://sitearo.com/astro/ios/s/starChart.html
- 宇宙観測セット、本読んで、天体図見て、天体望遠鏡で覗くセット(笑)
- 別名:科学大好き少年製造セット(顕微鏡やリトマス紙もあるといな)
- 子供はでっかくて重い天体望遠鏡を外に持ち出せないので、小型で口径が比較的大きな天体望遠鏡が望ましい。天体望遠鏡で木星や土星の輪を見ると感動するんだわ、これが、実際にそこにあるというリアル感が違う。それが大気でゆらゆらしているのを実際に見ると、地球に大気があるのを実感するんだな、これが。そういうのを見て、宇宙とか地球とかを実感すると考え方が違ってくる。