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NEDO:世界初、油圧ドライブトレインを採用した大型風車を開発 2014年2月5日

世界初、油圧ドライブトレインを採用した大型風車を開発 2014年2月5日

油圧式ドライブトレインとは、従来の風力発電機は、ギア変速で発電機を回していた。大型の風車がゆっくり回っていると、発電機の中では、ギア変速で発電機が高速回転している。しかし、この構造は大型化に不向きで、様々な問題が生じることがネックだったという。

 世界初、油圧ドライブトレインを採用した大型風車を開発
 http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100352.html
 ―世界最大級7MW大型風力発電を英国で実証―
 
 図1 英国に設置された油圧ドライブトレインを採用した7MW大型風力発電設備
 (ブレード長さ:81.6m、ナセル中心高さ:約110m、ブレード先端までの高さ:約200m)

  • 高さ110m位と言えば、秋葉原UDXビルの高さは軒高99.72 mと、大体、この大型風車のナセル部分と同じくらい、この高さの柱があって、その倍の200mがブレード(プロペラ)も含めた高さとなる。

油圧式ドライブトレインの特徴
【増速機】
 ・増速機が不要
 ・一般材料を使用した小型部品で構成され、保守が容易
 ・モジュール設計により、大型化への展開が容易
【発電機】
 ・汎用の同期発電機を使用
 ・電力変換装置(周波数変換機)が不要
【電力変換装置】
 ・電力変換装置(周波数変換機)が不要

油圧ポンプによって、動力を伝達するため、構造的にシンプルで、一般材料を使用した小型部品で構成されるため保守が容易、汎用の同期発電機が使用でき、モジュール設計によって大型化が容易で、増速機や電力変換装置(周波数変換機)が不要というものらしい。

NEDOの説明を読むと、どうやら、メンテナンス性(ランニングコスト/小型部品)、低コスト(汎用部品、部品削減)、大型化(高出力化)に貢献する技術らしい。そういう意味では、従来よりもハイコストパフォーマンスの風力発電機のようだ。

 デジタル制御の油圧ドライブトレインが示す風力発電の可能性
 http://www.mhi.co.jp/discover/graph/news/no171.html

風力エネルギーを効率よく電気へ変換するには、翼の回転数を風速に応じて最適化する必要がある。今回の新方式では、翼が受けた風力エネルギーを油圧ポンプ内で高圧の油圧エネルギーに変換。油圧モータに伝達し、デジタル制御により電力系統の周波数に合う一定の回転数へ昇速して発電機を電力系統につなぎ稼働させる。この油圧伝達を採用することで、油圧ポンプとモータは個々に制御ができ、従来は必要とされた周波数変換装置が不要となる。

 
テクニカルイラストを見ても、美しい形をしている。美しい形は効率がいいというのが、昔から言われていることで、これを見るとたしかにそのように思える。ただ、台風(強風、落雷)が来る日本では、大型風車は不向きかもしれない。壊れてしまう可能性が高い。今回発表された風力発電機を日本で導入した場合、一基あたりの年間発電量を計算してみる。(発電効率を20%とする)

 7MW=7000kW
 (最大の高さは地上:200m、柱の高さは110m、ブレードの長さ81.6m)
 7000kW×8760時間×20%=1226万kWh
 (これ400基で100万kWの原発一基分の年間発電量50億kWhを発電できる)

国土が狭く、騒音や落雷、台風、山岳地における乱流などの問題から、基本的に日本には不向きな大型風車だが、ヨーロッパなどでは有望といえる。また、この技術は大型風車だけでなく中型風車にも採用してもいいようにも思える。中型風車も似たような構造をしているため、パーツを省いたり、メンテナンスが容易という特徴は引き継げるように思える。

 風力発電のコスト(アメリカ:一番左端が風力発電で1kWhあたり0.04ドル以下)
 https://www.mhi.co.jp/products/expand/wind_kouza_0306.html
 

風力発電の発電コストは、2020年には1kWhあたり4セントになるとされているので、用地と風さえあれば、日本でも低コストな発電設備として有望といえる。三菱重工では洋上風力に着目しているようだ。