SKY NOTE

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宣伝された不況

法人企業統計を見ると、利益の総額から見ると決して日本の企業は不況とはいえない水準と言える。2012年(内部留保:10兆円、配当金14兆円)しかし、その利益の大半は株主に払われる配当金や大企業の内部留保になってしまい、私たちの懐には入ってこない。テレビや新聞では、不況だ不況だと騒いでいるが、総額24兆円もの利益をはじき出している企業の利益から見るに、それは本当なのかという思いがする。

人々が不況だと思うのも無理は無い。なぜなら、24兆円の利益の大半は、日本の企業の30%程度の大企業に集中しており、その利益も株主や企業の口座の中に入ってしまい、私たちの懐には入ってこないからだ。70%の中小企業は赤字であり、その上、賃金は毎年下がっていて、日本の製品も世界中で売れなくなっているとくれば、そう思うのも無理は無い。

だが、こう考えてみてはどうだろうか、それは、私たちの給料や消費が増えない理由が不況というワンワードだけで説明するべきなんだろうかという事だ。テレビや新聞ではそう言っている。しかし、数字を見ると、その企業の利益の大半は内部留保や配当金に消えていて、その分、私たちの給与は下がっている。数字を見れば、私たちの給与になるはずのお金を株主や大企業が大量(2012年:24兆円)にせしめているのが原因であり、そこを考えれば、不況という言葉は適切ではない。不況ではなく搾取が、私たちを貧しくさせているのだ。

だが、そう言う搾取をしている企業の広告費に99%依存しているテレビ局は、それをはっきり言えない、しかし、世の中の人々は貧しくなっている。事実を報道するという手前、テレビ局は、その理由はなにか説明しなければならない。そこで出てくるのが、「搾取」を「不況」と言い換えて報道することなのだ。そして、SONYなどの業績不振を殊更に報道し、日本の国際競争力の低迷を強調する。

しかし、日本は、外需が13.4%程度でしかなく、日本経済全体における国際競争の意味は、その程度でしかない。それなのに、テレビは毎日のようにたった13.4%程度の数字でしかない国際競争力についてさかんに喧伝する。データから見れば、86%の内需の方のウェイトを高くして報道するのが筋なのだが、それはほとんど報道されず、もっぱら、国際競争力と喧伝する理由は何なのか、矛盾を感じないだろうか?10%台の問題よりも80%台の問題を大きく取り上げるのが筋であろう。この矛盾を説明するのに適切なのは、巨額の株主配当金/内部留保(合計24兆円:2012年)をカムフラージュするために、不況が宣伝されているのではないかという疑念だ。24兆円の中には正当な内部留保、配当金といえるものがあるが、しかし、国内の若者が結婚もできず、家も買えず、子供も産めない程、非正規で低所得にしなければいけないほど、「配当金は払わなくてはいけないものか?」「内部留保はためなくてならないものなのか?」と常識的に考えれてみれば、それは否と答えるしかない規模であることは明白だ。24兆円の内、16兆円は給与に回すべきである。この16兆円によって、消費が増え、最終的(4年後)には24兆円の給与アップとなる。この額は、若者(非正規2000万人の大半)が結婚でき、子供を育て、車を買い、家を建てられる額である。(年収400万円)つまり、デフレが終わり、皆が人並みの幸せな生活を営める所得を得ることを意味する。

でも、テレビや新聞は、株主の利益のために「搾取」を「不況」として報道(宣伝)し、まるで天災か、または、自分たちの努力不足で不況になっていると思い込まされ、その最たる原因が数字的には「搾取」であると知らされないまま、幸せに暮らせるはずのお金を株主に奪われて、毎日長時間働き、結婚もできず、家も買えず、子供もつくれず、好きなものも買えない暮らしに甘んじている。宣伝された事実が、現実を形作っていることを知らないまま、搾取され続けている。少なくとも統計データから見れば、状況はそうなのである。

そして、この不況を強調するのに、一役買っているのが格差政策である。企業の収益を適切に分配すれば、現在の企業業績でも非正規雇用など必要ない。だが、企業が非正規を必要とするのは傾斜格差政策といえるものを小泉政権以降、実施してきたからである。

例えて言うならば、グラスに水を入れて、その水位の部分に水平に線を引いてみよう。そして、そのグラスを傾けると、線の部分の下になる部分と、上になる部分に別れるだろう。水の量は同じ、しかし、上になる部分と下になる部分が生まれることで、下のものは、貧しくなり、上のものは、豊かになると見ると、貧富の差が生まれる。水平であれば、皆が十分な利益を得ることが出来るのに、傾けることで、貧富の差が生まれる。そして、その貧しい理由を、貧しい者の自己責任として定義(宣伝:マスコミ)すれば、裕福なものは、その搾取の責任を問われることなく、ずっと裕福でいられるという構造が生まれる。

では、実際にどのような傾斜格差政策が実践されてきたのか?

1.消費税(5%時)→法人税減税(10兆円規模)/輸出戻し税(3兆円)

  • 消費者全体からお金を集め、減税や還付金で法人(富裕層)に集約させる政策
  • 消費者、赤字企業→大企業→配当金(富裕層:7割/外国人投資家:3割)

2.正規、非正規の所得格差

  • 同じ仕事をしているのに、賃金面や待遇面で格差をつけてもいいという規制緩和を行った。これにより2000万人が低賃金になった。

企業格差を生む税制(消費税1989年)、労働格差を生む労働規制の緩和(1999年)が、傾斜格差政策といえるもので、実際、消費税の税収13兆円(5%時)のその殆どは、社会保障の名目で増税されたが、実際は、法人への減税や還付金という企業への実質的な補助金に消えた。

  • 法人税減税に使われた消費税
  • 企業は毎年13兆円(消費税5%:法人税減税10兆円、輸出戻し税3兆円)ものお金を政府からもらい、2012年には、14兆円ほどを配当金に回している。つまり、それらの優遇策は、私たちの給料にはなっていない。昔は、労働者に賃金を払うために無配の企業も多かったが、今は、大多数の労働者よりも一握りの株主の方が圧倒的に偉い。この事が、非正規を拡大をさせ、先進国の中で唯一賃金が下がり続けている現状を生んでいる。それがデフレをもたらし、実体経済を悪化させる要因になっている。これが真実である。
  • 先進国の中で唯一、賃金が下がり続ける日本

このような傾斜格差政策により、貧しさが政策的に創りだされ、それをマスコミが「搾取」と言わず「不況」と喧伝する事によって、富裕層の搾取行為をカムフラージュする。そうすれば、富裕層は、儲かってウハウハなのがわかると思う。その構造を以下に示す。

  • 日本の悪の四角形

つまり、マスコミ、官僚、政治家、企業は、相互に利益関係があり、この4者が結託すると、現実を政治的、世論的、政策的、経済的に同時に動かせることが分かる。そこから生まれる仮想現実が、いま、私たちがいる情報空間なのである。そして、そのことが日本人を貧しくさせ苦しめている元凶なのだ。そして、それに最も貢献しているのが、テレビや新聞で伝えられる「宣伝された不況」によって正当化される搾取行為(配当金14兆円)なのである。

この傾いた状態(政策)を容認できるのは、搾取を不況と言い換えて報道する傾斜報道のなせる技である。私達は、この金のサイクルを理解し、その金の傾きを是正すれば、デフレは終わり、景気回復が出来るだろう。しかし、偏った情報を流すマスコミを信じ続ければ、この傾きはさらに酷くなり、私たちをもっと苦しめるだろう。