昨日の2013年10月25日、恐らくこの日は、日本の近代の民主主義が崩壊した日として、歴史にその悪名を轟かせる事になるはずです。なぜなら、特定秘密保護法案の閣議決定がされ、国会に、この危険な法案が提出されようとしているからです。それは、日本が本格的に言論統制が可能になる国になろうとしているという事なんです。
残念ながら私は、先月、風邪を惹いて以来、冷たい雨には弱いので、デモ会場に行かなかったのですが、動画が既に公開されていたので、その動画を見て、抗議集会の様子が、大体わかりました。
恐らく、このデモに参加した人々は、日本の歴史において、僅かな良識的市民として記録されることでしょう。非常に問題のある法案なので、TBSもカメラを持ってきていたみたいです。歴史の記録になると思うので、私もYouTubeの動画をダウンロードしておきました。
0:00 経産省から官邸前へ移動
11:03 官邸前に到着 トラメガを使うなという警察と一悶着
- 警察の要請は、明文化されていない法的根拠のないものとして抗議、音声に対しては、トラメガのボリュームを下げて配慮すると主張、しばらく一悶着した後、聴衆が抗議しだして警察は退散、自らの行政行為に法的根拠がないことを示す。
- (特定秘密保護法が制定されたら、デモなども公共の秩序の名目で、排除される可能性あり)
29:30 火炎瓶テツ氏
- 「原子力発電所なんて言うのは秘密がてんこ盛りじゃないですか!」
- 「特に日本放送協会(NHK)、世論調査で74%が知らないっていうのは、あんた達が知らせなかっただけだろ」
- 「勝手に世論調査をやって、7割4分の人が知りませんでした、ハイ終わりって、それが報道のあるべき姿か!」
36:49 マスクの黒服の男性
- 「(特定秘密保護法の条文)これね、検索してみると、意外と内閣府なんかでまるで出していないんですよ。どういうことなんだよって、そこから秘密なんですよ!」
- 「朝日新聞だけはリークしてくれました。それは結構早い段階で全文出してくれました」
- 「この条文は、ものすごいトリックがあるんですよ。とんでもない、読んでみると、なんとなく、あぁ秘密を守るために、こういう手段もあるんだなという気がします。ところが、第三条で特定秘密は、その書類の明記しなさいと書いてあるんですが、その第二項に、そう言う印が無理な場合は、行政の長が担当者に指示すればいいと。 それだけなんですよ!」
- (特定秘密保護法、第三条第二項に、特定秘密を証拠の残る文書ではなく、行政の長が担当者に指示する(口頭で指示する)だけで、特定秘密を規定し、規制できるという驚くべき内容が示される)
この文章を読んだだけでも背筋が寒くなる内容が目白押しです。この危険な法案に対して、報道機関のサボタージュによって74%の人が、その危険性を知らないこと、特定秘密保護法が記録に残らない行政の長の口述(一言)だけで特定秘密を規定し、市民の言論が規制できるという内容が、第三条の第二項に記されているというものすごい内容。
東京新聞:【特定秘密保護法案全文】
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html
第三条
- 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
第一項
- 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
第二項
- 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
- (難しい日本語で書かれているのでわかりにくいが、要するに、第一項で定められている文書での特定秘密の指示が困難な場合、行政の長が、その担当者に「通知」つまり、口頭で指示すればいいということである)
あまりにも凄まじい内容なので、内容を聞いただけで、「これはマズイ」と頭を抱えてしまうのですが、大抵の人は、コレがどんなに酷いのかわからないと感じる。まず、ゆとり世代は、世界史が必須科目に成っていたなかったので、言論統制が世界各国の民主主義を破壊し、その結果、権力者に物が言えない市民は、奴隷同然になり、世界を戦争に向かわせたという事実を知らない。古い世代は、インターネットが使えないので、テレビや新聞のサボタージュによって正確な情報が手に入っていない。つまり、有権者の内、20代〜30代は、その危険性を理解するだけの基本的な教育を受けておらず、50〜60代は目がしょぼくれてて、パソコンを使いたがらないので事実を知っている人は僅か、そして、統計的に74%の人が知らない状態で、言論統制を可能にする法案が国会に提出という恐ろしい状況。しかも、その内容が、行政の長が口で言っただけで特別秘密を指定でき、その情報を漏らした人間は逮捕できるという極めて強権的な法案。まさしく独裁を可能にする法案である。
恐らく、独裁がどんなに酷いものなのか、平和で安定した時代が半世紀以上続いた日本では、歴史を知らないとわからない。最近の教科書は分からないが、私が学んだ世界史の教科書には、その酷い内容が記されていた。戦争の悲惨さも、苦しさも、それを表現できてこその平和。それが悲惨だから、陰惨だから、表現するな、喋るなという社会になったら、どうなるというのか、何でも秘密にできる権力を手に入れた彼らは、都合の悪いことを特別秘密にするのは目に見えている。あまりにも強大すぎる権力は人を腐敗させる。戦前の言論統制の時代は、秩序のためといって、それとは関係のない政府に反対意見を言うものが沢山、逮捕された。つまり、権力者の秩序とは、自分の意思の事を示す。つまり、その自分たちの意思に逆らったものが秩序を乱すものということになり、逮捕されたのだ。今回の特定秘密保護法案も、「行政の長が特別秘密を指示すればいい」とあるのだから、行政の長という権力者が、口で一言、自分に都合の悪い情報を特別秘密として、それを流すものを規制できるという内容からして、昔の治安維持法と何ら変わらない事が分かる。
聞いていて、マジか?!と思う内容だが、具体的に第三条第二項といっているところからして、超リアルなことなのです。これだけ言ってもわからない人はわからないのが最も怖い。最近、母に物事を説明する時、いくら口で言っても全く分からなかったのに、写真を見せたら一瞬で分かった。つまり、百聞は一見に如かずということなんです。どんなに素晴らしい演説も、一枚の写真にはかなわない。ということはですね。反対運動が、映像で全くリーチしていないという事が致命的な欠陥になりうるんです。口でどんなに理路整然と言っても、全く理解しない人が世の中には沢山いるんです。そのことからすると、反対運動の致命的な欠陥を、母に写真を見せた時に私は知りました。つまり、これが何を意味するかというと、日本の言論統制の危険性をいくら口で説明しても、かなりの人が理解できなかったということなんです。そして、その結果、日本の民主主義は死に、日本国民は奴隷化されるということなんです。あまりにも凄まじい内容なので、理解できない人は、たくさんいるでしょう。このブログですら、文章で書かれているのですから…
その事実がわかるのは、恐らく、この法案が可決され、2014年の4月辺りから施行されて、逮捕された人たちが映像で公開された時です。でも、おそらく、その映像ですらも特定秘密に指定され、あっという間に削除されることでしょう。言論統制というは、そう言う社会のことなのです。