Canonがレンズが広角24mm〜120mm、F2.0と明るくて、画素数が1010万画素 1/1.7型CCDセンサーを搭載したPowerShot S200を9月中旬に発表するという。玄人はS120が目当てだろうが、私はS200の割り切りぶりを評価したい。それは、明るいレンズを使い、画素数1010万画素に減らして、センサーを大きくしたことだ。感度を良くする仕様だ。
キヤノン、F2.0レンズや1/1.7型CCD搭載で26.3mmボディの「PowerShot S200」
http://news.mynavi.jp/news/2013/08/22/144/
S200は、画素数インフレを覆した点で評価に値する。動画も解像度が1280×720(24fps)どまりなのだが、記録される音声が圧縮音声ではなく、リニアPCM(16bit 48KHz)なのだ。自分のデジカメもリニアPCMで撮れるのだが、やはり、圧縮しない音声は綺麗だと思う。YouTubeにアップするときもビット・レートをYouTubes最大の160kbpsにして、通常のデジカメよりも上の音質にすることが出来る。
一見スペック数値が大きいと、性能が良いように見えるが、ズームや画素数を増やすことは、感度(F値)を失う。感度を失うと、シャープで綺麗な映像が撮りにくくなる。つまり、カメラで最も重要な目の部分が弱くなるのだ。具体的には、暗いところでは真っ黒になって撮れなくなり、必要な感度を得るためのシャッター速度が遅くなって手ブレもしやすくなる。あらゆる撮影シチュエーションにおいて、感度の低いカメラは、ノイジーで画質は悪いし、撮影の失敗率が上がる。常に撮影対象に十分な光量があるわけではない。ズームや画素数を抑えるほうが画質が良く、撮影の成功率が上がるのだ。さらに今回のものはセンサーが1/1.7と大きい。
このカメラのコンセプトは、撮りやすさにこだわりつつ、カメラを使う上での実質的な画質を上げながら、S120などの玄人向けの製品に比べて価格を抑えた製品といえる。そこで、デジカメを使っていて、いらないスペックというのがあるので、それを紹介したい。
高倍率ズーム
・使わねー(遠くの被写体は裸眼で見えないことが多い、つまり、撮れない)
・暗い(暗いレンズは、綺麗な写真が撮れない)
高画素
・意味ない:そんな解像度モニタで確認できねーし(自分のメインは5Mpixel)
・画質がキタネー(細部がボヤけているので、本当の高画素ではない)
・容量無駄に大きすぎ(実用上、全く意味のないスペックにリソースを食う)
・ボヤける(シャッター速度が稼げなくなるので手ブレしやすくなる)
これに対し、PowerShot S200では...
通常5倍ズーム(超解像度ズーム9倍)
・明るくて、使いやすいレンズ
・24mm〜120mmとメインで使う画角(人間の目で確認できる画角)
超解像度処理で画質劣化を抑えながらズームが出来る。
・1200万画素相当:9倍
・600万画素相当:12倍
・200万画素相当:20倍
・明るいレンズ(F2.0〜F5.9)
画素数抑えて、大型センサ
・感度向上
・1010万画素に抑え、1画素あたりの感度を向上
・1/1.7センサであり、通常のコンデジ(1/2.3)よりも、1.8倍の面積
・色の自然さ
・裏面照射型ではないが、CCDの方が色が自然
そう言う視点で見るとPowerShot S200は、明るいレンズで集めた光を大型センサで受け止め、画素数を控えめにして感度を稼ぎ、自然な色味が出るCCDを使うという。ある意味、デジカメの王道を地でいっているのである。ここまで真面目に画質を追求した仕様というのは、昨今のスペック数値がいいだけの見掛け倒しのコンデジが多い中で珍しい。正にエンジニアの視点から見て、本当の画質を追求したら、こうなりましたという仕様である。このデジカメのメインターゲットは、女性だと思う。カメラのことあまり知らなくてもきれいな写真がとれて、それでいながら、価格を抑えめにしている...と言っても店頭予想価格35000円は、コンデジにしては高い部類に入るのだが、このランクのセンサを搭載したモデルでは安い方。
WiFiに対応
コントローラリングやホイールで各種調整ができる
http://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/s200/feature-design.html
- コントローラリング
- カメラのレンズ周囲のコントローラリングで、各種調整ができる
- ・露出補正 :1/3段ずつ±2段の範囲
- ・ISO感度 :1/3段ごと
- ・ホワイトバランス:「グリーン⇔マゼンタ」「ブルー⇔アンバー」
2次元マップで、色味を確認しながら調整可能。
- ・ステップズーム :「24mm」「28mm」「35mm」「50mm」「85mm」
「100mm」「120mm」(無断階ではないのは残念)
- ・マニュアルフォーカス:暗い所でフォーカスが合わない時便利
- ・アスペクト比設定:「4:3」「16:9」「3:2」「1:1」切り替え
- コントローラホイール
- ボディ背面のホイールを回転させることで、シャッター速度や絞り、ISO感度などをすばやく調整可能
このデジカメは、手軽さと画質を両立した仕様である。明るいレンズと大型センサで画質を向上させ、コントローラーリング、ホイールを併用することで、素早くカメラの設定を切り替え、そうやって撮影した写真や動画をWiFiを使ってワイヤレスでスマホやタブレットで見ることが出来る。(HDMI端子もあるのでテレビに繋げることも出来る)画質と操作性にこだわった質実剛健なモデルである。非常に堅実なスペックであり、評価に値するモデルである。
PowerShot S200の仕様
光学センサ :1010万画素(有効画素数)1/1.7型高感度CCD
レンズ :24mm(F2.0)~120mm(F8.0)6群7枚
超解像ズーム :9倍(1000万画素)、12倍(600万画素)、20倍(200万画素)
液晶モニタ :3型カラー(46.1万ドット)
ISO感度 :ISO 80〜6400
絞り :F2.0-F8.0(W)、F5.9-F8.0(T)
静止画 :[4:3]10Mpixel、6Mpixel、2Mpixel、0.3Mpixel
動画 :1280×720(24fps)640✕480(30fps)
音声 :リニアPCM(16bit/48KHz ステレオ)
起動時間 :1.4秒
無線LAN :可能[IEEE802.11 b/g/n](2.4GHz帯のみ)
接続端子 :USB2、A/V-OUT、HDMI(ミニコネクター)
撮影枚数 :200枚(エコモード使用時300枚)
再生可能時間 :約5時間
動画記録時間 :1280×720(30分毎自動停止)640×480(1時間毎自動停止)
注:バッテリー持続時間ではない、自動停止する仕様
電池 :フル充電2時間
大きさ :幅99.8mm×高さ59.0mm×奥行き26.3mm
重さ :181g
カラー :ホワイト、ブラック
発売日 :9月中旬
製品情報:PowerShot S200
http://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/s200/index.html
- 発売日9月中旬なのに、もうAmazonに出てる