SKY NOTE

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アベノミクスでデフレが解消されない理由

現在のアベノミクスでは、デフレは解消しない。というのは、デフレの主たる要因は、賃金の低さにあるからだ。賃金が少なくなると、安いものしか売れない、安いものしか売れないから、給料も上がらないというデフレスパイラルの悪循環に陥ってしまっている。これを解消するには、需要を増やし、賃金水準を上げないといけない。また住宅や車などの高額商品を買うためには、賃金が安定していないといけないので非正規雇用はダメだ。

アベノミクスでは、円安と株高を、日銀の通貨発行で実現したが、これは企業が儲かるだけで、その儲けを従業員の給与に反映するインセンティブ政策が現段階では皆無であることが問題であり、景気が良くならない。なぜそんなことが言えるのかというと、小泉政権の時も景気は上向いていると言われ株高にはなった。しかしながら、デフレはより進行した。なぜならば、非正規雇用の問題が、この時期に表面化し、給与水準が下がり、雇用が不安定になり始めたからだ。故に株は高くなっていったけれども、デフレは進行していった。つまり、株だけ上がって、庶民の生活は豊かにならなかったのだ。投資家だけが儲かった。

多くの経済学者は、アベノミクスではデフレが解消しないと言っている。なぜならば、上記のようなことがあるためである。では、給与を上げるためには、何をするべきなのか、それは、給料を上げるべきなのである。(笑)しかし、「企業は株主のもの」というアメリカの悪しき文化が小泉政権の時に定着してしまったため、給料を上げて、株主の利益を短期的に減らすような選択は、現在の株主至上主義では、否定されてしまう。実際に大企業には297兆円もの莫大な内部留保があり、税金も控除制度や消費税の還付金のお陰で諸外国に比べて格段に安く、至れり尽くせりであるのだが、それで生じた利益をほとんど株主への配当か、企業の口座に溜め込まれているのが現状である。

日本経済の悪化要因は、円高とデフレだが、円高はアベノミクスで解消されつつあり需要(外需)が増える傾向にあるが、デフレは、企業が従業員の給与を上げず、利益を内部留保に蓄積し、市場にお金が回って行かない構造にある以上、解消されない。なぜ企業がそんなことをするかというと、従業員の給料をあげたら利益が減ってしまうからだ。では、お金が回る構造とはなんだろうか、まず、内部留保に課税するなどして、とにかく企業がお金を貯め込むことが損になるような政策をすることが大切なのである。株主至上主義の文化が定着してしまった現状では、企業の自助努力はのぞめない、ならば、そういう事をすれば損をするという状況を産めばいいのである。とにかく、お金を吐き出さないと損になる。期限内に使わないと課税されて国にとられる。そう思えば、それが従業員の給与に反映され、デフレは解消に向かうと考えられる。また、それと同時に非正規雇用制度の規制を昔と同じように厳しくして、1800万人(就業者人口の33%)もいる非正規雇用の比率を下げ、現行の正規社員の給与を若干下げて、正規社員をもっと増やすべきなのである。そうすることで全体の可処分所得が底上げされて、消費が拡大され、デフレが本格的に解消に向かう。つまり、小泉政権の時に日本に定着した株主至上主義を修正することがデフレ解消の基本なのである。ある意味、株主至上主義こそがデフレの原因なのだ。これを内部留保に対する課税処置(間接的に給与を上げる)や、消費促進政策(需要喚起)によって、会社は社員のものでもあるという従業員至上主義に戻すことが必要である。

そうでないと、利益を生むために永遠に、企業は減税と、従業員の給与カットを言い続ける事になる。そして最終的には、税金はゼロが正しいと言い出し、従業員の給与も可能な限り低い方がいい、年収100万円がいいと言い出す。実際、ユニクロ柳井正会長は「年収100万円も仕方ない」と正直に言っているように、現在の株主至上主義の本音が、それなのである。税金や給料は可能な限り安く(法人税を安くして、消費税を上げる。非正規雇用や移民で可能な限り給与は安く)、利益は最大に、それが彼等の考え方なのである。これでは給料は上がらないし、その結果、税収も減るし、その結果、デフレも解消されない。経済は一行に良くならないのである。つまり、現行のアベノミクスだけでは、株価は上がるけれども、現在の株主市場主義が定着した日本では、その利益は内部留保か投資家に渡り、従業員に渡らないので、株価が上がっても、給料は下がり続け、デフレも解消されず、内需は細り、経済はよくならないのである。消費税を増税して、法人税を安くし、TPPを推進して移民を増やして従業員の給与を下げる。そうやって利益を絞り出し、その利益を株主に献上するためのものである。いわば企業至上主義で考えると筋が通る。消費税の税率を上げても、税収は増えないことは過去の消費税増税の時に分かっていて、財政再建にはならないことが分かっているのに推進するのは、輸出企業に対する戻し税制度による還付金が税率を10%にする事で今までの3兆円から6兆円になり、実質的な輸出企業に対する減税処置になるからである。そして、多くの輸出企業の大株主は外国人投資家が占めている。つまり、誰を儲けさせるために消費税増税が行われているか、よく分かる。企業の利益を上げ、庶民や国のお金は細っていく、それが現在行われていることである。

デフレが解消されない、片手落ちの現行のアベノミクスを否定し、どうすればいいのかという点については、以下のリンクに記してある。

 TPPに入ると不況になる?! 内需拡大で景気回復は出来る
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20130308/1362731102