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福島第一原発2号機温度上昇と汚染水タンク満杯状況について 2013.1.7

福島第一原発が厳しい状況になっているようなので、今日は、それをまとめてみたいと思います。福島第一原発は、停止から1年10ヶ月ほどが過ぎ、崩壊熱はほぼ収まっているはずなのですが、2号機で1月6日までに170度程度まで温度が上昇しています。

 崩壊熱の推移
 
 引用:よく分かる原子力
 このグラフから見ると、1年10ヶ月たっているので、熱量は1/200位になっている筈

この熱源は、冷却水が当たらない場所ができて温度上昇しているか、もしくは、臨界(核反応)を起こしている可能性が疑われます。他の温度計も温度上昇しており、温度計の故障では無さそうです。
 
 福島原発2号機での温度上昇は継続中!1月3日に170℃を超える!
 圧力容器上部でも温度上昇確認!
 http://www.asyura2.com/12/genpatu29/msg/580.html

 現在の温度状況:ふくいちプランとメーター
 
 現在(1月6日)までの温度上昇状況(画像をクリックすると拡大します)
 

グラフを見ると温度上昇は去年の12月22日(79度)から始まっており、25日(96度)辺りから急上昇し、その翌日に137度まで上昇、1月6日現在、173度の状態に成っています。国の基準では100度以下を安定的に保つという事ですから、

 コトバンク:冷温停止とは?

核分裂を抑制し、核分裂が一定の割合で持続するという臨界状態から脱却させ、温度を下げて安全に原子炉を停止させること。

 Wikipedia:冷温停止

冷却システムが常圧で摂氏約95度未満であるとき、原子炉は冷温停止であると呼ばれる。この温度では気密でなくても軽水炉における冷却・減速材である水は沸騰しない。

つまり、この温度上昇が崩壊熱によるものでない場合、臨界ということになり、冷温停止とは言いがたく、また、温度が173度にまでなっている状態で、既に冷温とは言いがたい状況なので、福島第一原発は、冷温停止しておらず、核分裂反応が持続的に起きている可能性が疑われる事態ですので、収束しているとは言いがたい。これだけの問題をきちんと報道しないマスコミも問題です。既に95度以上を超えているということは、注水した水が蒸気になっているはずです。恐らく注水量を増やす必要に迫られているものと見受けられます。しかし、困ったことに、その注水について問題が起きています。

それは、放射能汚染水を収めるタンクが、ほぼ満杯になってしまっているという状況です。

 放射能汚染水情報アップデート ALPSの稼働をめぐる部分最適の是非(1)
 http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-661.html

これは、汚染水を濾過する高性能フィルター(東芝製:ALPS)の設置が遅れているためです。既に放射性セシウムに関しては、低性能のフィルターで除去しているのものの、それだけでは、まだ他の核種が残っていて危険なのです。当初の東電の予測では一昨年の2011年6月当時に存在した12万トンほどの汚染水は、ほぼ1年近くで全量処理できている。つまり、2012年6月頃には、汚染水の全量処理が終了している予定だったのです。しかしながら、2ヶ月ほど運用してみた結果、予想以上に地下水の量が多く、毎日300〜500トンの水が建屋の地下に侵入しているとのこと、つまり、汚染水がその分増えているのです。そのため2011年8月時点で汚染水は増え続けるものとして、貯蔵タンクを増やす方向に方針転換をしました。汚染水循環処理システムでは主にセシウムしか効率的に除去できず、ストロンチウムなどは除去できません。そこで多核種除去設備 ALPS(Advanced Liquid Processing System:東芝製)が去年の7月に登場しました。

 東芝放射性物質62種類を除去する設備を開発(2012.7.25)
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20120725/1343153032

これは2012年9月から運用開始と言われていたのですが、それが運用試験テストの段階で足踏みをしており、運用開始が遅れています。(役人が細かなチェックを入れることで遅れるアレです)その結果、濃縮塩水の量が増え続けています。これは、セシウムを98%除去した汚染水の事です。(他の核種はまだ残っています)しかしながら、ストロンチウムを初めとして多くの核種がまだ法的な規制値(告示濃度)以上の濃度で存在しています。セシウムも減ったとはいえ、まだ告示濃度を超える濃度だそうです。トリチウム三重水素半減期12.32年)に関しては、水そのもの(トリチウム水)と化していますので、フィルターなどでは取り除けません。

 Wikipedia:トリチウム(三重水素)
 半減期:12.32年

このような状況なのALPSを運用できたとしても、汚染水を海水に放出するという事にはならないでしょうが、現状の汚染水循環処理システムよりもはるかに汚染の少ない廃液として保管することができる為、ALPS処理後の水を貯める地下貯水槽(約4000トン)が建設されました。しかし、ALPSの運用が遅れているため、このALPSの廃液を入れるための貯水槽に多くの核種が残っている濃縮塩水(他の多くの放射性核種が残っている危険な汚染水)を入れざる終えない状況に陥っているそうです。(東電は濃縮塩水にも利用できると言っているとのこと)

2012年12月14日の東電の記者会見では、ALPSで処理できるのは実運用で1日500トン超くらいで、地下水の流入が1日400トンとすると、遅れた分は3日で1日分の地下水の流入分を処理できる計算になり、運用開始が半年遅れると(6ヶ月の)3倍で1年半に、遅れた半年分を加えて合計で2年分の遅れになるといっていました。

 江北新報:福島第1原発 汚染水タンク満杯 地下貯槽に一時貯蔵へ(2013.1.5)
 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/01/20130105t65003.htm
 貯蔵タンク23万トン中22万トンが満水状態

これの何が問題であるかというと、ALPSの運用が遅れることにより、大量の汚染水が貯蔵タンクに入っているわけですが、映像写真を見ると、右上の高台にタンクが並んでいることが分かります。

 読売新聞:汚染水1千基がずらり、福島第一原発(2012.2.29)
 http://www.yomiuri.co.jp/stream/m_news/vn120229_2.htm

 この映像を引き伸ばしたものが以下のもの(画像をクリックすると拡大します)
 
 GoogleMapの衛星写真(タンクのないときの写真:写真がクリアなので、地形がクリアに見れる。タンクのある山林の手前の法面が見える)

右上のタンクのある高台には、山林が残っていることから、そこまで津波は届いていない事がわかる。この高台にディーゼル発電機を置いていれば...と思う風景である。

急造のタンクですので、強度が十分かどうか疑問です。(基礎工事やタンク自身の強度も含めて心配)もし、このタンクの汚染水が地震などで漏れだした場合、非常に大規模な海洋汚染となるわけです。だからこそ、ALPSの様な高性能な汚染水除去システムで汚染水の危険性をできるだけ減らしておく必要があるのです。ですが、それが遅れることにより、その間に大規模な地震が再び起きてしまったら、マズイわけです。なので、瑣末なチェックなどさっさと終わらせて、ALPSを使って一刻も早く汚染水の危険性を減らしておかなければいけないのです。

 福島第1原発汚染水タンク満杯!!地下貯槽に一時貯蔵へ!
  小出助教「巨大タンカーに貯蔵するべき」
 http://ameblo.jp/kennkou1/entry-11442733398.html

このように福島第一原発は、未だ冷温停止とは言いがたく、同時に汚染水の処理もままならない状況が続いています。これらの事から原発事故が収束していないことは明白です。福島第一原発周辺の福島県沖では、地震が続いています。東日本大震災と同じM9級の地震が起こると、スマトラ沖地震と同じように周辺地域でM6~M8クラスの地震が頻発する可能性があると地震学者も言っています。一刻も早く、汚染水から放射性物質を除去しないと再び大規模な海洋汚染をしてしまう恐れがあります。世界中に迷惑をかけないためにも、部分最適よりも全体最適を見据えて素早く、汚染水を処理することが必要です。
 

  • 太平洋 #放射能 汚染10年間予想図