SKY NOTE

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大河ドラマ「平清盛」を見た。

大河ドラマ平清盛を見た。オープニングの花が散るような映像は、韓流ドラマの影響を受けたっぽくて、「パクリか」と思ったのですが、その後の映像表現は、コントラストを強調し、しかも、汚い服を演出するなど、自分好みの作品だと思いました。報われない人間が新品の形の整った綺麗な服を着ているのは、おかしかったのですが、それがきちんと汚く、イメージ的にリアルだと思いました。清盛の父となる忠盛が盗賊を討ち果たし、血だらけになって努めを果たしたところを貴族の輿が通り、「血の臭いがクサい」と貴族に咎められ、その上、報告に来るときには、その汚き姿を綺麗にして参れと文句を言われて、釈然としない様子は、貴族と武家の立場の違いがよく現れていました。権力というのは、こういうところから壊れていくのだなという暗示を抱かせるエピソードでした。

その後、川で血を洗い流しているとき、まるでゴミのような人間が水を飲んでいます。忠盛は、その者が心配になってみると、その者は身籠っていて、とても具合が悪そうだったので自分の家の馬小屋に連れていきます。そこで、源氏のものと話をします。この頃は、朝廷という上司に仕える部下に過ぎない源氏と平家は、同じ立場の同僚といった感じで、朝廷から命令をいただく立場であり、源氏の方は女の捜索命令がくだされたという。その女は白河上皇の子供を身籠っていたが、占い師によれば、その子供が災いをもたらすとのことで、殺されるだろうとのことだった。不憫に思った忠盛は、その女と子供を助けることにする。女は「なぜ助けた」というが、それは武士の誇り、つまり、弱き者を助けるための武家が、何の罪もない赤子を手にかけたら自分の仕事に誇りが持てなくなるという。結構かっこいい理由で助ける。しかし、早晩、見つかってしまい白河上皇の前に赤子と女と忠盛は連れてこられる。自分の子供であっても、災いをもたらすとなれば、殺してしまう上皇の冷酷さが際立っており、忠盛も命令違反なので、それを咎められるのですが、それは白河上皇の御為と上手く切り抜けるのですが、結局は女を切れと命令される忠盛、切れぬのならば、お前も死を免れぬと言われるが、それでも怯まず、自分の命にかえても女と子供を助けて欲しいと願いでるところは、「うう〜ん、忠盛、男だ」と思ってしまった。女は忠盛の覚悟を見た上で子供を託すことができると確信し、上皇の前で刀を抜く仕草をし、矢で射ぬかれて死ぬ。

ここまでのところは、朝廷の命令に絶対服従する武家の立場がよく出ていました。宮仕えの悲哀を感じます。上司の命令には絶対服従、そうじゃないと自分のクビが飛ぶ、そういう上下関係がよく出ていたと思います。身なりも血まみれで汚く、必死で働いているさまがよく出ています。下で働くものにとって、自分の仕事の誇りこそが唯一守るべき矜持、それがなくなったら、ただの奴隷でしかないというところは、よく出ていました。ほんと、それ以外は貴族の奴隷そのもの。

その後、数年たって、少年時代の清盛、幼名「平太」(この名前は現代風に感じるので創作かも)となるのですが、自分の本当の父は、誰なのかと忠盛に聞くところは、泣けてきます。自分も養子だったので、分かるのですが、自分の本当の親ではないというのは子供は察知します。しかし、親に親だと言われれば、だましだまし親子ごっこを続けるみたいな関係です。ある意味、父と言うよりも師弟の関係に近くなります。自分の直感では親ではないのはわかっているのですから、そうなると、どのように父とされている人物を見ればいいかと考えると尊敬するべき師匠のような立場に落ち着くのです。そうやって孤独に成長していく清盛を見ていると、自分の子供時代と重なって、「うんうん」と頷いてしまうのですが、しかし、ほとんど、史実ではなく演出なので、見事にシナリオライターの手のひらで踊らされています。自分は忠盛の下の者の気持ちもよくわかるし、清盛の孤独もよくわかるので、今回のストーリーは、とても共感が持てました。映像的には、明らかにスタジオの照明と分かる不自然な照明のような感じはなく、自然光に近くて、場合によっては役者の顔が逆光で潰れてしまう演出は、今時のドラマにはない演出で新鮮でした。ただ、映像が白トビ気味なのは、若干不自然かなと感じました。逆光で黒く潰れた顔の演出が、忠盛達、下のものの不遇をよく表していて、映像演出としては、良い感じです。不遇とか不幸とか、ちゃんとリアルに描かれていてよかったです。ゴミや犬のように扱われるところは、非常に分かりやすい。なんとなく黒澤明っぽい演出で好感が持てました。

忠盛のやりきれない気持ちや、清盛の孤独がよく伝わってきて、久しぶりに良いドラマだと感じられた大河ドラマでした。来週は、松ケンが出てくるので、コレも楽しみです。