SKY NOTE

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日本の国益は温室効果ガス削減のダントツトップを切る事

私は以前、温室効果ガス25%削減は可能だと書きましたが、なぜ、これに賛同する人がいないのかと言うと、それが不可能だからではありません。現に25%削減は可能だと言っている科学者もいます。しかし、既存の発電施設の破棄を求められる電力会社や鉄鉱メーカー、自動車メーカーの声の方が大きいのです。
 
 温室効果ガス25%削減プラン
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20090915/1252948446
 
それに加えて、全体を総合的に見る視点の欠乏が挙げられます。温暖化対策を批判している人の意見を見ると、全体的な戦略を立てておらず、個別の数字を持ち出して不可能だと述べているのですが、複数の要素を組み合わせて可能性を検討すれば、充分可能なのです。
 
そして、もう一点は、人をまとめる為に、合理性から逸脱し、対立を恐れ、コストパフォーマンスを度外視した論理を持ち出す事も辞さない文化が日本にはあります。しかし、そういう習慣が積もり積もって、日本は900兆円もの借金を積み上げたと言う事を忘れてはいけません。
 
つまり、日本の温暖化対策が進まない理由

1.産業界の反対

  • 既存の温室効果ガスを出している産業のパラノイア的な反対です。それは政府が全体戦略を示さないで目標だけを述べているところに問題があります。

 
2.総合的視点の欠如

  • これには政府が総合戦略を示す事が必要です。そうすれば解消される問題です。

 
3.人をまとめる為に合理を度外視する姿勢

  • これは、合理的な選択が、結果としては全体の利益となる事を説明する事が必要です。

 
この1〜3の事から、政府がどのように温暖化対策を進めるべきかと言えば、全体戦略を示し、それが社会全体にどんなメリットをもたらすのか具体的に説明する事が必要です。現在の温暖対策の批判は、それがない故の反対なのです。それが説明されれば解消されるはずです。
 
そこで、私は温暖化対策を進めればどんなメリットがあるのか産業別に示したいと思います。
 
1.自動車業界
温室効果ガスの少ない燃費のいい車を作れば、世界中で売れます。充電インフラのない状態ではシリーズ方式のハイブリッドカーが最も現実的な選択肢だと見ています。これで燃費1/3の車を作れば、世界中で飛ぶように売れる事でしょう。逆にこの競争に遅れれば、日本は輸出競争力を失う事でしょう。優れたエコカーを作れば、世界中で石油価格上昇と環境税が、その車の売り上げを押し上げる事でしょう。自動車メーカーは温暖化対策をノルマと捉えず、チャンスと見るべきです。
 
 三菱自動車、燃費50km/Lのコンセプトカーを出展
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20091004/1254636933
  
2.発電業界
アメリカが民主党政権である以上、排出権取引が始まるのは目に見えています。それは世界的な取り組みであり、日本も参加せざる終えないでしょう。その上、化石燃料の価格も新興国の経済成長によって上昇していくことでしょう。そうなると、安い化石燃料を燃やして収益を上げるというビジネスモデルが崩れていくのは目に見えています。発電業界は今のうちに政府に地熱発電風力発電の為に国有地の利用の許可と低利な融資を求めるべきです。そうすることで、温室効果ガスを減らしながら、太陽や風や大地からタダで提供される電力で収益を得ればいいのです。またそういう技術をシステムとして世界中に販売すれば、世界的な発電サービス企業として業績を伸ばす事が出来るでしょう。水ビジネスを世界展開しているシンガポールを日本の発電業界は見習うべきです。人口が減る日本国内だけではジリ貧になる事は目に見えています。自然エネルギーへの抜本的展開と、それをシステムとして完成させて、海外展開するべきです。それしか日本の発電業界が生き残る術はないと思われます。逆に言えば、そうすれば莫大な市場が、そこにあると言っても良いでしょう。温室効果ガス削減をノルマだと捉え、後ろ向きになっていては目の前にあるチャンスは見えませんよ。
 
 電力
 
 
3.鉄鋼業界
石炭を燃やして高級鉄を作る産業は、徐々にその比重が少なくっていく事でしょう。なぜならばバイオナノファイバーや自然素材の採用の比率が今後高まっていく事は明らかだからです。また、電気炉で作る再生鉄の品質が向上し、高級鉄のそれに近づいている事も見逃せません。つまり、新素材による市場の侵食と電気炉で作られた再生鉄の挟み撃ちに遭うわけです。しかも国内需要は頭打ち、そこで生き残る為の術は、従来の高級鉄を遥かに上回るハイテン鋼材を作る以外にありません。プラスチックに対する鉄の優位性は燃えない事です。故に建築資材としての需要は、ある程度継続するでしょう。しかし、排出権取引が始まれば石炭から出る二酸化炭素を減らさなければいけませんし、建築物の需要も電子オフィスによって減る事でしょう。これは、温室効果ガスの被害が大きくなった場合、国際的なルールが厳しくなって、各国が温室効果ガスを出さない建築素材を求めるからです。自ずと、温室効果ガスを出す建築資材は世界から求められなくなる事は必定です。そこで、将来的には、バイオ燃料を作る際に出るであろう廃液からメタンガスを取り出して鉄を作る技術や車の車体などに使われるであろうバイオナノファイバー廃材を燃やして鉄を作るとか、そういうカーボンニュートラルな燃料を使って鉄を作り、なおかつ、ハイテン鋼材で付加価値の高い鉄を今より少ない量で作るという選択肢しか、利益をあげる術がないとわたしは考えます。これが温室効果ガスを出さず、鉄を作り続ける事になると考えます。21世紀には温室効果ガスを出す企業は悪者になります。悪者にされれば代替素材に市場を侵食され滅びるだけです。そうならないように現状でできる限りの最善の努力をするべきです。温室効果ガス対策は生き残るチャンスと見るべきです。
 
バイオ燃料生成時に発生した廃液からメタンガスを作る
発酵プロセスで生じた消化液をメタン発酵させる。これは高速に(1日で)発酵する技術が既にあり、必要なのは予算だけ

鹿児島県霧島市にある実証試験プラント(写真は下記PDFの39ページを引用)

 微生物を利用したバイオマスの資源化技術
 http://www.nies.go.jp/sympo/2007/lecture/pdf/slide_3.pdf 
 
4.セメント業界
セメント業界には朗報があります。ジオポリマーに着目してはどうでしょうか?性能は、アメリカ空軍が着目するほど優れたセメントを作る事が出来、なおかつ、コストを少なく出来る可能性があります。つまり、今より安くて優れた製品を作るチャンスがあるわけです。排出権取引が始まれば、石炭を燃やして作るセメントはコスト高になります。しかし、ライバル企業がジオポリマーに進出して先を越されると、それによって、割高で性能の低い自社のセメントは売れなくなる可能性が出てきます。そうなる前にジオポリマーに着目しておいても損はないと思うのですがどうでしょうか?
 
 ジオポリマーについて
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20091111/1257893819
 
このように将来的なシナリオを提示して、その上で何をするべきか提案する事が結果として不必要な反論を避けながら進む事が出来るでしょう。これは別に不可能ではなく、現実的な提案です。私は世界の趨勢を見ながら、それに対して長期的にどのようにすれば、企業が生き残れるのかシナリオを立てて提案しています。現状維持をして徐々にジリ貧に陥っていくのか、それとも未来に向かって前進するのか二つに一つです。私はよく進言をしますが、その提案を受け入れなかった人は没落し、受け入れた人には大成功を生むような提案を過去に3回しています。私は提案力と言う点では既に実績がある事を、これらの産業の方々には申し添えておきたいと思います。私自身は、あまり、それが重要だとは思っていなかったりするわけですが、それを聞かなかった事で没落するもの、聞いた人で大成功する人を見ると、もしかしたら、とても重要かもしれないとも思いますので、警告の意味を含めて、提案する次第です。
 
二酸化炭素削減プラン

 
日本の産業界の将来を考えると、政府の総合対策の提示の遅れや、それによって必要以上に産業界が恐怖におびえることで、温暖化対策を遅らせる事が、日本の国益にとってプラスになるとは思えません。日本国政府は、早期に総合対策の発表をし、産業界との不必要な軋轢を終息させ、出来るだけ早く日本を温室効果ガス対策においてダントツトップの状況に自らをおいて、国際競争において覇を唱えるようになってほしい。どうか日本は昼寝をして亀に負けるウサギになるのではなく、油断をせずに全力疾走で走るウサギになって欲しい。そうすれば確実に勝てるのだから、みすみすそのチャンスを失う事のないようにと願いたい。