円が高くなっている。米国FRBイエレン議長の2月10日の証言以後、一気に4円上がった。ただ、議長証言を前に、市場が内容を織り込んでいて1月30日から、円高は始まっていて、その水準からすると、たった11日の間に9円も円が上がった事になる。
1.円ドル為替は100円がニュートラルポイント
- 基本的に、どのレベルが適正値かという事だが、大体100円程度が良いと見ている。というのは、昔のように円が安くなっても輸出競争力は強化されない。というのは、殆どの輸出大企業は海外工場で作っているからだ。日本の自動車メーカーの海外工場の生産率は65%、2014年の国内の自動車生産台数は921万8375台だった。内、輸出は412万2545台だった。
- 2014年 自動車
- 国内生産台数:921万8375台
- 輸出台数 :412万2545台
- 海外生産比率:65%(約2/3が海外生産)
- 2015.2.20 大手自動車メーカー、国内生産回帰の兆し
- 日産20万台増、ホンダは輸出比率高める方針
- http://www.j-cast.com/2015/02/20228066.html
- 輸出大企業は、円高になれば海外生産比率を増やし、円安になれば国内生産比率を増やすという形になっているので、ある程度の為替変動には対応できるようになっている。で、輸出自動車メーカーの最適値はというと、日産のゴーン会長に言わせると、1ドル100円程度が中立的という話だった。
- 2014.7.17 日産自社長、現在の為替水準「完璧だ」「100円が中立的な水準」
- http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL17H0K_X10C14A7000000/
- なぜかというと、今は安い海外部品を使っているので日本でつくる時も円が安いと部品代が高くなってしまう事がある。つまり、円が安くなっても日本の自動車がそのまま安くなるというわけではない。だから、ニュートラルな為替が企業にとってベストなのだ。その水準が1ドル100円なのだ。
- 消費者としても、1ドル100円時の食料品や物価の安さが丁度よかったので、120円水準の円安は、あまり良いとは言えなかった。であるので、1ドル112円は、まだ円が安いので、もっと円高でも良い。100円がいい。
2.今後為替はどうなるのか
- もし、来年まで自民党政権が続くとすれば、消費税は確実に10%に引き上げられてしまうので、そこからすると、とにかく円は高くなってくれた方が、増税の物価高を乗り切る為には、有り難いのだ。ただ、この円高は、長期的に続くのかという事になるが、これはアメリカの景気次第だ。そこで考えるのが大統領選である。
- サンダース候補が大統領になると、富裕層に増税がされ、アメリカのGDPは、伸びるだろうが、それは2017年1月20日に大統領就任、政策が実行されて効果が出るのは、恐らく2018年以降である。よって、ここ1〜2年は大統領の政策は影響はしない。ただ、期待感で消費が伸びるという可能性がある。新聞の見出しに「米国、サンダース効果で需要増、FRB利上げか?」というようなニュースが流れれば、一気に円安に触れそうな感じがする。
- 先の事を考えるととめどもないが、アメリカの景気は大統領にかかっているので、サンダース大統領が誕生すれば、長期的な視点から言って、日本は円安になる。なぜなら、彼が経済学的に正しい政策を提唱しているから、それが実行されればアメリカのドルは強くなる。相対的に、日本政府は通貨発行が出来なくなる。極端な円安は国内経済を圧迫するからだ。株価はアメリカの消費拡大と円安が重なる為、輸出企業は景気が良くなるだろう。だが、円安と消費増税のダブルパンチを受けた日本の消費者は、あまり景気拡大の恩恵は得られないだろう。恐らく、その時期にISISはロシアにやられて、石油価格は高騰すると考えられるので、トリプルパンチかもしれない。
3.もしサンダース大統領の登場で円安になったらどうするか?
- この問題を解決する為には、今年の参議院選で自公政権以外の政党に投票し、安倍政権をレームダック状態にして、その上で衆院解散まで持ち込んで政権交代をし、消費増税をやめさせ、大企業の内部留保に6%課税(20兆円)し、法人税の合法的脱税(9兆円)の温床になっている租税特別処置の大半を廃止するなどして、消費税(20兆円)を廃止すれば、景気拡大と財政再建を両立できる。そうやって国内経済を強くしていけば、相対的に円も高くなっていき、ニュートラルポイントである1ドル100円まで持っていく事が出来、円安による物価安と景気拡大、財政再建の三つが揃うだろう。そうなれば、皆が豊かになり、一番ベストだと思う。だから、今年の選挙は自公政権以外に入れて、消費税を上げさせない事が大切だと思う。