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高効率ペロブスカイト型太陽電池、高コスト素材部分を1/5に

スイスの大学 Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)は、変換効率20.2%と高い発電効率を誇る太陽電池を、従来よりも大幅に低いコストで作成する技術を開発し、「Nature Energy」に論文が掲載された。

 高効率ペロブスカイト型太陽電池の製造コストが大幅低減
 http://techon.nikkeibp.co.jp/news/?rt=nocnt

ベースは、酸化チタンと色素などから成る色素増感太陽電池で、色素の代わりにペロブスカイト層を用いている。

ペロスブカイト層は鉛と有機材料で安いのだが、輸送(HTL)材料が1gあたり300ユーロと非常に高コストだった。今回の低コストの肝は、この高価な素材を使わず、比較的安価な材料「FDT」(1gあたり60ユーロ)を用いて、変換効率20.2%を実現したという。

 「FDTは、従来のHTL材料に比べて合成も楽で、純度も高めやすい」
 (EPFLのMohammad Nazeeruddin氏)との事。

研究開発途上では、安いと言われている方式でも、性能を上げる為に高コストな素材が使われ、それほど安くならないという事がある。今回は滅茶苦茶高い素材を使わず、高いが、滅茶苦茶高くはない素材を使ったという感じ。それでも1g60ユーロは高いではないかと思うかもしれない。でも、この層は、薄いので、けっこう広い面積がつくれる。薄さは、大体10万分の1mm(10ナノメートル)くらい。

 ペロスブカイト太陽電池の構造
 
 図解引用元:http://eetimes.jp/ee/articles/1508/20/news093.html

図を見ると分かる通り、今回、高コストな材料と言われる部分というのは、恐らくホール輸送層と言われている部分で、薄いペロブスカイト層よりもさらに薄い層である。つまり、ここにとても高い素材を使っていたのだが、そのコストが1/5になったことで、コストが大幅に下がったという話。

ペロブスカイト太陽電池の技術は日進月歩で、毎月のように新しい研究成果が発表される。それも、コストが下がったとか耐久性が向上したとか、実用化に向けて一歩一歩、確実に進んでいる事が分かる内容ばかりなので、この技術というのは、筋がいいと思う。筋の悪い技術だと、何年経っても成果が上がらないのがある。その典型例が燃料電池で、大昔に次世代エネルギーと言われたが、全然、実用化するようなコストに下がっていない。それに対して、ペロブスカイト太陽電池は、非常に筋がいい。どんどん研究開発が前に進んでいるのが分かる。この調子で行くと、来年くらいに、実用化レベルのモノが出来てしまうと考えてしまうほど、ハイペースで研究開発進んでいる。ひょっとすると今年中にもできてしまうんじゃないかと思うくらい、成果の進捗がめざましい。

自分がペロブスカイト太陽電池に注目するのは、この太陽電池によって世界のエネルギー問題が石油から太陽電池に置き換える事が出来る程、安くできる可能性があるという事。さらに、動力変換効率が40%程度の内燃機関に対し、電気モーターは90%を越えるので、エネルギーの置き換えと同時に省エネも同時に進む事で、一気にエネルギー変革が起きる可能性があるのだ。これによって、太陽さえあればどの国にも十分なエネルギーが供給できるという事になる。それはすなわち、世界の貧困を撲滅する可能性を秘めているのだ。だからこそ、僕はペロブスカイト太陽電池に注目する。これは人類全体を豊かにする技術なのだ。今の石油のように産油国や石油の所有者に富が集まるのではなく、全ての人に平等に富が分配できる可能性がある。そうなったら、勉強できなくて、過重労働をする子供や、水道がなくて何十キロも重たい水を運ぶ人を救える。太陽からタダでエネルギーが供給できれば、2000〜3000円程度の太陽電池を搭載したスマホを本のかわりにして、気球基地局から供給される低価格な通信データによって教育が可能になる。そうなったら、勉強が出来る。賢くなる。愚かな指導者に騙されない市民を増やし、強い民主社会を作る事が出来る。貧しい国の子供ほど勉強は一生懸命やるので、そのポテンシャルは高い。

そうすれば、みんなが豊かになるいい社会になる。残念ながら今の日本は、そうなっていない。なぜなら、情報が少数のメディアに独占されており、そのメディアが真実を流していない。教育がある程度されていても、ジャーナリズムの腐敗によって、その結果が出せないでいるが、ネットをもっと上手に使えば、そのジャーナリズムの問題も解決できるだろう。つまり、ペロスブカイト太陽電池と並行して、ネットの進歩が進み、教育やジャーナリズムが進歩すれば、世界は変わる。ペロスブカイト太陽電池は、それに必要なテクノロジーだ。電気のないところに太陽さえあれば使えるスマホ、気球基地局による低価格な通信サービス、そこへ進歩した教育システムやジャーナリズムが組み合わさる事で、社会の大変革が可能になる。恐らく、それは後世において歴史に記されるだろう。西暦2000年代初頭は、エネルギー革命と同時にジャーナリズムと教育の革命が起き、世界は変革したと。ペロブスカイト太陽電池は、その変革を実現するテクノロジードライバなのだ。