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ペロブスカイト太陽電池、実用化に近づく 2015.11.5

実用化すれば、火力発電並の7円/kWh程度で発電できる可能性があるというペロブスカイト太陽電池の実用化が一歩近づいた。

 ペロブスカイト太陽電池、効率と信頼性を向上 (1/2)
 http://eetimes.jp/ee/articles/1511/04/news122.html

ペロブスカイト太陽電池は、発電効率は既に16〜20%程度に達しているものの耐久性に問題があり、実用化できていない。今回の研究成果は、その耐久性が1000時間光連続照射において、発電効率の低下が10%以下となったという。1000時間というのは、年間の日本の太陽電池の平均発電時間に相当する。つまり、1年間で性能劣化が10%以下に抑えられるところまで耐久性が向上したともとれる。

実用化の水準は1000時間あたり1%以下程度と見られるが、ペロブスカイト太陽電池は、2009年から研究が始まったので、それから僅か6年でここまで成果が上がるというのは、非常にハイペースであることから、来年くらいは期待しても良いかもしれない。

従来、ペロブスカイト太陽電池が耐久性が低かったのは、電子抽出層とホール抽出層に用いる材料に低分子化材料、ポリマー材料などの有機材料が使われていたからだった。

 ペロブスカイト太陽電池の構造
 

これらの材料は光にさらされると、壊れやすくなるなど信頼性に問題があり、耐久性能向上の為に、この有機材料を無機材料に切り替え、電子抽出層に酸化チタン(TiO2)、ホール抽出層に酸化ニッケル(NiO)に変更した。しかし、無機材料は電気抵抗が高い為、変換効率を高くするためには、数ナノメートルまで薄膜化する必要があった。しかし、薄すぎてセル面積を拡大すると膜を均一化するのが難しく、ピンホールなどの欠陥が増えて変換効率が低下する為、特性の改善は難しかった。

 電子抽出層 :低分子化材料→酸化チタン(TiO2)
 ホール抽出層:ポリマー材料→酸化ニッケル(NiO)

研究チームは、電子抽出層にニオブイオン(Nb5+)、ホール抽出層にリチウムイオン(Li+)とマグネシウムイオン(Mg2+)を高濃度で添加して、導電性を向上させた。

 電子抽出層 :低分子化材料→酸化チタン(TiO2)
  →ニオブイオン(Nb5+)添加
 ホール抽出層:ポリマー材料→酸化ニッケル(NiO)
  →リチウムイオン(Li+)とマグネシウムイオン(Mg2+)を高濃度で添加

導電性を改善した分、膜を厚くする事が出来るようになり、大面積にしてもピンホールが極めて少ない膜を形成する事が出来た。

 膜を厚くした
  数nm→10〜20nm

この結果、発電効率と耐久性が両立できるようになり、太陽光の強度の光で1000時間連続照射しても、変換効率の低下は10%以下となった。

 今回開発されたペロブスカイト太陽電池の耐久度グラフ
 

研究チームでは、更なる高性能材料の開発を続けていくとともに、ペロブスカイト太陽電池の各層間の界面を最適に制御する事でより高性能化を目指していくという。

まとめ

  • まだ耐久性が足りないが、2009年から始まった研究が僅か6年間の間にこれほどスピーディに研究開発が進むというのは、ペロブスカイト太陽電池は、かなり有望であり、その低コストである点から、現在進行している蓄電技術や省エネ技術が組み合わさる事で、世界のエネルギー問題を一挙に解決に向かわせるだけのポテンシャルがある。ちなみに日本の電力構成をペロブスカイト太陽電池を前提に考えてみると、以下のグラフのように自分は考察している。
  • 軽くて低価格なペロブスカイト太陽電池は、住宅の屋根などに設置しやすく。日本の3000万世帯に普及し、年間900億kWh発電するだろう。また、業務分野でも休耕田(100万ha)などを中心に年間1320億kWh(発電効率16%:12.4万ha)発電すると見込んでいる。その電力は、電気自動車の蓄電池にスマートグリッドを通じて貯められ夜や雨の日でも電気が使える状態になる。電池は高価なリチウムイオン電池ではなく、低価格なアルミニウムイオン電池が実用化されると見込んでいる。省エネ技術の進歩と人口減少(-10%)によって日本の電力消費は4850億kWhとなり半減すると想定すると、エネルギーを自然エネルギーで全て賄う事が出来るような社会になっている。こういった形で再生可能エネルギーによる電気でエネルギーが賄われると、世界のエネルギー問題が一挙に解決すると想定する。それはつまり、石油の奪い合いで戦争をする必要のない世界といえる。