SKY NOTE

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私が唯一、体育で「勝った日」

私が唯一、体育で「勝った日」

私は、運動能力が低く、体育で勝ったことなど殆ど無い。そんな私が唯一勝った時があった。では、どうやって勝ったのか書いてみる。

その日は、サッカーの日、みんな、点を取りにディフェンスもフォワード状態でゴール前で団子になっている。私は、一人、自陣でディフェンスをやっていた。というのは、私のように足が遅く、ドリブルも大して出来ない人間は、あの団子の中から自陣に突破してくるであろう運動能力の高い奴の足止めくらいしか役に立たない。

そう思いながら、団子状態を冷ややかに眺めていた曇の体育の日だった。「でも、ちょっとつまらないな」と思ったので、「もし、自分が点をとれるとしたら、どうすれば可能か」と考えてみた。「まず、ドリブルをしたら、すぐ取られるだろう。相手からボールを取ることなんで無理だ。スピードが違いすぎる。となれば、こぼれ球を蹴っ飛ばすしかない。ドリブルをしたら取られるから、それは即シュートでないといけない」

何となくまともで、ちょっと情けない作戦が出来たので、実行してみたくなった。まず、ボールを持っている奴の後ろを走り、こぼれ球を取る作戦に出た。やっている事はコバンザメである。案の定、後ろを走っていると、こぼれ球が良い塩梅で転がってきたので、それをゴールに向かって思いっきり蹴った。それはスローモーションのように放物線を描き、ゴールに突き刺さった。高めに入ったボールは、運良く身長の低いキーパーの上を飛び、ゴールとなった。きれいな放物線のミドルシュートだった。

さて、このゴールの勝因を分析すると、一言で言うと、現実的だったからである。現実的に考え、運動能力の低さという厳しい条件の中、一筋の光明を辿るようにして手に入れた勝利だった。具体的には、自分に出来ないことはせず、出来る範囲で何が出来るか現実的に考え、実行したという事である。

まず、
ドリブルダメ、ボールも相手から取れない(スピードが遅すぎて不可能)
 →こぼれ球を取るしかない。
こぼれ球を取るには
 →ボールを持っている奴の後ろを狙うのが一番効率がいい(コバンザメ)
点を取るには
 →こぼれ球を即シュート(ドリブルしても取られるので、それしかない)
最後は運
 →運良く、身長の低いキーパーの上にボールが行き、点が取れた。
  (相手の弱点に運良くハマった。身長低いから高めのゴールは入るのだ)

勝つ可能性のある細い一筋の道を現実的な視点に基づいて着実に進み、最後は運も味方につけてゴールした。つまり、作戦の土台の上に運が積み重なって点が取れた。私のように弱いものが勝つには、現実的な作戦と運が重要な意味を持つ、私は自分にできることの中で、結果の出る可能性のある事をやって、やっと1点を取れた。ここで、私が思ったのは、弱いものが勝つためには徹底的に現実的でなくてはいけない、その上で、可能性のある細い道を着実に歩み、そして運を味方につけるくらいでないと強者には勝てないという事だった。

私がしたことは、現実的に考え、自分に出来ないことは切り捨て、その上で、できることから、結果が出せる最も効率的な方法を見出し、実行したことである。だから、現実的でない人間を私は否定する。身の程(現実)も弁えない人間も否定する。それは、弱者にとって致命的だから。

弱者が出来ないことを無理にやる。この場合、ドリブルをしようとか、相手からボールを取ろうとか、考えるとまずダメ、勝てる可能性がどんどん低くなる。こぼれ球でもボールはボール、蹴ってゴールに入れれば点になると考えるのが現実的だった。私は、そういう計算がきちんと出来て、そして、その計算通りに実行できた時、結果が出る。少なくとも弱者は力づくでは結果は出せないため、そうするしかない。私は、だから、現実的であることを好むし、その上で勝てる可能性のある作戦を立てる事や身の程を弁えることが大事だと思っている。少なくとも強者でない私には、それが正しい道だと思っている。