SKY NOTE

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集光型太陽電池に日欧が共同研究:セル変換効率45%を目指す

集光型太陽電池に日本のNEDOを始めとする企業群とヨーロッパの研究機関が共同で研究する事になった。
 
日本:NEDO 研究開発責任者:山口真史教授(豊田工業大学
豊田工業大学(トヨタ自動車の作った大学)
・シャープ
大同特殊鋼(日本で集光型太陽電池を作っている)
東京大学
産業技術総合研究所ほか...(略称:産総研/独立行政法人-省庁のひも付きではない)
 
欧州:研究開発責任者:アントニオ・ルケ教授(マドリッド工科大学)
マドリッド工科大学(スペイン:太陽光発電が盛んな国)
フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所
 ・(米)イリノイ大学と共同で低コストな集光型太陽電池を発表してた。
・インペリアルカレッジロンドン(イギリス:再生可能エネルギー推進に熱心)
・イタリア新技術・エネルギー・環境庁(イタリア)
・BSQソーラー(スペイン)
PSE(ドイツ)
CEA国家太陽エネルギー研究所(CEA-INES:フランス)
 
NEDO プレスリリース:世界最高効率の集光型太陽電池を開発へ
 
この顔ぶれを見ると、日本の大手自動車、大手太陽電池メーカー、研究所、海外の名だたるメーカーや研究所が揃っている。集光型のメリットについてのべると、高い発電効率レアメタルの消費量の少なさが挙げられる。何万ヘクタールも太陽電池を敷き詰める事を考えると、大量のレアメタル資源が必要であるが、実際には、それをまかなえるだけの経済的に手に入るレアメタルは存在しない。よって、集光型が太陽電池の大規模化には必須であると言える。ただ、研究開発費がたった(500万ユーロ:6億円)というのは、安過ぎると感じる。もっとあってもいい。原子力に数千億円もかけているのに対し、安過ぎる。ただ、既にイリノイ大学とフラウンホーファー太陽エネルギー研究所が低コストな集光型太陽電池の製造技術を開発しているので、それを母体にして、日本の太陽電池メーカーの素材技術や自動車メーカーとの連携は、注目に値する。電気自動車によるスマートグリッドの構築などが期待される布陣だ。
 
日本もやっと、集光型太陽電池の研究が本格化してきたと感じる。日本の国土の狭さとレアメタル資源のなさを考えれば、集光型が最も合理的な選択肢であり、それがようやく企業も巻き込んで研究を開始したのは、喜ばしい事だ。3.11以降で注目に値する動きと言える。
 
集光型は、架台があることで一見コスト高のように思えるが、実際には、必要な太陽電池のセル面積が1/500と非常に少なくてすむ為、トータルで見れば安い。現在、高温でも大丈夫な人工衛星用の通常の100倍は高い発電素子を使っているが、それを使っていても、セル面積が1/500ですむので、太陽電池部分のコストは1/5、発電効率は倍なので、トータルでは1/10、それに太陽の方向に向く可動架台が組み合わさる事で発電する。トヨタ自動車が、この分野に名乗りを挙げていると言う事は、TOYOTA太陽電池を作る可能性があると思う。自動車が国内で売れないと考えれば、TOYOTAのような大きな企業は、他に新たな市場を見いださなければ従業員を食わせていけない。そこから察すると、今回最も大きなニュースは、あのTOYOTAが集光型太陽電池に注目していると言う事かもしれない。
 
もし、発電効率40パーセント程度の集光型太陽電池ができれば、1000億kwh発電するのに2.5万 ヘクタールあればいい。日本の休耕田の面積は100万ヘクタールなので、その2.5パーセントあれば、日本の電力需要の1/10がまかなえる。それにLEDの省エネ(2000億kwh→1000億kwh規模)を加え、省エネ家電、エアコンの温度設定(3度)の省エネも含めれば、現在の原発の発電量2800億kwhに達する。これには最低10年かかる。その前に原発が再稼働できない状態で来年の夏には、全ての原発が止まってしまうらしい。でも、電力は足りなくなるのかと言えば、そうではない。日本の火力発電の稼働率は49.8%で約6000億kwh発電している。それに対し、日本の電力消費は9550億kwh(2009年)である。それに水力の850億kwhを含めると、必要な電力は、9550億kwh-6850億kwh=2700億kwh 火力発電の稼働率を現在の49.8%から72.2%に引き上げれば、対処できる。燃料の消費量は1.45倍となるが、単純にそうなるのではなく、国全体でエアコンや家電製品の節電をすれば、500億kwhは節電できるだろうから、1.37倍位(稼働率68%位)で対処できるだろう。燃料は豊富にある石炭や天然ガスなので買い付けが出来ないと言う事はない。あとはピークカットの為に、現状の業務部門の使えば使うほど安くなる電力価格設定を住宅と同じように使い過ぎると値段が上がる価格設定に変える。そうすれば、企業は自ずと電力のピークを下げる為に工場の稼働時間をシフトしたり、節電に努めるだろう。そうすれば、電力ピークの山が抑えられ、火力発電所稼働率が上がり、結果として、全原発が止まっても日本はやっていけるだろう。ただし、二酸化炭素は増えてしまう。それを節電や自然エネルギーの導入で抑え込み、恐らく20年位で日本の電力を自然エネルギーとバイオエネルギーの二本立てに移行してく事になると思う。オーランチオキトリウムの研究を加速すれば、自然エネルギーの不安定性をバイオ石油が補ってくれる形が生まれる事だろう。そうなれば、日本は国産エネルギーで国を成り立たせる事が出来る。3.11によって、日本は変わった。原発は危険だし、火力発電も資源問題が横たわる。そこからはじき出される結論は、再生可能エネルギーと省エネしかない。今回の共同研究の発表は、その中の有力な選択肢の一つが動き始めたと言うところだろう。