SKY NOTE

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911の記憶(テロに勝つ術)

2001年9月11日 同時多発テロが起きた。
その日の10:00頃、私はテレビをつけるとビルが煙を上げて燃えていた。音楽も何もなく、ただ鬼気迫る声でヘリからアナウンサーが叫ぶ様に喋っているのが印象的だった。当初私は、飛行機がぶつかったと聞いて、アメリカってトラブるのもでかいなと呑気に構えていた。ビルを見ると一部が燃えているだけで、他の階には影響がない。これだったら、火災の起こっている場所から下の階の人は避難できるだろうと思った。
 
しかし、しばらくして、もう一機が衝突してきた所で、事態の深刻さが分かった。これは、事故ではなくテロだと確定したからだ。しかも、映像で見ると衝突した飛行機が、よく金持ちが使う小型ジェットの様にも見えたのだが、実際はジャンボだという。つまり、むちゃくちゃでかいビルだと、その時点でやっと分かった。
 
そのビルが世界貿易センターだと聞いて「ビンラディンだな...」と思った。私がテロリストだったら、このアメリカの富の象徴を絶対狙う。そして後は、狙うとしたら国防総省と、ワシントンくらいかなと考えていると、国防総省にも飛行機が墜落したとして、映像が切り替わった。「おお〜」と思った。半ば冷笑的に見ていたと言ってよい。なぜ、冷笑するのか、それはそういう事をされる事をアメリカがしてきたからである。
 
既に義父が、アフガン戦争について、「この戦争は酷すぎる。いずれ何かが起こる。あんなんじゃ、絶対治まらねぇ」と言っていた。その事を思い出しながら、「ああ、あのときの義父の言葉が現実になったのだな」と思った。確かにアフガン戦争は酷かった。歴史の先生も、アフガン戦争は史上最低の戦争だと言っていた。なぜなら、他国の戦争を他人の国民を戦わせてやった史上最低の戦争だからだ。つまり、当時のアメリカとソ連は、関係ない国の国民を使って、自分の国の戦争をやってしまったって事。
 
アメリカはいつかは報復されると思っていた。その秒読みは近づいていると感じた。その可能性が高まったのは、クリントン政権末期、トマホークで化学兵器工場だとしてイスラム圏にあった工場をアメリカが、ぶっ飛ばした。この時点で報復確率は95%に向上、要するに爆弾の導火線に火がついている状態と見ていた。「必ず何かが起こる...」
 
そう思っていたので911は起こるべくして起きたという解釈で見ていた。昔から、やった事に対して、それなりにオトシマエがつけさせられるというのが歴史の真実である。だから、私はアメリカに対して自業自得としてしか見ていなかった。それを遥かに上回るであろう戦争という大規模な悲劇を他人の国で犯してしまったアメリカに対して、私は同情はしなかった。その巻き添えになった人には同情するが...
 
私は、アメリカという国は最強であるにも関わらず、非常に臆病な国だと思っていた。あの国には、不安のレバレッジというものがあって、それが問題をより大きくする傾向があった。本来ある問題を何倍にも膨らませて解釈し、自国の最強の軍隊を総動員して、その問題の解決にあたろうとする。それが問題をより深刻かつ大規模にする。本来、アメリカほどの力があれば、軍事力など使わず、戦争にかけるような莫大な資金を経済援助に振り向ければ、世界の貧困の多くは解決され、その結果、人々が問題を起こす可能性も低くなるというのに、アメリカは戦争という最悪の選択しかしていない。不正があるのならば、戦争よりも情報戦で国民に真実を伝えるジャーナリズムを育成するべきだった。
 
武力に頼らず、情報によって人々に真実を伝え、尚かつ経済援助で人々を助ける。そういう言葉と行動が一貫していれば、それなりの説得力を持つというものである。アメリカは、それを武力介入でボロボロにしてしまう。アフガン支援の場合でもタリバンを掃討するのならば、その資金源であるケシ栽培を何とかする為に農業支援をするべきだ。アフガン地方は山に守られ、国自体が城みたいなものだ。城を武力で攻めるのは愚策である。兵糧攻めが最も効果がある。彼らの兵糧はケシ栽培による麻薬密売だ。この資金源ルートを徹底的に叩き、尚かつ、農業支援でクビをジワジワ締め上げるのが最も効果的である。時間はかかるが、確実に効果が上がる方法でもある。
 
オバマ政権には、武力介入よりも情報戦と農業支援の両極でタリバンに対処するべきだ。孫子の兵法にも、「戦争をなるべく避け、諜報に徹しよ」とある。諜報と農業支援、そういう意味では、日本はアフガンの若者を日本に招いて、農業教育をしたらいいと思う。(同時に若者に日本の豊かさを見せれば、考え方が大きく変わると思う)また、農家を集約したときに余るであろう農業機械を安く買い上げて、アフガンに無料で提供したらいい。そうやって、ケシ栽培をやめさせれば、それで利益を得ていたタリバンの勢力は徐々に萎んでいくだろう。ある意味タリバンというのは、ヤクザみたいなものだ。ヤクザをやっつけるのに一番効果的なのは、金をしぼる事。そして農業支援という正の援助で、彼らの大義も奪う事。(日本も昔、ギブミーチョコレートというとチョコレートをくれる米兵に好感度を持ったと思う。食べ物って結構、人の心を動かすのだ)
 
大義と金を奪われた組織は自壊するしかない。
 
戦争をするよりも、もっと効果的な方法はある。それは数千年前から変わらない。孫子の兵法にそう書かれている。戦争に勝つかどうかは、この孫子の兵法をいかに忠実に実践したかどうかである。その意味では、現在のオバマ政権の政策は落第である。
 
貧困がテロを生む土壌ならば、貧困という本当の敵を倒さない限り、何度でもタリバンの様な組織は蘇ってくる。だから、表層の敵を倒すのではなく、本当の敵を倒す事をコツコツやるしかないのだ。そういう粘り強さが、この戦いに勝つ為には必要だ。世界の貧困を解決するには、世界の軍事費の15%を使えば、可能だという学者もいる。むしろ、そういう事をする方が結果としてテロを撲滅する事に繋がると私は考えるし、それが正しいと思う。
 
戦争を戦争で解決するなど幻想である。世の中はそんなに単純ではない
 
それに、イスラム圏で武力を使うべきではない。イスラム教は大家族主義だ。戦争で関係のない同胞が死んだとなれば、イスラム圏全体を敵に回す事に繋がる。そういう意味でも武力介入は出来るだけ避けるべきだ。特に大義のない人の死、つまり、戦闘要員でない人間の死は、非常にマズい。いくらミサイルの精度が上がったとしても、非戦闘要員まで巻き添えにしてしまうようでは、その倒そうとした敵の何倍もの人間を敵に回す事になる。だから、戦争はマズいのだ。情報戦と経済援助に徹するべきなのだ。
 
まとめ
・大方針として武力介入は出来るだけ避けよ(敵を増やさない)

  • イスラム圏では、武力介入は非常にマズい。一人、関係のない人間を殺したら、その何十倍の敵が生じると思え。

・アメリカはアフガンの若者を自国に招いてジャーナリズムを教えよ(大義を奪う)

  • 情報支援(真実を伝えるジャーナリズム)

・日本はアフガンの若者を自国に招いて農業を教えよ。(兵糧攻め

  • 農業支援(ケシ栽培よりも儲かる農業を教える)
  • 灌漑施設の整備(現地にある材料で可能なもの:作り方も教える)

 
敵を増やさず、支援を通じて、彼らの大義と資金を奪い、滅ぼす。テロリストはゴキブリと同じ、資金と大義をえさにして何度でも蘇る。だから、餌を奪い、増殖力を弱める事が大切なのだ。現状では、武力介入で関係のない人間を殺す事で、彼らに大義という餌を与え、農業支援も十分でないのでケシ栽培が増えて資金という餌も与えてしまっている。この餌を断たない限り、何度でもゴキブリの様に蘇り、この戦いは終わらない。